2013年7月31日発売
打倒・徳川の旗印の下、石田三成の軍に合流する毛利元就。詭計を張り巡らし敵武将同士を争わせ、各個に撃破、すべての勢力を疲弊させる。それはすべて、中国の安泰のためだったがー。
知らないままでいられたら、気づかないままだったら、どんなに幸福だっただろうーー革命児と称される若手図書館長、中途半端な才能に苦悩しながらも半身が不自由な母と同居する書道家と養護教諭の妻。悪意も邪気もない「子どものような」純香がこの街に来た瞬間から、大人たちが心の奥に隠していた「嫉妬」の芽が顔をのぞかせるーー。いま最も注目される著者が満を持して放つ、繊細で強烈な本格長篇。
私たちは、世界の割れる音を聞いてしまったー。21世紀終盤。巨大地震に見舞われた首都で、第二の激震に身構えつつ大学構内に暮らす学生たちと、その期待を一身に集める“リーダー”。限界状況を生き抜こうとする若者の脆さ、逞しさを描く最新長篇!
東京谷中で三代つづく石屋「寺内石材店」。主人の貫太郎は口下手で怒りっぽいくせに情に篤く、目下の悩みは長男周平の進路、そして娘静江の結婚問題だった。静江が連れてきたのは貫太郎には到底受け入れがたい男だった…。家族、暮らし、笑いと涙…向田作品のエッセンスが詰まった代表作。
若き日のヘミングウェイと、彼を物心両面で支えながら共にパリに渡った最初の妻ハドリー。1920年代のパリ、ふたりは貧しくとも愛に溢れた日々を送っていた。だがフィッツジェラルド夫妻らをはじめ、裕福で奔放な友人との交遊の中で、ふたりの絆はやがて葛藤と裏切りに塗れてゆく…。運命の出会い、出産、そして背信…。史実と大胆な想像力をもって描かれたスリリングな恋愛長編。
商人の町・大坂がもっとも華やかな時を迎えていた元禄時代。日本一の豪商と呼ばれる丹生屋の四代目・重兵衛は放蕩の限りを尽くしていた。その姿を息子である理兵衛は、苦々しく見つめていた。しかし、重兵衛の散財には理由があった。数多の大名に大金を融通し、隠然たる力を持つに至った丹生屋を疎ましく思っていた幕府の大老が、丹生屋を取り潰し、その血を根絶やしにするため、様々な策を弄して丹生屋を陥れようとしていたのだ。大坂商人の意地を賭け、幕府へ反旗を翻した丹生屋二代にわたる大立ち回りが始まった…。
【2025年5月現在、新本が定価(2,600円+税)で購入可能】 「滝は没落の象徴である。その没落がいかに荘厳であるかということについて説こう。」(「滝について」より) ひたひたと迫りくる没落の翳。落魄への共感。坂口安吾がそのみずみずしい「香気と悲しみ」を讃えた知られざる新興芸術派、尾崎士郎の切情あふれる短篇集。 ※雑誌『没落時代』の復刻ではありません。 生家の没落、兄の自殺、宇野千代・梶井基次郎との恋愛事件……。放浪に次ぐ放浪のなかで、尾崎士郎は自分の心のありようを模索する純粋で新しい、しかも狂的で切ない短篇をほそぼそと書きつづけた。「人生劇場」の思わぬ大ヒットのかげで、埋もれてしまった新興芸術派としての資質は、これらの短篇で再発見されることだろう。 終生の友・坂口安吾が「素直で、豊かで、香気と悲しみにみち、年少多感の詩嚢からちよつとこぼれた数滴のすぐれた魂の香りを遺憾なく花さかしめてゐる」と評して自ら編纂した『秋風と母』所収全篇と、おもに戦前の単行本初収録作品を多数収めた全27篇。誰も読んだことのなかった尾崎士郎は、没落に淫し、詩の海を漂っている。 ※七北数人氏を監修者に迎えた「シリーズ 日本語の醍醐味」は、“ハードカバーでゆったり、じっくり味わって読みたい日本文学”をコンセプトに、手に汗握るストーリーではなく、密度の濃い文章、描写力で読ませる作品、言葉自体の力を感じさせる作品を集成してゆきます。 滝について 獄中より 予は野良犬の如くかの女を盗めり 賭博場へ 影に問う 三等郵便局 秋風と母 山峡小記 河鹿 鶺鴒の巣 秋日抄 鳴沢先生 微妙なる野心 酔抄記 海村十一夜話 秋情抄 蜜柑の皮 落葉と蝋燭 侠客 母 父 春の夕暮 林檎 春風堤 馬込村 「没落時代」 没落主義に関して 解説/七北数人