2012年発売
交通事故で死亡した女性の財布に残されていた新聞広告の切り抜きには、暗号めいた数字が記されていた。十津川警部は、この切り抜きに隠された犯行計画に気づく。それは、首相と総務大臣が首相公邸で死亡した事件に端を発していた。一方、京都駅の0番ホームには、新聞広告を目にした犯人グループが集結する。寝台特急に乗り込んだ彼らの綿密な計画とは?豪華寝台特急「カシオペア」の中で、犯人との息詰まる攻防が始まる。
今回の陣触れはひどく急だった。神子田久四郎らが参陣した青山信濃守の軍勢は、国境にある敵城へと向かっていた。城主・武田左近将監の討死の報せを聞き、急ぎ出陣したにもかかわらず、榎沼城はすでにいくさ支度を調えて待ち構えていた。この城攻め、何かおかしいー。無理難題の主命、敵方には貴族出の女城主。矢玉飛び交う戦場で運と欲に翻弄される人びとは、生き残りと恩賞をかけて駆け回る。
売れっ子絵師・清麿の美人画に描かれ大人気となった町娘のおみねとおその。だがそれ以来ふたりは、何者かに付け狙われるようになった。“謎解き屋”を始めた三十路の姫さま・静湖姫は、その不届き者捜しを依頼されるが、同日に発生した別の美人町娘の殺人にも首を突っ込み…。江戸で起こる不思議事件、奔走する姫、熱い視線を姫に送る男たち。恋に事件に大忙しの姫に、幸せは訪れるのか。
平和を享受してきた伊賀国に暗雲が垂れ込める。隣国の伊勢を手中にした織田信長の侵攻が、いよいよ始まろうとしていた。伊賀国衆の子弟たち、忠兵衛、小源太、勘六、左衛門の4人は、押し寄せる信長の軍勢を前に、それぞれの選択を迫られる。信長の走狗となる者、屈辱に耐えようとする者、信長の命を狙う者、そして、特別な道を選ぶ者。故郷を愛した竹馬の友は、非情な運命に引き裂かれていく…。
幼なじみ・サヨの死の秘密を抱えた17歳の私は、ある女性に夢中だった。白い服に身を包み自転車に乗った彼女は、どこかサヨに似ていた。想いを抑えきれなくなった私は、彼女が過ごす家の床下に夜な夜な潜り込むという悪癖を繰り返すようになったが、ある夜、運命を決定的に変える事件が起こってしまうー。幼い嘘と過ちの連鎖が、それぞれの人生を思いもよらない方向へ駆り立ててゆく。最後の一行が深い余韻を残す、傑作長編。
浜松町の茶問屋「駿河屋」の姉妹は揃って器量よし、財産もあるが、結婚しないまま三十路を過ぎた。この先、気に入らない親戚に家を継がせるのも業腹だ。そこで妹のちよは名案を思いつく。白羽の矢が立ったのは、芝神明前の腕利き医師・北村宗哲のもとに出入りする浪人、長井判四郎。が、元渡世人の宗哲は、群雄割拠する江戸の裏社会に顔が利くだけあって、半四郎もややこしい状況に置かれていた…。人気シリーズ、堂々の完結。
次郎吉の目前で娘が腕を斬られた。娘は峰といい、奉公先の主人と通じ、その妻の恨みをかって襲われたのだった。峰の父は、娘の不貞に激怒するが、浪人暮らしの父を思い手当てをもらっていたことを知り、言葉を失う。そして、一度は断った「ある仕事」を引き受ける決意をした。それは、武士としてのプライドを捨てるものだったが…。
舞子は刑事をやめ警察が見捨てた“捨て山”事件を追う日々。沢はそんな舞子を見守っている。チョコザイはNYのFBIでラリーと訓練を続けていた。ある日チョコザイは施設のモニターに映る日本語の殺人事件のニュースに反応。画面に沢の姿を目撃すると「Mission accepted…」とつぶやいた…。再びタッグを組んだチョコザイ、沢、舞子が絶妙なチームワークで犯人に迫る。待望のスペシャルドラマ、完全ノベライズ。
夏休みの終わり、鳳城学園に戻った泉水子は、正門でふと違和感を覚えるが、生徒会執行部として学園祭の準備に追われ、忘れてしまう。今年のテーマは「戦国学園祭」。衣装の着付け講習会で急遽、モデルを務めることになった泉水子に対し、姫神の出現を恐れる深行。果たして終了後、制服に着替えた泉水子はやはり本人ではなく…。物語はいよいよクライマックスへ。姫神から語られる驚くべき事実とは。RDGシリーズ第4巻。
奇跡調査官の初仕事を終えた平賀は、ある少年と面会することに。彼は知能指数測定不能の天才児だが、暇にあかせて独自に生物兵器を開発するなど危険行為を繰り返し、現在はバチカン情報局で軟禁状態にあるという。迷える少年の心を救うため、平賀のとった行動とは…(表題作)ほか、ロベルトの孤独な少年時代と平賀との出会いをえがいた「日だまりのある所」、ジュリアの秘密が明らかになる「ファンダンゴ」など計4編を収録。
本物の天女ではとも囁かれる妖しき美貌の湯女・お藤。その巧みな語りの噂を聞きつけて、和気湯には様々な客が訪れる。珍しい女客とは、頭の形が異様な人形を作り続ける母と不気味な観音像の話を、湯女になるという女とは、首と腸のみで飛び回る異国の精霊の話を、熊のような侍とは、己の中の別人格に悩まされる話をー語り合うのだった。お藤の前にまた、嘘とも真実ともつかぬ奇妙な物語が立ち上る。傑作時代怪談、第2弾。
美人鑑定家が奔放な知識で「人の死なない」コージー・ミステリに挑む、エンタメ・ノヴェルの先駆的ブランド「Qシリーズ」。総額8億円もの切手コレクションから1枚300万円の変わり種銀貨、満開のソメイヨシノまで、あらゆるアイテムにまつわる不可思議と、胸のすくような謎解き、驚くべき結末の数々。ついには凛田莉子の最大のライバル、雨森華蓮が出所し…。面白くて知恵がつく至福の読書、Qの短編集、大反響の第2巻。
豊臣氏滅亡から十年。三代将軍家光と大御所秀忠の対立を背景に、天海、柳生宗矩、宮本武蔵、伊達政宗ら、欲に憑かれた者どもが死闘を繰り広げていた。彼らの狙いは、幕府転覆すら招く豊臣氏の遺宝“豊国神宝”。この醜い戦いのゆえに愛する人々を奪われたとき、若き剣客・木下右近もまた修羅の鬼となる決意をするー。豊国神宝とは何なのか?気鋭が描く大活劇。
ある外国語大学で流れた教授と女学生にまつわる黒い噂。乙女達が騒然とするなか、みか子はスピーチコンテストの課題『アンネの日記』のドイツ語のテキストの暗記に懸命になる。そこには、少女時代に読んだときは気づかなかったアンネの心の叫びが記されていた。やがて噂の真相も明らかとなり…。悲劇の少女アンネ・フランクと現代女性の奇跡の邂逅を描く、感動の芥川賞受賞作。
雄略天皇から大伴家持に至るまで、万葉時代のさまざまな和歌を集めた歌集『万葉集』。この時代をふり返ってみると、大陸の脅威を感じはじめた古代日本人の姿があった。激動の時代のなかで人々はどのような想いを歌っていたのか?今なお日本人を惹きつけてやまない、日本文学の原点とも言える名歌の数々を漫画化。