2012年6月11日発売
すみれすみれ
「私がはじめて頭ではなく、心で書いた小説です」 そう作者が語る、今年度最高の感動作! 「一九九六年の秋から一九九七年の冬にかけて、レミちゃんはわたしたちと一緒に暮らした。」 ーー十五歳のわたしの家にとつぜんやってきて、一緒に棲むことになった三十七歳のレミちゃん。 むかし作家を目指していたレミちゃんには「ふつうの人と違う」ところがあった……。 季節の移り変わりとともに描かれる人の人のきずな、人間のみにくさと美しさ。 そして涙がおさえられない最後が待ち受ける。 いま筆力を最も高く評価されている、日本文学の正統な担い手による最高傑作。
世界を売った男世界を売った男
香港西区警察署の許友一巡査部長は、ある朝、マイカーの運転席で目が覚めた。酷い二日酔いで、どうやら自宅に帰らず車の中で寝込んでしまったらしい。慌てて署に向かったが、どこか街の様子がおかしい。署の玄関も改装されたように様子が変わっていて、貼られているポスターを見ると2009年と書いてある。「馬鹿な、昨日は2003年だったのに!?」。許巡査部長は一夜にして6年間の記憶を失っていた。呆然とする許だが、ちょうどそこに女性雑誌記者・蘆沁宜が現れ、許が昨日まで捜査していた、夫と妊娠中の妻が惨殺された事件の取材で許と会う約束をしたという。それが、6年前の事件の真犯人と己の記憶を追い求める許の捜査行の始まりだった。奇想天外な発端と終盤の怒涛のどんでん返しで圧倒的な支持を受け、第2回島田荘司小説賞を受賞。香港の鬼才が放つアジア本格の決定版です!
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