2012年発売
大坂西町奉行所に型破りな奉行が赴任してきた。名は大邉久右衛門。大食漢で美食家で、酒は一斗を軽く干す。ついたあだ名が「大鍋食う衛門」。三度の御膳が最優先で、やる気なしの奉行に、与力や同心たちはてんてこ舞い。ところが事件が起こるや、意外なヒラメキを見せたりする。ズボラなのか有能なのか、果たしてその裁きは!?食欲をかきたてる、食いだおれ時代小説。
模索と発見の小説黎明期。違和感も陶酔も、いま触れるすべてが新しい。明治二二年から三五年に発表された、逍遙・鴎外・一葉・鏡花らの一二編を収録。
「恋よ、笑いよ、喜びよ、よき滑稽話よ」-身分違いの恋人たちの命をかけた一夜の逢瀬、中世の「淫夢魔」の謎めいた裁判記録、フランソワ・ラブレー師の最後の説教…。典雅な言葉に、きわどい諷刺、人間社会の根幹をえぐり出す、天衣無縫の第二輯(全3冊)。
田辺真理子、三十歳過ぎ。やがてこの名前は消える。年末のある日、何者でもなく生きたいと望み、ひとり東京を離れ、雪深い街へと逃れる。理髪店の二階の六畳一間に仮住まいをし、ラブホテルの受付として働きながら日々を過ごす。あるきっかけから絵のモデルもつとめることに。この空虚な生は何を逃れ、また何をもとめてさまようのだろうか。
「黄金郷ヒライズミ」の地図を入手したシュリーマンは、一攫千金と名声獲得の野望を抱き来日。髭を伸ばして蝦夷に変装し、偽者を横浜に置いて平泉に上る。それを阻む修験者と謎の黒装束集団の争いが勃発。険しい山中をさらに分け入るシュリーマンは、秘宝を目前にしてついに短筒を構えた。
戦乱の世、上州の小領主の次男として生まれながら、武人としてより兵法者としての道を選び、「剣聖」となった漢がいたー。剣の修行に明け暮れていた少年は、過酷な立切仕合を経て出会った老齢の師から「己の陰を斬る」ための陰流を皆伝される。だが己自身の奥義はまだ見つからない。大型歴史巨編開幕。
貧しいジャン・ヴァルジャンはパンを盗んだ罪で監獄に送りこまれて十数年ものあいだ苦しみ、さらに出所後も差別に悩まされる。しかし、ある司教に出会ったことで生まれ変わった彼は、まったくちがう人生を歩きはじめる。そして、不幸な美女ファンテーヌと出会い、彼女を救おうとするが、執拗に追いまわすジャヴェール警部が行く手に立ちふさがる。フランス文学の金字塔にして娯楽小説の真髄が、コンパクトな新訳で登場。
あわただしい時代のなかで、貧しくても上昇志向でがんばっていた青年マリウスは、ある美少女に恋をした。謎の男性といつも一緒のコゼットだ。彼女への思いをつのらせる彼だったが、革命騒ぎのまっただなかに巻き込まれ、絶対絶命となる。そのとき、コゼットと一緒にいた男、ジャン・ヴァルジャンと再会した!ジャヴェール警部、凶悪犯テナルディエなどもまじえながら、壮大な物語は感動のクライマックスへと向かうー。
雨の黄金郷で戦人は待つ。悲しき魔女の心が房るのを。ベアトリーチェと戦人が不在のゲーム盤上では、ラムダデルタ・ベルンカステルの二人による第五のゲームが進んでいた。あくまでも金蔵の死を隠す夏妃を、ベルンカステルの手が追い詰める。その攻撃の切っ先は、ついに夏妃が守る六軒島の幻想へ届く。
南北に分断され、探偵行為が禁じられた日本。空閑純は探偵を目指していた。彼女の両親は名探偵として活躍していたが、母は事件を追い行方不明となり、父は殺人事件の推理をした罪で逮捕され、裁判を待つ身となっている。失踪した母の足跡をたどり、純は九州の山奥にある深影村を訪れた。だが、テロにより村に通じる唯一のトンネルが破壊され、連続殺人事件が発生!暗躍する特殊部隊、蠢く陰謀、蔓延るコンピュータウイルスー論理爆弾!少女は探偵の業をその身に刻み、真実と対峙する。
穏やかな引退生活を送る男のもとに、見知らぬ弁護士から手紙が届く。日記と500ポンドをあなたに遺した女性がいると。記憶をたどるうち、その人が学生時代の恋人ベロニカの母親だったことを思い出す。託されたのは、高校時代の親友でケンブリッジ在学中に自殺したエイドリアンの日記。別れたあとベロニカは、彼の恋人となっていた。だがなぜ、その日記が母親のところに?-ウィットあふれる優美な文章。衝撃的エンディング。記憶と時間をめぐるサスペンスフルな中篇小説。2011年度ブッカー賞受賞作。
NYの五番街にあるフレンチ百貨店。そのショーウィンドウに展示された格納ベッドから女の死体が転がり出た!殺されたのは百貨店の社長夫人。そのハンドバッグからは不審な白い粉が入った娘の口紅が見つかり、娘は夫人の死と相前後して失踪していた。状況から娘が犯人かと思われたが…。皮肉屋で愛書家の推理作家、エラリーが膨大な手掛かりから唯一の真実に迫る。華麗さを増す名推理。“国名シリーズ”第2弾。
シングルマザーに育てられた奈々は、結婚を翌年に控えた12月、実の父親が軽井沢で働いていると聞き、ひとり訪ねていく。ランタンが灯る教会で聞かされたのは意外な真実だった(「ひかりのひみつ」)。愛犬を亡くし哀しみに暮れる男、ダンナの浮気を疑う妻、義母の介護を献身的に続ける主婦…毎日を懸命に生きながら少しずつ歩みを進める人たち。大切な人との絆を丁寧に描いた、心にじんわりとしみわたる8つの家族の物語。
「あなたたちはアセンションされました。これから、命をかけたゲームをやってもらいます」クラスで忘年会をしていた高校3年生の啓太たちは、突然不気味な仮面の人物によって体育館に監禁される。ここから出られるのはたった2人。男女でペアとなって様々なゲームを勝ち抜くしかない。負けた者を待つのはロスト=死。駆け引き、暗躍、裏切り…究極の心理戦が幕を開ける。緊迫のノンストップ・サバイバル・ホラー。