2013年3月発売
深夜の自動車事故。犠牲者は、ヨットによる単独無寄港世界一周に成功し、一躍英雄となった内田洋一だった。遺体の毒物反応から、殺人事件と判明。警部補・十津川の前に次々と浮上しては消える容疑者たち…最後に真犯人と見込んだ人物には、鉄壁のアリバイがあった。東京ータヒチ間のヨットレースを舞台に繰り広げられる雄大なトリックに、十津川が挑む。長編推理小説。
都立等々力高校野球部。甲子園には程遠い弱小校に、黒人転校生がやってきた。アフロ×高校野球×恋愛が紡ぎ出す軽やかにして熱量あふれる青春ストーリー!。第7回小説現代長編新人賞奨励賞受賞作。
わたし、ハル先輩みたいな部長になれるのかなー?また新たな春が来て、音浜高校合唱部の面々はひとつずつ進級し、未来(ミク)は新部長となった。春の新入部員集め、夏の合宿、秋のコンクール、そして将来の夢について。部活、進路、恋愛、様々な悩みを抱えながら、みんな成長していくー。学園生活の四季を巡る、甘酸っぱい青春グラフィティ第二弾。
日本橋小網町河岸にある船宿「川澄」は、吉原に繰り出す客だけでなく、商談や休憩客で賑わい大繁盛。そこの腕利きの船頭・霧太郎は、亡き父の縄張りを継いだ岡っ引きでもあった。密通と思しき客の女が殺され、隣室にいた一人の侍が姿を消した。殺された老舗の女房と情を通じた大店の手代・卯之助を見つけた霧太郎は、南町同心の浦部と共に、卯之助と消えた侍を誘き寄せる策を仕掛ける…。新シリーズ、第一弾。
戦後の高度経済成長を支え、産業界を牽引してきた鉄鋼業。中心は合併で世界一となった新日鐵だった。しかし、石油危機と円高でその座を明け渡す。そして今、新たな合併で再び世界ナンバーワンの鉄鋼メーカーを目指す。鉄に人生を賭けて奮闘する男たちを描いた経済小説。
金融界の寵児・財田剛の長女の結婚式に現れた東都経済新聞の記者・西山照明が不審な死を遂げた。一方、金融探偵・七森恵子は、覚醒剤所持の罪で服役していた旧友の遠藤環を出迎える。その直後、恵子は追いかけてきた円経済研究所の調査員・秋場弦太のベンツに無理やり乗せられ、円詠一から強引に仕事を依頼される。依頼内容は、財田の運営する巨大ファンド“モネタ・ファンド”の調査だった。毎年確実に利益を上げ、リーマンショックの年ですら利回りを叩き出したという奇跡のファンドーその秘密を探るべく、恵子はパートナーである如月浩二郎とともに潜入捜査を開始する。しかしそこで思いもかけない人物と再会しー。
元高校球児の島野圭一は、高校野球史に残る名勝負の取材中に、預かった日記を奪われてしまう。日記は、12年前に不審死を遂げたライバル校の捕手・中尾がつけていたものだった。もしや、中尾とバッテリーを組んでいた紀田のウイニングショット“二軸スライダー”の投げ方が書かれていたのではないか?宿敵のエース・紀田に敗れて甲子園を逃した苦い記憶を胸に、島野は調査を始めるのだがー。
大分・平家山に若い女性の死体があがった。手には赤い南天の実が握られていた。他殺か、事故かー東京から九州の無名な山に来た理由とは?特命捜査を任された東山刑事は、自分の出身地の大分と、死んだ女性の出身地である能登がともに平家伝説の地であると知り、独自の推理を進めていく。だが、東京・大分・能登をめぐるスクランブル捜査の果て、東山刑事を待っていたのは…。
バチカンから逃げたカストラートの謎を知った枢機卿は彼をパリに追い、変死する。天使の美声はなぜ危険なのか。著者が驚愕の想像力により創り出した世界のなかで、十八世紀パリは、鮮やかな照明の煌めきに彩られ、惨劇の幕は開く。物語の力で、歴史をも塗り替える、江戸川乱歩賞作家によるSF大賞候補の傑作。
「どっか行こうぜ。-二人で」幼なじみの大地が妖怪だったという、衝撃の事実を知った萩子。けれど、そのおかげ(?)で二人の仲は急接近。そして、夏休み直前のある日のこと、萩子は大地から二人きりのデートに誘われる。どことなくそわそわしつつ、デートの日を楽しみにする二人だったが、彼らの前に、突然、川の妖怪・蛟が現れてー。後輩・栄永の先祖に会いに来たと言う蛟は、いろんな騒動を巻き起こすのだが…。山間の田舎町、幽谷町で繰り広げられる、恋と青春と、たまに変身のハートフルご近所あやかし物語、第2弾。
浜町堀沿いで三人組に襲われている松尾を助けたことから、円十郎は三千石の旗本・松尾家の家督相続にからんだ、正体不明の刺客の始末を依頼される。そんな折、牢人者が三人組に斬り殺される事件が起こる。その三人組を、松尾を狙った刺客と睨んだ円十郎だったのだが…。一刀流の手練が揃った刺客一味を、円十郎の直心影流は倒すことができるのか。待望のシリーズ第四弾。
浅草界隈で頻発する辻斬り。下手人が侍だとわかったため、町方は手を出せないのだが、新米の岡っ引である美代次の気持ちは収まらない。「侍がどうしたってんだ」-美代次は独断で夜回りを始めるも、また犠牲者が…。やがて、下手人が浮かび上がり、その旗本屋敷に一人乗り込んだ美代次だったが、そこには思いがけない事情が隠されていた。「二本十手捕物控」シリーズ第二弾。
香港の中国返還目前の1997年。中国本土を経て香港からアメリカへと運び出されるヘロイン(チャイナホワイト)の流通が激減する異常事態に陥った。新規ルート開拓に旅立ったニューヨークのシチリアマフィアの顧問弁護士を追って、連邦司法省麻薬取締局(DEA)捜査官ベリコフはロシアに飛ぶ。新宿で潜入捜査中に同僚を射殺され、麻薬取締官三崎は自らも瀕死の重傷を負うー傑作巨編、怒涛の上巻。
ホワイトタイガーなる人物が率いる麻薬密売組織が香港に代わるルートに日本に目をつけ、日本最大の広域暴力団に取引を持ちかけた。三崎は故あって独自にホワイトタイガーの正体に迫ろうとする。来日したベリコフはホワイトタイガーの情報を求める中国人趙と出会い、同じ目的を持った三人は共闘して世界的な麻薬犯罪の中核に挑んでいくがー一大スケールのエンターテインメント大作、完結巻。