2013年11月発売
御子柴礼司は被告に多額の報酬を要求する悪辣弁護士。彼は十四歳の時、幼女バラバラ殺人を犯し少年院に収監されるが、名前を変え弁護士となった。三億円の保険金殺人事件を担当する御子柴は、過去を強請屋のライターに知られる。彼の死体を遺棄した御子柴には、鉄壁のアリバイがあった。驚愕の逆転法廷劇!
美奈子は滝川クリステル似の23歳。書店のお気に入りの作家の棚の前で偶然出会った冴えない男と話が弾んで、なぜか男の部屋まで来てしまった。官能小説を朗読させられた美奈子は次第に感情がこもりすぎてしまう。(第1話「美奈子」)。女性視点での体験告白風小説を20編収録。週刊現代連載『平成好色女列伝』改題。
全財産は、3円。私はささいなきっかけで大手証券会社勤務からホームレスに転落した。寒さと飢えと人々からの侮蔑。段ボールハウスの設置場所を求め、極貧の日々の中で辿りついた公園で出会った占い師と美形のホームレスが、私に「新興宗教創設計画」を閃かせた。はじき出された社会の隅からの逆襲が始まる!
三人で立ち上げた新興宗教団体「大地の会」は私が描いた設計図どおりに発展。それどころか会員たちの熱狂は、思惑を超えて見る見る膨れ上がっていく。奇跡のような生還と劇的な成功。だが、そこで私を待っていたのは空虚な祝祭と不協和音だった。人間の底知れる業と脆さを描ききった傑作長編、慟哭の結末!
高校最後の文化祭準備が始まった。夕士のクラスの出し物は男子学生服喫茶だ。担任の千晶には禁断のコスプレ姿で喫茶店のオーナーをやってもらうことになった(なんでも千晶はかつてクラブ経営をしていたらしい)。準備の真っ只中、夕士は自分のノートに悪口が書かれていることに気づく。一体誰なのかー。
加賀百万石。江戸城の実権を握る大老酒井忠清は、なんと外様大名の加賀藩主前田綱紀を、次期将軍に擁立しようとする。外様潰しの策略か、親藩入りの好機か。藩論は真っ二つ。襲撃された重臣前田直作を助けた若き藩士瀬能数馬の運命も、大きく動き出そうとしていた。大型新シリーズ、開幕!文庫書下ろし。
二〇××年、中国でサッカー・ワールドカップが開催された。しかし、スタジアムから遠く離れた雲南省で致死率六〇%の強毒性インフルエンザが出現!中国当局の封じ込めも破綻し、恐怖のウイルスがついに日本へと向かった。検疫が破られ都内にも患者が発生。生き残りを賭け、空前絶後の“東京封鎖”作戦が始まった。
戦争が終わり、すべてが瓦礫と化した街。復員した丑松の脳裏に浮かんだのは「食堂の社長になりたい」という戦死した幼なじみが語った夢だった。大阪の闇市に向かった丑松は、戦争孤児や戦友とともに無一文から商売を始める。「皆が腹一杯になる世の中に」。復興を支えた「戦う男」の物語。
救いたい、その一心で嫂を手にかけた黄巾の子、廖淳。若き日の劉備に拾われ、関羽や張飛の下で武芸を学び、やがて少年は心底の後悔から自らを解き放つ。そして「三顧の礼」で迎え入れられた諸葛亮。俊才だが変人の軍師に気に入られた廖淳は、武将としての才覚を現していく。まったく新しい三國志、第三弾!
古い洋館を改装したホスピス「丘の上病院」。ゴールデンレトリバーの姿となって「我が主様」から地上に派遣された「死神」の私は、看護師の菜穂に保護され、「レオ」という名で丘の上病院に住むことに。そこには死神だけにわかる、この世への「未練」が放つ4人分の「腐臭」が漂っていた。この洋館では7年前に謎の“吸血鬼家族”殺人事件が起きたという。事件は未解決、裏庭には「地縛」する3つの「魂」-。「言霊」を操り、相手の「魂」を浄化し、無事に「我が主様」の元に導くことを仕事とするレオ。洋館を調べまわるうちに隠された地下室を発見し、事態は思わぬ方向へー!!現役医師がホスピスを舞台に描く、心温まるファンタジックミステリー。
憎き侵略国ヴェナヤ軍打倒を誓い、男装してスオミ軍に入隊した17歳の美少女クルッカ。そこで彼女を待っていたのは、「白い死神」の異名を持つ狙撃手シモ・ヘイヘだった。やがて始まった“冬戦争”。クルッカとヘイヘはその天才的な狙撃センスで、自国に迫り来る巨万の侵略軍を食い止める。ところが、そんな二人を排除すべく、敵軍最凶の女狙撃手が現れた!シリーズ95万部突破「ゲート」柳内たくみの大ヒットミリタリー小説がついに文庫化!
