2013年12月発売
仕えるべき天青国に刃を向け、邪神の真実を求める旅に出たイオンは、英雄の孫・アルフレドとともに、火の邪神を祀る一族の街へとたどり着く。一方リッカは、国王の命を狙い王城に侵入。だが、そこで待ち受けていたのは、フェンとテオと名乗る謎の二人組だった!交錯する三人の運命と正義は、天青国に潜む闇へと近づいていく…!
寂れたカラオケ・ボックスの一室に、奇妙なニックネームで呼び合う4人の男たちが集う。なんの縁もなかったはずの、彼らの共通項は殺意だった。それぞれにどうしても殺したい相手がいることで結託した彼らがもくろんだのは、交換殺人。誰が誰のターゲットを殺すのか。それを決めるのはたった4枚のカード。そして、ひそかに実行され始めた殺人ー。シャッフルされた完璧な犯罪計画に、法月警視と綸太郎のコンビが挑む!
月光射し込む死の床で、逢わねばならぬ人がいる、成さねばならぬ事がある。愛して、憎んで、ほとばしる、思い舞い散る幻舞台ー作家生活33年、名手はついに和の美に手をそめた。筆冴え渡る傑作長編。死への道程を妖しく鋭く甘やかに描きだす、哀悼と鎮魂の物語。
終戦の年に生まれた“わたし”は、九段の花街で育った。家は置屋から芸者を呼ぶ料亭「八重」であり、母は評判の芸者で、祖母がその雇い主をつとめていた。客として訪れた父は母と知り合い、わたしが生まれた。小学二年生のとき、わたしは置屋「鶴ノ家」に住む子・哲治と出会う。それは、不可思議な運命の糸が織りなす長い物語の始まりだったー。新境地を拓く魂の長編小説。
神業と称えられる櫛職人の父。家を守ることに心を砕く母。村の外に幸せを求める妹。才を持ちながら早世した弟。そして、櫛に魅入られた長女・登瀬。幕末、木曽山中。父の背を追い、少女は職人を目指す。家族とはなにか。女の幸せはどこにあるのか。一心に歩いた道の先に深く静かな感動が広がる長編時代小説。黒船来航、桜田門外の変、皇女和宮の降嫁…時代の足音を遠くに聞きながら、それぞれの願いを胸に生きた家族の喜びと苦難の歴史。
古くからの呪術や慣習が根づく大地で、黙々と畑を耕し、獰猛に戦い、一代で名声と財産を築いた男オコンクウォ。しかし彼の誇りと、村の人々の生活を蝕み始めたのは、凶作でも戦争でもなく、新しい宗教の形で忍び寄る欧州の植民地支配だった。「アフリカ文学の父」の最高傑作。
シャープな顔立ちに鋭い眼光、鍛え上げた肉体。西城秀夫は警察庁直属の秘密捜査官だ。東名高速全線開通とともに、沿線都市の暴力団組織の動きが活発化。麻薬や密造拳銃の取引は拡大する一方だ。西城は、抜群の銃の腕前と頭脳を武器に、単身、腐敗した街の浄化へとひた走る。最初のターゲットは、麻薬密輸に荷担する麻薬取締官の抹殺だ!超人気シリーズ第一弾。
飛鳥山で暢気に紅葉狩りを楽しむ妖怪たち。その上に天から一人の仙人が降ってきた。可愛がっていた妖怪・袋貉が逃げてしまったので、探してほしいという。一方、江戸では不思議な仕事をする盗賊一味が世を騒がせていた。錠前を破りもせず、蔵の中のお宝を根こそぎ盗むのだ。どんな壁や扉も擦りぬけられる袋貉も仲間なのか?愉快、痛快、妖怪活劇シリーズ第四弾!
