2012年8月発売
ゼネラル・パーマー号でマカオに送り届けられた岩松改め岩吉、久吉、音吉は、祖国の地を踏む日を待ち続けていた。彼らは日本で固く禁じられているキリスト教に出会い理解する中で、過去現在と自分たちを支えてくれた異国の人々の無償の愛に、心から感謝するのだった。そしてようやく日本を目前にする日がくるが、祖国は彼らに冷たすぎる仕打ちをした…。運命に翻弄される人間の真の強さを問う壮大な物語、涙の完結巻。
天保3(1832)年、熱田から、千石船宝順丸が14人の乗組員を乗せ江戸に向かって出航した。しかし遠州灘で激しい嵐に遭い、船は遭難してしまう。1年2か月後、乗組員の中で生き残った、豪胆な岩松、明朗快活な久吉、心優しい音吉の3人は、奇跡的に北アメリカに漂着した。彼らを待ち受けていたのは、想像を超える数奇な運命だった…。逆境の中、諦めることなく、希望を持って生き抜く男たちを描いた感動の時代巨編、第1巻。
遠州灘で遭難し北アメリカに漂着した岩松、久吉、音吉の3人は、現地の先住民に捕らえられてしまった。しかし偶然にも岩松たちの窮状を知ったイギリスの商社・ハドソン湾会社の厚意で、帰国の途が開かれる。大きな期待を胸にイギリス軍艦イーグル号に乗り込んだ3人は、幾多の困難を乗り越えロンドンの地に降り立った。そこで見たものは、鎖国政策を行う祖国とはあまりに違う進んだ光景だった。魂をゆさぶる人間ドラマの中巻。
公安部vs.刑事部、分裂するキャリア官僚。権力と陰謀の迷宮を刑事たちは食い破れるか!?旧大蔵省次官を経験した元高官が相次いで殺された。政治テロか、それともー。浮かびあがったのは、7年前、政官財を揺るがした疑獄事件。その事件で殉職した松浦刑事の息子・亮右の名が捜査線上に挙がる。松浦の盟友は亮右を緊急避難させるが…。
銭湯で転倒し、頭を強打。記憶を失った羽振りのいい男。居合わせた売れない貧乏役者・桜井は、出来心からロッカーの鍵をすり替え、彼になりすます。が、その男はなんと、誰も顔を見たことのない伝説の殺し屋だった!桜井は男にきた大金の絡んだ危ない依頼を受けてしまい大ピンチに。一方、記憶を失い自分を桜井だと思い込んでいるコンドウは、真面目に努力して、役者として成功することを目指し始めてしまう…。
佐内功児、33歳。夜の街での生活に疲れ、地方都市に住む兄・啓一のもとを訪ねた功児を待っていたのは、若き家庭教師・梨乃の肉体だった。昼は清純、夜は淫らな顔を見せる梨乃に功児は魂を奪われ、彼女を東京に連れて行くと約束する。一方、啓一の妻は浮気を繰り返しており、兄はそのせいで揉め事に巻き込まれていた。功児はトラブルを解決するふりをして大金をかすめとる計画を立てるが…オリジナル官能シリーズ第2弾。
あの日の夜、豪商“薩摩屋”の蔵から聞こえた猫の声。不審に思った番頭が蔵の扉を開けると、闇の中には驚くべき化け物が!そしてふと気がつくと、千両箱3つが消えていたー。巷で噂の義賊「怪盗一寸小僧」が現れたのだった。同じ頃、風変わりな姫さまの駆け落ち騒動が持ち上がる。妙な書き置きを残して消えた姫さまは、一体どこに?“謎解き屋”を始めたモテ年到来の静湖姫が不思議事件の謎を追う、大好評シリーズ第3弾。
一風変わった幼稚園の同窓会に招かれた隆一は、ミライと出会う。母の記憶が曖昧になりつつあるいま、会ったことのない父親を捜しているというミライ。人嫌いの厭人家という逸話、そして父らしき男がかすかに写った写真。手がかりはそれだけ。写真を見た隆一の姉は、言った。「この人、ゴリじゃない?」。70年代に消えた父は、何者なのか。二人は“エンジン”を捜すうち、風変わりな人々に巡り会い、近過去という時代を紐解いていく。
あれは、ぼくがやったのかー?目を覚ました八雲の側にあった、血まみれの遺体。混乱する八雲の前に、制服姿の少女の幽霊が現れる。「-赦さない」呟く少女を追って歩き出した八雲は、殺人の疑いをかけられ追われることに。一方、後藤から八雲が容疑者扱いされていると知らされた晴香は、八雲が姿を消す直前、ある心霊現象の調査を依頼されていたことを突き止め…!?追い詰められる八雲の運命は!?大人気シリーズ、緊迫の第8弾。
その夏、英国の小さな村では蛇が異常発生していた。獣医のクララはある老人の死に疑問を感じる。死因は蛇の毒だが、1匹に咬まれたにしては毒の濃度が高すぎるのだ。さらに近所の家で、世界で最も危険と言われる毒蛇を発見する。数々の事件は、何者かの策略なのか?言い知れぬ恐怖と謎に挑む女性獣医の姿を圧巻の筆致で描きMWA賞受賞に輝いた、荘麗なゴシック・ミステリ。
