2013年発売
なぜ俺たちは戻ってきてしまうんだ!?半壊したラブホテル。廃墟探索サークルの男女5人を襲うタイムループ。極限状況で剥きだしになるエゴ、渦巻く愛憎。悪夢を脱するため、たったひとりの犠牲の山羊となるのは誰か?驚愕の新感覚ホラー。
映画『その後のふたりーParis Tokyo Paysage』と同じ骨格を持ちながら、映画で描かれる世界の裏側に潜むもう一つの真実を文学化。ふたりの秘密がここに明かされる。
異国の地で城の地下牢に囚われた女。名前も顔も知らないがこの世界のどこかに存在する絶対の敵。いつ終わるとも知れぬ長い裁判。頭の中の機械。精神病療養所のテラスで人形劇めいた場面を演じる人々-孤独な生の断片をつらねたこの短篇集には、傷つき病んだ精神の痛切な叫びがうずまいている。自身の入院体験にもとづく表題作はじめ、出口なしの閉塞感と絶対の孤独、謎と不条理に満ちた、作家アンナ・カヴァンの誕生を告げる最初の傑作。
リリーナに近づくため、火星連邦の部隊に捕捉されたヒイロたち。彼らを救出すべく、リリーナ・シティに向かったW教授、デュオ、フォボスはその途中で、火星連邦のナイナ、ミル、カトリーヌの操る有人型マーズスーツとラナグリン共和国が送り込んだビルゴの上陸部隊との戦闘に遭遇する。完全平和主義を謳う一国の危機に直面したW教授らの取った行動とはー!?『P・P・P』発動の時を描いた「プリベンター5」後編も収録。激震の第7巻。
警視庁捜査一課の田楽心太警部は、普段から不真面目な態度が目立ち、上司や同僚、後輩からさえも睨まれることが多い。だが、被害者の立場を真摯にとらえて捜査にあたる知られざる一面で、数々の事件を解決に導いていた。東京湾に建設中の巨大ショッピングモール工事現場で焼死体遺棄事件が起きた。同社の社長令嬢が誘拐され、自宅には謎めいた脅迫状が送られてきて…。社会の歪みが生み出した痛切な事件に、田楽が挑む、ノンストップ・サスペンス。
大手総合商社燃料部員の金沢明彦は、ロシア・サハリンの巨大ガス田開発を命じられる。同じ頃、下位商社役員で中近東に名前を轟かす亀岡吾郎は、野望に燃える通産官僚十文字一と結託し、イランの巨大油田開発に日本政府を巻き込む。シンガポールでは、米系投資銀行出身の秋月修二が中国企業に巧妙なエネルギー・デリバティブ取引を仕掛ける。世界を相手に資源開発に挑む男たちを壮大なスケールで描く。
五井商事の金沢明彦が進めるサハリンのLNGプロジェクトは環境保護団体の執拗な攻撃を受け、ロシア政府の介入と金融機関の離反を招く。トーニチ専務の亀岡吾郎は、アメリカの対イラン経済制裁で暗雲ただよう「日の丸油田」を救うため、ユダヤ人ロビイストを利用。秋月修二が中国企業に仕掛けた石油デリバティブ取引は、シンガポール市場を揺るがす巨額損失事件へと発展する。大河経済小説、完結。
25歳で起業した敏腕若手女性社長の鈴木涼香。猛烈に頑張ったおかげで会社は順調に成長したものの結婚とは縁遠く、絶大な信頼を寄せていた秘書の高見沢さえも会社を去るという。失意のまま出かけた一人旅のチケットは行き先違いで、沖縄で優雅なヴァカンスと決め込んだつもりが、なぜか女満別!?だが、予想外の出逢いが、こわばった涼香の心をほぐしていく。人は何度でも立ち上がれる。再生をテーマにした、珠玉の短篇集。
高校生の真奈美は、カレと入ったラブホテルで、自分の父親が同じマンションに住むOLの葵さんと一緒に歩いているのを目撃してしまう(「葵さんの初恋」)。元カレと逢瀬を繰り返す主婦、人生最後の恋に落ちた会社員、壮絶な過去を持つ管理人の老夫婦…。ある川辺に建つマンションを舞台に繰り広げられる反道徳の恋。愛憎、恐怖、哀しみ…様々なフリンの形を通じて、人と人の温かさ、夫婦や家族の関係性を描ききった連作短編集。