失踪した女友達の夫が残した「神神の黄昏」と書かれたノート。そこには「沈黙の島」硫黄島守備隊二万一千人から、米軍に救い出された生き残り一千名のうちの一人であることが綴られていた。この硫黄島の徹底した抵抗がもたらしたものは何であったか。表題作他三編を収録。
永享十三(一四四一)年。関東管領との戦いに敗れた鎌倉公方・足利持氏の遺児が幕府に反乱を起こした。総州にある古河城もそのひとつだ。火を自在に操るひょっとこ顔の異形の男・俵藤藤太は、古河城の姫・伽那を助けたことから入城することとなる。やがて反乱軍鎮圧のために、鎌倉の大軍勢十万人が押し寄せる。籠城するのは山賊野伏なども混じえたわずか八十五名。起死回生の奇策はあるのか!?第5回朝日時代小説大賞受賞作。
エーゲ海に浮かぶカルコス島には、今日も“悲しみの聖母”のイコン(聖画像)が起こす奇跡を求めて大勢の観光客が訪れていた。島に立ち寄った「太った探偵」ヘルメスは、イコンが偽物であると気づき、調査を始める。同じころ島に一人しかいないイコン作家の死体が見つかる。篤い信仰を集める、本物の“悲しみの聖母”の行方、生まれてはいけなかった禁忌の子、ロマの民が十年ぶりに島を訪れた理由などの秘密が暴かれたとき、ヘルメスは永遠に許されぬ罪に苦しむ人々の存在を知るのだった。はたして“悲しみの聖母”が起こした奇跡とは?大好評サスペンスの第四弾。
長崎県五島列島のある中学校に、産休に入る音楽教師の代理で「自称ニート」の美人ピアニスト柏木はやってきた。ほどなく合唱部の顧問を受け持つことになるが、彼女に魅せられ、男子生徒の入部が殺到。それまで女子部員しかいなかった合唱部は、練習にまじめに打ち込まない男子と女子の対立が激化する。一方で、柏木先生は、Nコン(NHK全国学校音楽コンクール)の課題曲「手紙〜拝啓十五の君へ〜」にちなみ、十五年後の自分に向けて手紙を書くよう、部員たちに宿題を課した。そこには、誰にもいえない、等身大の秘密が綴られていた。青春小説の新たなるスタンダード作品、文庫化!
電子書店で圧倒的人気を誇る「百夜・百鬼夜行帖」が遂に文庫化。津軽からやってきた盲目の美少女修法師が、江戸の町で物の怪たちを次々と調伏してゆく怪奇譚。冬だというのに現れる蝶の正体は?なんと百年前の恋文が化けて出た物で…(『冬の蝶』)。指物師の家に出てくる「深紅の大目玉」。物の怪の正体を知り、忘れかけていた親の愛情を思い出す(『魔物の目玉』)。博打に負けた左吉を助ける為、一肌脱いだ百夜。由井正雪の宝探しを始めた二人に意外な結末が…(『化人の剣客』)。笑って泣ける短編が全部で九篇。読み出したら止まらない修法師百夜シリーズ第一弾。
美しきヒロインが活躍する新書き下ろし時代小説登場!武家の家に生まれ、聡明で身体能力にも優れていた結衣は藩では隠密を務めていた。しかし五年前、何者かにより一夜にして家族を皆殺しにされ、江戸に逃げてきていた。隠れて仏壇師の見習いをしていた結衣が、あるきっかけから事件について調べ始めると、藩の中枢にいる人間たちによる不正の数々が明らかになってきた。抜け荷に加担している者たちを探ることが、家族の惨劇の真相に繋がると信じ、仲間たちと核心に迫っていく結衣。しかし、敵に襲われ斬り合いとなる。仇を討とうとする結衣の願いは通じるのか。長編書き下ろし時代小説。
時は1970年代。田舎町に住むヤンチャでムチャでワンパクな男子高校生と町の駐在さんが繰り広げるイタズラ合戦、第十九弾。金欠のママチャリたちは、駐在さんのすすめで不要品回収をはじめた。「屋根裏からストーブが下ろせなくて困った」お婆さんの所に派遣された孝昭は、屋根裏満載の不要品を下ろしてやり、御礼代わりにと貰い受けた荷物を、いざ売ろうとすると、一切が消えていた。「アパッチじいさん」の仕事とわかるが、消息は不明。そこで、ママチャリ達は一計を案ずるが、事態は想像もしない結末へと向かうのだった。「和美ちゃん・恋の700日戦争」も収録。笑いと感動の物語!
ファストフード店のトイレで死体で発見された男性は、未来を悲観して自殺したのだと思われた。半年後、小惑星が地球に衝突して人類は壊滅すると予測されているのだ。しかし新人刑事パレスは、死者の衣類の中で首を吊ったベルトだけが高級品だと気づき、他殺を疑う。同僚たちに呆れられながらも彼は地道な捜査をはじめる。世界はもうすぐなくなるというのに…なぜ捜査をつづけるのか?そう自らに問いつつも粛々と職務をまっとうしようとする刑事を描くアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペイパーバック賞受賞作!
化学物質の摂取過剰のために、出生率の低下と痴呆化が進化したニューヨーク。下水ポンプ施設の職員の視点から、あり得べき近未来社会を鮮やかに描いたローカス賞受賞の表題作、石油資源が枯渇して穀物と筋肉がエネルギー源となっている、『ねじまき少女』と同設定のアメリカを描きだすスタージョン賞受賞作「カロリーマン」ほか、全10篇を収録。数多の賞に輝いた『ねじまき少女』でSF界の寵児となった著者の第一短篇集。