2013年11月発売
動乱の予兆をはらむ幕末の会津藩。下級武士の家に生まれた伊庭俊輔は、頭はいいが大人しい一平、何事にも中庸を得た新次郎ら幼馴染と楽しい日々を過ごしていたが、上士の子弟に因縁を吹っかけられ袋叩きに遭う。将来を誓い合った隣家の娘である梨津に縁談話が持ち上がり、平穏な暮らしが一変する。時代の激浪にもまれ、俊輔は大切なものを守りぬけるのか。青春時代小説の新基軸、ここに始まる。
「女」という漢字を分解すると、“く”“ノ”“一”-女忍者の通称である。そのくノ一を主人公にした、傑作六篇を収録。真田方の忍者と徳川方の女忍の因縁のドラマ。愛する新妻が隠密だと知った夫の苦悩。男たちの間を流転する忍びの悲哀…。戦国乱世の裏で、江戸時代の泰平の底で、くノ一たちが濃艶に、きらびやかに乱舞する。本邦初のくノ一アンソロジー、ここに見参!オリジナル文庫。
イギリス医学界の重鎮、アーサー・ヒルがノーベル賞を受賞したー。知らせを受けた青年医師の津田は、同じ分野で研究を続けながら惜しくもこの世を去った恩師、清原の死因を探るなかで、アーサーの周辺に不審な死が多いことに気付く。彼らを死へと追いやった見えざる凶器とは一体何か。真相を追ううちに津田は大きな陰謀に飲み込まれてゆく。ノーベル賞を題材にした本格医療サスペンス。
党の粛清により、隣の男に貸した帽子を除いて、すべての写真から消滅した男。一枚の写真も持たずに亡命したため、薄れゆく記憶とともに、自分の過去が消えてしまうのではないかと脅える女…。“笑い”と“忘却”というモチーフが、さまざまなエピソードを通して繰り返しバリエーションを奏でながら展開され、共鳴し合いながら、精緻なモザイクのように編み上げられる物語。
「付き合い始めたあの頃、僕はこれっぽっちも君のことが好きじゃなかった。全部嘘だった」天才サウンドクリエーターの小笠原秋は、人気バンド「CRUDE PLAY」の元メンバー。青果店を営む家で育った小枝理子は、クリプレの大ファンの、歌うことが好きな女子高生。ビジネスとしての音楽につまらなさを感じていた秋は、気まぐれに理子に声をかけ、自分の正体を隠したまま付き合い始める。しかし、理子がクリプレのプロデューサーにスカウトされ、デビューすることに。“嘘”から始まった、秋と理子のせつない恋の行方はー!?累計四百五十万部突破同名コミックの映画版ノベライズ。
事件記者のアビーは人気俳優ジャック・ウインターのプライベートジェットに乗り込み、彼にインタビューすることになった。彼はスター然として尊大だが、スクリーンで見るよりはるかに男性らしく、強烈な魅力を放っていた。そんな中ジェット機が墜落し、ホンジュラスのジャングルに不時着してしまう。危機的状況下でアビーは不注意な行動からジャックの罰を受けることになり…。人気作家の満を持しての日本デビュー作!
ジャックと共にジャングルから救出されたアビー。帰国後、彼の手ほどきでBDSMの世界に足を踏み入れる。自分は硬派なキャリアウーマンだと自負していたのに、彼に鞭打たれると、歓びと期待感を覚えてしまうーアビーは戸惑いながらも、彼の優しさに触れ、心を解き放つのだった。そんな折、ジャックの過去がスキャンダラスに報道され、二人の間に誤解が生まれる。セクシーでホット、その上、心温まる極上ロマンス!
西暦453年、フン族王アッティラの婚礼の祝宴に沸く陣地。強力な騎馬部隊を率いて中央アジアからロシア・東欧を制覇し、帝政末期の西ローマ帝国まで脅かしたアッティラは、「神の鞭」の異名を取り、西側キリスト教徒を震え上がらせていた。そのアッティラが宴の席でローマからの使いの巧妙な手口により毒殺されるー。“トレジャーハンター”のファーゴ夫妻は知り合いの考古学者フィッシャー博士から、ハンガリーでフン族のものらしき遺跡を発見したとの連絡を受ける。遺跡からは武装した千体もの遺骸が発掘され、そのひとつの鎧にアッティラの墓のありかを示す暗号が見つかる…。
豪腕ながらも、依頼人に高額報酬を要求する“悪辣弁護士”御子柴礼司は、夫殺しの容疑で、懲役十六年の判決を受けた主婦の弁護を突如、希望する。対する検事は因縁の相手、岬恭平。御子柴は、なぜ主婦の弁護をしたのか?そして第二審の行方は?
この出逢いは、人生を変える。走るように、飛ぶように生きた三十五年の熱き奔流。子規と漱石。二人の友情は、日本の未来をひらいた。こんな友が欲しかった。こんな男に、側にいてほしかったー。伊集院静が贈る、待望の、感動の青春小説!
