2012年発売
“見えないはずのものが見える”能力を持つビデオ製作者のエリックは、93歳の大富豪、キャンベル・ブラッドフォードの生涯を探るビデオ製作を依頼される。手がかりはキャンベルが唯一手放さなかったプルート水という水と、「あの川は本当に冷たかった」というひと言だけ。彼の故郷に到着したエリックは、蒸気機関車に乗った山高帽の男を幻視し…。早熟の天才が放つ傑作ミステリ。
エリックは好奇心から口にしたプルート水の壜が、なぜかどんどん冷えていくことに気づく。さらに水は、ヴァイオリンを弾く少年の幻覚を見せる。様々な幻覚に襲われ始めたエリックは、キャンベルが生きていれば116歳になるはずで、殺しも辞さない悪党だったことを知る。では93歳のキャンベルは何者なのか。ここでいったい何があったのか。期待の新鋭が放つ、鮮やかな一大巨編。
出色の脚本を得て名プロデューサー復活の狼煙を上げるはずが、誤算続きのピーター・ダルース。忌まわしい噂のある劇場をあてがわれ、難点だらけの俳優陣を鼓舞してリハーサルを始めたが、無類漢の乱入に振り回されたあげく死者まで出る仕儀と相成った。真相究明か興行中止の憂き目に遭うか、初日は目前に迫っている!謎解きとサスペンスの興趣に満ちた、パズルシリーズ第二作。
アスラウグは母とふたりで暮らしていた。野草を食べ、薬草を煎じる毎日。母が今日欲しがっているのは、毒のあるマッドアップル…。2007年、アスラウグにかけられているのは殺人未遂と第一級謀殺の容疑。ほんとうに彼女は母親とおばといとこを殺したのか?証言のたびに、浮かび上がる万華鏡のような事件の様相。真実は?全米図書館協会ベストブックに選ばれた、気鋭の処女作。
善い人ばかりが住むと評判の長屋に、ひょんなことから錠前職人の加助が住み始めた。実は長屋の住人は、裏稼業を持つ“悪党”たち。差配の儀右衛門は盗品を捌く窩主買い。髪結い床の半造は情報屋。唐吉、文吉兄弟は美人局。根っからの善人で人助けが生き甲斐の加助が面倒を持ち込むたびに、悪党たちは裏稼業の凄腕を活かし、しぶしぶ事の解決に手を貸すが…。人情時代小説の傑作。
マークが、事故に遭った。カリン・シュルーターはこの世に残ったたった一人の肉親の急を知らせる深夜の電話に、駆り立てられるように故郷へと戻る。カーニー。ネブラスカ州の鶴の町。繁殖地へと渡る無数の鳥たちが羽を休めるプラット川を望む小さな田舎町へと。頭部に損傷を受け、生死の境を彷徨うマーク。だが、奇跡的な生還を歓び、言葉を失ったマークの長い長いリハビリにキャリアをなげうって献身したカリンを待っていたのは、自分を姉と認めぬ弟の言葉だった。「あんた俺の姉貴のつもりなのか?姉貴のつもりでいるんなら、頭がおかしいぜ」カプグラ症候群と呼ばれる、脳が作り出した出口のない迷宮に翻弄される姉弟。事故の、あからさまな不審さ。そして、病室に残されていた謎の紙片ー。幾多の織り糸を巧緻に、そして力強く編み上げた天才パワーズの驚異の代表作にして全米図書賞受賞作。
美貌で美脚。傍若無人のキャリア系女子・椿木綾乃警部。実はキレ者?それともただの変態?小山田聡介刑事。魔法使い少女マリィ。待望の新シリーズSTART!謎と魔法のユーモア・ミステリー。
かつて検事補殺しの裁判で無罪を勝ち取り、今や判事の座に昇りつめたラスティ・サビッチ。彼の妻バーバラが変死した、遺体の発見から通報までに空白の一日があったことに疑惑を抱いた検事局の調べで、サビッチに愛人がいたという事実が浮かび上がった。次々に状況証拠が積みあがる中、かつてサビッチの裁判で屈辱的な敗北を喫した地方検事トミー・モルトは、ついにサビッチを妻殺しで訴追することを決意した。そして因縁の法廷が幕を開ける。サビッチは妻を殺したのか、遺体発見後の空白の時間は何を意味するのか、彼は何を隠しているのか?嘘と真実と駆け引きが白熱する。そして衝撃の真実はすべてが終わったあとに明かされる。それはあまりに悲しく痛ましく、人間の愛と憎悪を描き出すー歴史的名作『推定無罪』続編の名に恥じぬ重厚なる傑作。
