2011年発売
「くれぐれも他言してはなりませぬぞ」妖怪との約定を違えた男の運命やいかに。安倍晴明の呪がさえわたる。若き陰陽師と笛の名手・源博雅が平安の京に起こる怪事件を解決する大好評シリーズ。
講談社が運営する無料ケータイサッカーサイト「ゲキサカ」(http://gekisaka.jp)で累計300万ページビューをたたき出した青春サッカー小説が待望の書籍化! 高校・中学など強豪サッカー部取材を数多くこなす著者が、「読めばサッカーがうまくなる」をモットーに、練習の大切さ、うまくなるために必要な意識の持ち方、食事を含めた自己管理など、サッカーの上達に役立つ情報を小説のなかで表現した作品。 亡き父の陰と相対する高校生の主人公・米倉ケンタの成長物語を中心に、個性的なチームメイトと協力し、監督が提示する難題に立ち向かう部分や、緻密な試合描写も見所のひとつ。 <あらすじ> 元日本代表FWを父に持つ、U-16日本代表MFの米倉ケンタが進学先の竹駒学園で出会ったのは、「サッカーを教えない」をモットーとする名将・天童監督だった。 「うまいだけの選手はいらない」 選手自身に「考えさせる」指導のもと、ケンタを中心とした新入生たちは徐々に成長していく。高校に入学するまでのケンタは、点取り屋として活躍した父と比較されることを嫌い、ドリブルやパスを武器にチャンスメイカーとしてのスタイルを確立してきた。しかし、天童監督はケンタが父親の存在から逃げていることを見抜く。目標であるプロになるためには拒否し続けてきた父親のプレースタイル、「ゴールへの貪欲な姿勢」を取り入れることが必要であり、「うまいだけではプロになれない」と自覚したケンタは……。
弟と二人で便利屋を営む昴は、ある日、超美形のロシア人、ウラジミールから大量の骨董品の梱包を依頼される。もしや盗品?…と疑う昴だったが、なんとウラジミールはその若さで個人の美術館を持つ大富豪。すっかり彼に気に入られた昴は、一緒に船でロシアまで行って欲しいと懇願され…。一方、ブラコンの弟、拓海はそれを阻もうと画策。桁外れのとんでも大富豪と嫉妬深い弟と…。ふと気づくと昴は船に乗せられ…。
甲賀忍者の末裔、千速は幼い頃から修行を積んできたが、頭領である祖父の死を機に里を離れ都会で探偵稼業を始めることに…。そんな千速の前にたびたび現れては何かとちょっかいをかけてくる男ー大手探偵社のイケメン敏腕社長、周防。彼こそは宿敵、伊賀忍者の末裔だった。十二年前、敵と知らず周防に抱かれそうになった…秘めた過去とねじれた想い。千速はついに周防に忍術勝負を挑み…。火花散る対決愛。
あたり一面不毛の荒野にそびえる超巨大な建物ー「サンクチュアリ(聖域)」。縦横無尽に迷路が走るこの場所は、その名に反して監獄とも修道院ともつかない恐怖の迷宮。自らを救世主と呼ぶ謎の集団が支配するここには、10歳にも満たない男の子たちが次から次へと連れてこられる。食事は最悪、規則を破れば死にも至る刑罰、友人は禁止、知識を求めるなどもってのほか。10年にも及ぶ訓練を経て、彼らはいずこへか送り出される。そしてその目的は誰も知らない…。嘘と裏切りと抑圧に満ちたこの世界で、他人には決して心を開かない14歳のケイルは、殺人がらみのいまわしい事件に巻き込まれ、仲間二人との脱出を余儀なくされる。その逃亡をきっかけに一気に加速する物語!神は彼らにいったい何をさせたいのか。
19世紀フランス。 高級娼婦マルグリット・ゴーティエの遺品の競売で 本を落札した「私」のもとに、アルマンと名乗る男が訪ねてくる。 アルマンは、生前のマルグリットと「ただならぬ関係」にあったらしく、 「私」に彼女との間で起こった出来事を語りはじめた…。 戯曲としても、これまで多くの人々に愛され続けた、悲劇の愛の物語を漫画化。
「彼は憎しみでも怒りでも何でもいい、身体に満ちることを願った。…大きなハードルも小さなハードルも、次々と乗り越えてみせる」危機をひたむきに乗り越えようとする主人公と家族を描く表題作をはじめ八〇年代に書き継がれた「秀雄もの」と呼ばれる私小説的連作を中心に編まれた没後の作品集。最後まで生の輝きを求めつづけた作家・佐藤泰志の核心と魅力をあざやかにしめす。
倦まず弛まず書物と格闘し新たな文学作品を生み出した、禅僧たちの営みを明らかにする。また、その後の近世文学への接続、同時代の和歌や説話、公家社会の学問との関わりを探り、孤立しているように見えている五山文学を日本文学の中に組み込むべく、その存在を新たに捉える基礎作業を行う書。