神器「草薙剣」の守護者となることが、楠木家の使命となって百余年。伊勢に侵攻してくる織田軍を視察するため津島にいた若き楠木の当主・正具は、猿顔の奇妙な男の命を救った。織田との戦がもはや避けられないところまで来たある日、正具の前に織田家の使者がやってくる。その使者の名は中村藤吉郎。以前に命を救ったあの猿顔の男だった。藤吉郎の使命は「神剣とともに楠木正具を岐阜へ連れて来ること」。第六天魔王を名乗る織田信長とは、天下を託せる人間なのか?正具はそれを見極めるべく「草薙剣」とともに信長のもとへと向かったー。
街を逃げ出した久我原がやってきたのは、司法過疎地域の南鹿村。村で唯一の法律家となった彼のもとへ、待ってましたと言わんばかりに村人が飛び込んでくる。薄幸の人妻、費用を叩く村の役人、親戚付き合いに難のある一家の大黒柱。久我原は村の雰囲気に慣れぬうちに、三人の難解な依頼を受けることにー。第32回小説推理新人賞受賞作他、久我原が所属する「群馬司法書士青年会」に降りかかった事件を描く二編を収録。現役の司法書士が描く、法律ミステリーの新境地!
江戸の裏社会で存在感を増す男、残月の異名を持つ郎次は、抜け荷の稼業を一手に仕切っており、一家の跡目を襲う立場と見なされていた。だが、一人の因業女を始末したことから、潮目が変わり、次第に抜き差しならない立場に追い込まれていく。
御一新から10年。武士という身分を失い、根津遊廓の美仙楼で客引きとなった定九郎。自分の行く先が見えず、空虚の中、日々をやり過ごす。苦界に身をおきながら、凛とした佇まいを崩さない人気花魁、小野菊。美仙楼を命がけで守る切れ者の龍造。噺家の弟子という、神出鬼没の謎の男ポン太。変わりゆく時代に翻弄されながらそれぞれの「自由」を追い求める男と女の人間模様。第144回直木賞受賞作品。
僕が小説を書くようになったのには、心に秘めた理由があった(「小説家のつくり方」)。ふたりぼっちの文芸部で、先輩と過ごしたイタい毎日(「青春絶縁体」)。雪面の靴跡にみちびかれた、不思議なめぐり会い(「ホワイト・ステップ」)。“物語を紡ぐ町”で、ときに切なく、ときに温かく、奇跡のように重なり合う6つのストーリー。ミステリ、ホラー、恋愛、青春…乙一の魅力すべてが詰まった傑作短編集!
食品輸入会社の現地職員としてアテネで働く美貴は、仕事で訪れたとある村で廃院となった修道院を見つける。その宿坊の壁に描かれた大天使ミカエルを目にして以降、彼女の周りでは次々と不可思議な現象が起こる。無人の聖堂で不意に聞こえる祈りの声、相次ぐ村人の死、積み重なる家畜の死骸。全ては神の仕業か悪魔のいたずらか。異国の地を舞台に繰り広げられるサスペンス長編。
関ヶ原合戦が終わった。天下分け目の大戦に勝利した東軍徳川方では恩賞問題に苦悩していた。黒田如水(官兵衛)に謀反の疑いあり!そんな訴えがあり、徳川家康は本多正純に真偽の究明を命じた。如水と石田三成との間に密約は存在したのか。東西決戦の絵図をひいたのは何者なのか。黒田如水・長政ら父子の情をからめ、関ヶ原合戦に秘められた謎の方程式を、鮮やかに解き明かした傑作長編。