不妊の末に授かった息子には、出生前診断によって重大な疾患が発見されたー選べるはずのないことを選ばされ、孤立感と絶望のあいだを揺れ動く35歳のフリーランス・ジャーナリスト、ルーチェの魂の彷徨を、著者みずからの体験をもとに描いて大きな反響を呼んだイタリアのベストセラー。ローマ賞受賞。イタリア最高の文学賞・ストレーガ賞最終候補作。
もし神が気まぐれで怠け者で、おまけに惚れっぽいティーンエイジャーの男の子だったら!?そう、その神の名はボブ。そもそもの始めはこうだった。地球の神の第一候補は直前になって辞退した。この惑星は宇宙の果てにあり、労働環境が悪かったのだ。結局、地球の管理はポーカーゲームの賭け金にされ、ゲームに勝ったプレーヤーが、それを無気力な十代の息子ボブに譲り渡した。とはいえさすがに心配した理事が中年の管理職ミスターBを補佐につけ、こうして地球の天地創造は始まったのだ。そしていま、いい加減な神ボブが(またしても)若い女性に恋をした…。ポップで、八方破れで、ちょっぴりせつない。カーネギー賞、ガーディアン賞受賞作家が贈る、腹が立つけどなぜか憎めない“神”ボブと地球の物語。
小袖は読書が好きなおとなしい高校生。法事で祖父のもとを訪ねた際に、従妹から奇妙な質問をされる。「死んだ人から、手紙って来ると思う?」祖父宛に最近届いた手紙は不可解な内容だったが、六年前に亡くなった祖母が昔に書いたもののようだ。それがなぜいまごろになって?誰かの悪戯なの?思い悩んだ小袖は、その手紙の謎をある人物に話すことに…。表題作をはじめ、揺れ動く少女たちの心理を巧みに描いた、鮎川賞作家の最新短編集。
パリ発ロンドン行き、彫像在中ー荷揚げ中に破損した樽に疑惑を抱いた海運会社の社員がバーンリー警部を伴って船に戻ると、樽は忽然と消えていた。紆余曲折を経て回収された樽から出てきたのは女性の遺体。何らかの事実が判明するたび謎が深まり、ドーヴァー海峡を往き来した樽は英仏の警察官、弁護士、そして私立探偵を翻弄する。永遠の光輝を放つ奇蹟の探偵小説、新訳成る。
西アイスランドの美しいフィヨルドの湾に浮かぶフラテイ島。その島からアザラシ猟のため無人島に上陸した少年が見つけたのは、死後かなり経過した男性の死体だった。死体のポケットには、意味不明の言葉が書かれた紙切れが、伝承を集めた『フラテイの書』に隠された、災いをもたらす暗号の鍵なのか。“ガラスの鑑賞”候補作。アイスランドの島を舞台にした癒やしの北欧ミステリ。
鉄道事故で“死亡”した元オペラ歌手アイリーン・アドラーは、夫や親友とパリ郊外の村で静かに暮らしていた。だが、持ち前の好奇心が、ふたたび彼女を冒険と推理の旅へといざなう。花の都で起きたいくつもの事件に現れる入れ墨の謎を追って訪れたモンテカルロの地では、同じ事件を追う名探偵ホームズとの再会が待っていた…。稀代のヒロインによるヴィクトリア朝ミステリ第2弾。
クリスマスシーズン、メイシーズ百貨店の特設会場「サンタランド」でアルバイトしたデビッド。彼が見たのは、おかしくてアホっぽくてみっともなくて、でも切なくて少し哀しく愛おしい人間たちの素の姿ー。著書累計700万部以上のベストセラー作家のデビュー作である表題作をはじめ、クリスマス短編6篇をおさめた傑作集。
放課後。それは学生たちがいちばん自由でいられる時間。授業を終えた彼らの日常には、いろんな謎があふれてる。屋根の上を闊歩する少年、とびきりおいしいココアの淹れ方、廊下で忽然と消えた泥棒、部員獲得のための演劇勝負、名探偵と一緒にまわる学園祭。はやみねかおる、東川篤哉、米澤穂信、初野晴、恒川光太郎という人気作家5人が、彩りゆたかな学校のミステリーで競演。豪華執筆陣でおくる、傑作短編アンソロジー!
『わたしは横領着服などしていません…』無実を主張し、波照間島から去った謎の女性。樫栗芽依と名乗った彼女は、未使用の偽札を残して姿を消した。鑑定家に徹しきれない自分を恐れ、事件に関わることを避ける凛田莉子。だが、小笠原悠斗には島からの撤退命令が出ていた…。悠斗への想いと自らの道を確かめるため、莉子は再び「万能鑑定士Q」として、羽ばたけるのか?ヒロイン・コージーミステリの原点、最高傑作!