サウダーヂ=郷愁、とは何か。 ▼20世紀ブラジルのリオデジャネイロで活動した4人の詩人、マヌエル・バンディラ、カルロス・ドゥルモン・ヂ・アンドラーヂ、ヴィニシウス・ヂ・モライス、セシリア・メイレーリスの詩作品を哲学や小説を含む西洋近代の思考の変遷に照らしつつ明らかにする。 ▼西欧文学との影響関係の分析を通して、リオデジャネイロという都市に流れる〈時〉、ブラジル、ポルトガル、リオの詩人や人々にとって神聖な言葉「サウダーヂ」(郷愁)の意味を読み解く。 序 リオデジャネイロに降る雪 第1章 魔法使いの国の掟 マヌエル・バンデイラと幼年時代 1 至福の時は忘却のなかからよみがえる 2 詩人たちは意のままに幼年時代を見出そうとする 3 詩は魔法を言葉によって失い言葉によって取り戻す 4 もっとも偉大な魔法使いはみずからをも欺く魔法使いである 楽園の日常 第2章 儚いものと永遠のもの セシーリア・メイレーリスと過ぎ去る女 1 絶えず逃げ去ろうとするものが永遠と出会う 2 詩は一瞬を永遠のものにすることができる 3 儚く失われるものが美しいものとして現れる 4 過ぎ去ることが永遠に留まることでもある 美しい季節の終わりの花嫁 第3章 前夜祭の予感 ヴィニシウスとカーニヴァル 1 祭りのなかで悲しみとよろこびはひとつである 2 祭りの直中にあるときそれについて語ることはできない 3 祭りの日々とは祭りに先立つ日々である 4 祭りを待ち望むよろこびが悲しみのなかで語る 愛はそれが続いているあいだは永遠である 第4章 言葉と幽霊 マヌエル・バンデイラと憑依 1 あらゆる作家はみずからの幽霊作家である 2 死を想う者は生きながらすでに幽霊として存在する 3 言葉を知らない者はまた死をも知らない 4 生とは未来の亡霊としてみずからに憑依することである カーニヴァルの遠い響き 第5章 見出されぬ時 ドゥルモンと無意志的記憶 1 おまえひとりは生き存えてこの物語を語り伝えよ 2 証言することができない者が真の証人である 3 すべてが廃墟となったあとに記憶という建物が残る 4 途方もない惨劇の証言となるのは証言の不在である コパカバーナ海岸の緩やかな弧 第6章 人魚姫の叶わぬ恋 セシーリア・メイレーリスと沈黙 1 声を失った人魚姫は海の泡となって消える 2 語り伝えられないことがもっとも重い悲劇である 3 純粋な悲劇ほど証人を持つ可能性は小さくなる 4 言われた言葉や開かれた言葉は空気のうえの空気でしかない 最初で最後のまなざしで落ちる恋 結 失われた幸福な結末を求めて 註 謝辞
ヨーロッパの小国・アンドラで殺人事件発生。外務省邦人保護担当の黒田は、アンドラからのSOSを受けてスペイン・バルセロナから現地に向かい、一人の日本人女性と出会う。彼女は何者なのか。ふくれあがる疑念とともに、黒田にも危険が迫る。外交官は、どこまで捜査にかかわれるのか。自身のアイデンティティまで問われかねないぎりぎりの状況を切り開いていく黒田だが、そこには巧妙な罠が張り巡らされていた。「外交官黒田康作」シリーズ第3弾、最高傑作。
〈ポケミス新世代作家第4弾〉暗い過去を持つ敏腕捜査官カールとその部下、シリア出身の奇人アサドが所属する「特捜部Q」の活躍を描く、デンマーク発の警察小説シリーズ。全欧ベストセラー!
染織工芸界の巨匠が破門中の弟子の恨みを買い、メッタ突きされて殺された。しかし、事件はいっこうに報じられない。なぜなら、殺されたはずの男が生きていたからだー。その謎の陰で、ある二つの遺体の不審点が明らかになる。医学の発展がもたらした恐怖と、人間の生命とは何かを世に問うた、医学ミステリーの名作。
救急救命士の織田は、路上で倒れていた少女・笑加を助けるが、彼女は十代前半の少年たちと暮らしていた。実は彼らは、都知事による新宿浄化作戦で両親を中国に強制送還された、戸籍のない子供たちだった。事情を知った織田は、理不尽な現実と社会に復讐するため、彼らとともに無謀な行動を起こし始める。
由美子は久しぶりに会ったいとこの昇一と旅に出る。魔女だった母からかけられた呪いを解くために。両親の過去にまつわる忌まわしい記憶と、自分の存在を揺るがす真実と向き合うために。著者が自らの死生観を注ぎ込み、たとえ救いがなくてもきれいな感情を失わずに生きる一人の女の子を描く。暗い世界に小さな光をともす物語。
世界第2の高峰、ヒマラヤのK2。未踏ルートに挑んでいた翔平は登頂寸前の思わぬ事故でパートナーの聖美を失ってしまう。事故から4年、失意の日々を送っていた翔平は、アマチュア登山ツアーのガイドとして再びヒマラヤに向き合うことになる。パーティに次々起こる困難、交錯する参加者の思い。傑作山岳小説、待望の文庫化。
時は20世紀初頭。ロンドンのマンションの一室に、執事ジーヴズは今朝も流れるように紅茶を携えやってくる。村の牧師の長説教レースから実らぬ恋の相談まで、ご主人バーティの難題をややいじわるな脳細胞が華麗に解決(?)。バーティたちが通うドローンズ倶楽部の愉快な面々も少し顔をのぞかせる、ユーモア小説傑作選第2弾。