敗戦間近の箱根で、ドイツ軍潜水艦長が変死した。違体を発見したのは旅館の女中・安西リツ。事件調査の通訳を任された法城は他殺を疑うが、ドイツ人軍医シュルツェは、自殺であると断言する。不審に思い調べを進めると、そこにはナチス・ドイツの陰謀の影が見え隠れしていた。一方リツは、ドイツ人潜水艦乗組員の若者パウルと急接近し、その後ラジオから流れてきた陽気なジャズの調べに新たな明日を感じるのだが…。傑作長編。
時は平安。稀代の大陰陽師・安倍晴明の末の孫で、半人前陰陽師の昌浩。出雲で人を滅ぼす黄泉の軍勢を食い止めた昌浩は、その時の後遺症で霊力を削がれたうえ、陰陽師に必要不可欠な『眼』までをも失ってしまう。しかも、大切な相棒である紅蓮も昌浩の記憶を失い、彼に辛く当たるように。そんな中、郷では心が壊れたり行方不明になる人々が続出していてー!?大人気の見習い陰陽師物語、待望の「天狐の章」開幕。
親から継いだ牧場で黙々と牛の世話をする秀一は、三十歳になるまで女を抱いたことがない。そんな彼が、嫁来い運動で中国から迎え入れた花海とかよわす、言葉にならない想いとはー(「波に咲く」)。寄せては返す波のような欲望にいっとき身を任せ、どうしようもない淋しさを封じ込めようとする男と女。安らぎを切望しながら寄るべなくさまよう孤独な魂のありようを、北海道の風景に託して叙情豊かに謳いあげる、傑作短篇集。
先生、あなたはなんという呪いをかけられたのですか?あなたの大切な者すべてを三角形の綴じ糸でほどけぬように縫い付けて、それぞれの愛を禁じるおそろしい呪いをかけたのは、一体何のためですか?-音楽家の忘れ形見と愛弟子の報われぬ恋「蝉丸」。隅田川心中した少女とその父の後日譚「隅田川」。変死した作家の凄絶な愛の姿「定家」。能に材を採り、狂おしく痛切な愛のかたちを浮かび上がらせる、中山可穂版・現代能楽集。
凶悪な人間兵器「メギド」をもうひとつの人格として持つ根岸達也。九州での闘いを終え、辿りついた北海道で見たものは、国のエネルギー政策転換の陰に蠢く巨大な利権の渦だった。やがてアイヌの聖地を舞台にした陰謀に巻き込まれる達也。そして新しい人格の目覚めが達也を苦しめていく。フラッシュバックする血塗れの殺人現場の幻覚は何を意味するのか?大好評アクションシリーズの第4弾。
中堅化粧品会社・白雪堂に新卒で入社した峰村幸子。看板ラインの「シラツユ」販促キャンペーンチーム担当となった。だが、シラツユの売上は下降線、峰村が先輩の槙さんに相談しながら考えた企画は他のメンバーには理解されない。就職浪人中の彼氏との溝も深まり、さらには情報漏洩疑惑や合併の噂まで聞こえてきて…。眼前にそびえる壁を自然体で乗り越えようとする峰村の姿に頑張る気力が湧いてくる、お仕事小説の白眉。
恵まれた環境に育ちながら、夢も希望も目標もない日々を送っていた20歳の澄雄。しかしある日携帯の出会い系サイトでジュリアとめぐりあい、彼の人生は一変してしまう。言葉をしらない獣のようにつながりあい、愛しあう二人だったが、六本木ヒルズに住む学生とパン工場で働く契約社員では、あまりにも住む世界が違いすぎた。格差社会に引き裂かれ、それでも命がけて恋を全うしようとする恋人たちを描く。
いつになったら、満たされるんだろう。誰に対して怒っているんだろうー実社会にしっくりなじめず、自分の居場所をさがしあぐねている人々。会社で同僚からも距離を置かれている同期の男女、倒産寸前の店を経営する夫婦、離婚してひとり暮らしを始めた女性…都会の片隅でちいさな不満やささやかな希望を抱きながら生きる等身大の日常にやわらかなまなざしを投げかけるハートウォーミング・ストーリー。