2013年10月16日発売
不屈の意志と教養に加えて底知れぬ財宝をもつモンテ・クリスト伯は、人々の賞賛と感嘆をよそに冷やかにすべてを予見し、巧みな変装を用いて計画を着実に進めてゆく。仇敵ダングラール、モルセール、ヴィルフォール三家の運命は彼の掌中に握られている。
身分と慣習を乗り越え結びあう二つの魂、その前に立ちはだかった苛酷な事実。再びただ一人で歩きだしたジェインが、放浪の果てに出会うのはー自由を求め、自らの意思で運命を切り開く若い女性が語る、時代を超えた鮮烈な愛の物語。新訳。
日が暮れてから湖の小島にひっそりと立つ細蟹の市。国宝級のお宝、非合法なもの、生き死にの区別なく人間さえが売られ、お面をつけた異形の者が跋扈する。その異世界に迷い込んだ記憶喪失の少年カンナは市守りのサザに助けられる。自分は果たして何者なのか。甘美な悪夢に読者を誘うファンタジック・ホラー。
王国の行く末を左右しかねぬ政治的運命を背負ったエリンは、女性として、母親として、いかに生きたのか。エリンの恩師エサルの、若き頃の「女」の顔。まだあどけないジェシの輝く一瞬。一日一日、その時を大切に生きる彼女らのいとおしい日々を描く物語集。エリンの母ソヨンの素顔を描いた単行本未収録短編「綿毛」収録。
何時、どこで、誰が、何を、何故、どのように?ミステリーの基本「5W1H」を手掛かりに魅惑的な謎を解く。シリーズ第八弾の案内人はいま最も注目を集める作家・辻村深月。自身の思い出も含めた書下ろしの解説とともに選んだ、一九七七年、一九八七年、一九九七年の七つのベストミステリー。
大晦日までの僅かな期間にだけ立つ「細蟹の市」。そこで手に入らぬものはないといわれ、欲望と幻想が妖しく交わるこの場所も、しかし少しずつ衰退の兆しを見せていた。滅びの予感に身をゆだねながら、赤腹衆のサザは最後の市守りとして今年もまた仮面をつけ、夜ごと市を巡回する。そんな折、市に大道芸人の父娘が流れてきた。彼らはある呪いを解くため、「うろくづ」という不思議な道具を探しもとめており…。