蛇をめぐる事件が村の静寂を破り、住人を脅かしていく。獣医であるクララは原因を調べはじめるが、たまたま知り合った老女、ヴァイオレット殺害の最有力容疑者として逮捕されてしまう。全財産をクララに譲ると書かれた遺言状が残されていたのだ。釈放された後、自分を窮地に陥れた犯人を懸命に追い続けるクララが辿り着いた驚愕の真相とは。英国ミステリの旗手が贈る新たな傑作。
1929年、春のベルリン。ゲレオン・ラート警部が、わけあって故郷ケルンと殺人捜査官の職を離れ、ベルリン警視庁風紀課に身を置くようになってから、一ヶ月が経とうとしていた。殺人課への異動を目指すラートは、深夜に自分の部屋の元住人を訪ねてきたロシア人の怪死事件の捜査をひそかに開始するが…。今最も注目されるドイツ・ミステリが生んだ、壮大なる大河警察小説開幕。
怒涛の日々を送るベルリン警視庁のラート警部。ベルリンを震撼させる殺人事件の謎、消えたロシア人歌姫の消息、都市に暗躍する地下組織、ひそかにベルリンに持ち込まれたとささやかれる莫大な量の金塊の行方…。予測不能の成り行きで、絶対絶命のピンチに陥ったラートに光明は射すのか?転換期の首都と人を鮮やかに活写する、傑作大河警察小説。ベルリン・ミステリ賞受賞作。
優等生の委員長と不良少女の淡い恋、すべてはそこから始まった。彼女が自力で人生を立て直すことができたなら、十年後にあるものを渡そう。そして約束の日、三年前から行方不明だという彼女の代わりに、夫を名乗る人物がやってきたがー。ニューヨークから帰ってきた青年と、幽霊騒動に巻き込まれた少年少女、そして最高の「相棒」が織りなす、約束と再会の物語。
1948年1月26日。雪の残る寒い午後。帝国銀行椎名町支店に白衣の男が現われた。男が言葉巧みに行員たちに飲ませたのは猛毒の青酸化合物。12人が死亡、四人が生き残り、銀行からは小切手と現金が消えた。悪名高い“帝銀事件”である。苦悶する犠牲者たちのうめき、犯人の残した唯一の物証を追う刑事のあえぎ、生き残った若い娘の苦悩、毒殺犯と旧陸軍のつながりを知った刑事の絶望、禁じられた研究を行なっていた陸軍七三一部隊の深層を暴こうとするアメリカとソヴィエトそれぞれの調査官を見舞う恐怖、大陸で培養した忌まわしい記憶と狂気を抱えた殺人者。史上最悪の大量殺人事件をめぐる12の語りと12の物語ー暗黒小説の鬼才が芥川龍之介の「薮の中」にオマージュを捧げ、己の文学的記憶を総動員して紡ぎ出す、毒と陰謀の黒いタペストリー。
勇者互助組合ーそれは、役目を終えた退役勇者達によって運営されている、時空を超えて様々な世界の『勇者』をサポートする組織。現役勇者や退役勇者同士の交流にも力を入れており、交流型掲示板の設置・保守もその活動のひとつである。そんな勇者の、勇者による、勇者のための掲示板で交わされる、『勇者』の概念を揺さぶるような、禁断の本音トークの数々-あまりにも理不尽な設定、信頼できない仲間への愚痴、誰にも相談できない秘密の失敗談…勇者同士でしか分かちあえない、胸に秘めた思いを解き放つべく、今日もまた、勇者互助組合・交流型掲示板にスレが立つ。
妻を看取って十余年、人生の行き止まりを意識し始めた嶺村浩平は、古いトランクからかつての大学のゼミ仲間・瀬戸重子の若々しい写真を見つける。そして甦る、重子と一度きりの接吻を交わした遠い思い出。思わぬ縁で再会した重子の勧めで、七十代にして初めて携帯電話を持った浩平は、秘めた想いをメールに込めるが…。恋に揺れる、老いの日々の戸惑いと華やぎを描く傑作小説。
結婚すれば世の中のすべてが違って見えるかといえば、やはりそんなことはなかったのだー。互いに二十代の長く続いた恋愛に敗れたあとで付き合いはじめ、三十を過ぎて結婚した男女。不安定で茫漠とした新婚生活を経て、あるときを境に十一年、妻は口を利かないままになる。遠く隔たったままの二人に歳月は容赦なく押し寄せた…。ベストセラーとなった芥川賞受賞作。
ギリシア神話にしか登場しなかった伝説のトロイア。しかし、その伝説を信じ、ついにはトロイアの都が実在していたことを証明してみせた男ーシュリーマン。18か国語を操り、巨万の富を築いた実業家でありながら、どんな環境におかれても希望を見失わず、トロイア発掘の夢を追い続けた人物の情熱的な生涯をつづった自伝を漫画化。