左耳から聞こえる歌声の謎、桃子の特殊能力の秘密が、遂に明かされる!?超常現象に襲われるヒロインが、役者気取りの元ヤンが、無愛想なイケメンが、事件・事故の「謎」に挑む新感覚ミステリ!洗い出せるのは、私たちだけ。
岐阜県郡上市に790年も囲炉裏の炎を消さないで守り続けている家がある。炎のメッセージに込められた意味とは?いにしえ人の息遣いが時空を超えて伝わる歴史物語第一・二話。
通訳として訪れたイルダニア国でテロに巻き込まれた春樹は、国王のナウファルに救出される。だが、それはナウファルではなく双子の弟アズハールだった。イルダニア国では双子は禁忌の存在。彼らの秘密を知った春樹は、性奴隷としてハーレムに監禁されてしまう。兄の影として生きるアズハールに次第に惹かれ始めていく春樹。しかし、国王の命を狙う魔の手が、身代わりを務めるアズハールに伸びてきて…。
七年前に恋人の誠樹を喪って以来、実業家の従弟の秘書を務めながらひとり静かに生きてきた千明。そんな千明にはここ一年ほど密かに気になっている相手がいた。それは従弟のビジネスパートナーである天才パティシエの加地だ。最近は仕事の上だけでなく、プライベートでも一緒に美術館巡りをする仲。自分は再び誰かを愛せるのか。もしまた大切な存在を喪ったらと千明の心にブレーキがかかり…。雨色ハートフルラブ。
不吉な塊が心を終始おさえつけていたー。なぜ人間は見すぼらしく壊れたものに魅きつけられるのか?梶井基次郎は生涯死と隣合わせに生きながら、表題の『檸檬』をはじめ『桜の樹の下には』『冬の蠅』などで、そんな人間の心の深淵を詩情豊かに表現し続けたー。「近代日本文学の古典」とも言われる小品群をあわせて漫画化。
事件はいつも職員室でおきている!?銀八先生を筆頭に激烈キャラの3Zに負けず劣らずの超個性的な教師陣。そこに新任教師・月詠も加わって、ボケっぱなしの職員会議はさらにエスカレート!不死鳥のごとく蘇る銀八先生シリーズ、今度はファンキー教師が大活躍。
“悪”を秘めた女は駆除するー。若い女性を殺し、人差し指を切り取る「指蒐集家」が社会を震撼させていた。捜査一課のエース西條輝司は、捜査に没頭するあまり一線を越え、窮地に立たされる。これは罠なのか?男たちの嫉妬と裏切りが、殺人鬼を駆り立てる。挑発する犯人と刑事の執念。熾烈な攻防は驚愕の結末へ。第23回山本周五郎賞受賞作。
幼い頃からチャイルドモデルをしていた美しく健やかな少女・夕子。中学入学と同時に大手芸能事務所に入った夕子は、母親の念願どおり、ついにブレイクする。連ドラ、CM、CDデビュー…急速に人気が高まるなか、夕子は深夜番組で観た無名のダンサーに恋をする。だがそれは、悲劇の始まりだった。夕子の栄光と失墜の果てを描く、芥川賞受賞第一作。
会津が降伏開城した夜、見上げた空には銀の月、無残に散った親友の美しい顔ー。壮絶な篭城戦を生き延びた会津藩砲術指南役の娘・山本八重は、薩長への突き上げるような憎しみに葛藤する。アメリカ帰りの牧師・新島襄と結婚した時、心に期したこととは。時代に挑戦し続けた女性の激動の一生と心模様を描ききった画期的小説。
人形屋の清兵衛が胸に杭を打ちこまれて死んでいた。そばに落ちていたのは、首に赤い紐が巻かれた五寸のひとがた。神社の境内で亡くなった若い娘からも奇妙な人形が発見されて…。殺人を暗示する人形と三つの死というシリーズ最大の難題に根岸肥前が挑む!しめ婆さんが活躍する書き下ろし余話「気に入らない幽霊」を新収録。