2013年発売
朝は、いとも簡単にやってくる。8時09分、瑞希は決まらない髪型に悩み、10時24分、貴大は里中さんを好きになる。12時46分、グループ分けで内海があぶれ、12時59分、みちるは嫌いな人にイヤと言えないでいるー。少年少女小説の第一人者の手で描かれた、中二思春期、今しか存在しない輝いた時間。心に温もりが残る短編集。
1年ぶりに海外放浪から帰国した鷲津政彦は、腹心の部下アランの不可解な死を知らされる。鷲津はアランが追いかけていた繊維業界の老舗・鈴紡を買収の標的に定めた。一方、鈴紡は元銀行員の芝野健夫を招聘し防衛と再生を図る。その裏に、芝野の元上司でUTB銀行頭取、飯島の思惑が潜んでいた。熾烈な闘いの勝者は?
鷲津が鈴紡の次に狙いを定めたのは巨大電機メーカー・曙電機だった。長びく迷走から抜け出せない曙電機は、再生への切り札として芝野を迎え入れる。再び相まみえる宿敵。さらにアメリカの強大な軍産ファンドも買収に参入し、事態は混沌としていく。「会社は誰のものか」。壮絶な企業買収劇を圧倒的なスケールで描く。
ーーこの写真には謎がある。 人の本音はときどき、思いがけない形で姿を見せるから。 家族とともに古い写眞館付き住居に引っ越ししてきた高校生の花菱英一。変わった新居に戸惑う彼に、一枚の写真が持ち込まれる。それはあり得ない場所に女性の顔が浮かぶ心霊写真だった。不動産屋の事務員、垣本順子に見せると「幽霊(そのひと)」は泣いていると言う。謎を解くことになった英一は。待望の現代ミステリー。
ーー今だから、言えるんだ。 ふたをしてきた家族の過去。それに向き合う時がくる。 人の想いは思いもかけない場所に現れることがある。たとえば写真とか。英一の小学生の弟、光(ピカ)の様子がおかしい。友人のテンコによれば、彼は写眞館の元主(もとあるじ)、小暮さんの幽霊に会いたいのだという。そして垣本順子、英一と家族、各々が封印してきた過去が明らかになる。読書の喜びがここにある。感動の結末へ。
二〇二二年、ハワイの海底を泳ぐザトウクジラから、人類は遂に不老不死遺伝子を発見する。だがその百年後、人間は徹底的に階層化され、政府の管理下に置かれていた。流刑地に住む十五歳の少年アキラは、人類の秘密を握るデータを託され、悪夢のような社会を創造した人物に出会うため、壮絶な旅に出る。毎日芸術賞受賞作。
突然変異の人類“クチチュ”らと共に旅を続けるアキラは、生への執着から解き放たれた人々が猿のように生きる村や、ロボット制御の病院で人間が管理される残酷な姿を見届け、遂に宇宙空間へと向かう。冒険の果てに辿り着いたのは絶望か、それとも希望なのかー。現代社会の行く末を予言する、傑作長編小説。第52回毎日芸術賞受賞作。
頭蓋骨に白い花、掛け時計にスープ皿ーーテーブルの上の惨殺遺体を囲むように置かれた謎めいた品々。絵画を模したような現場を作り、さらに「過去の亡霊」を名乗って警察OBの自宅に電話をかけてきた犯人。自らの存在をアピールしたいのか。如月塔子ら殺人分析班が鋭い推理で明かす、歪んだホシの正体とは。(講談社文庫) 「警視庁殺人分析班」シリーズ第二弾 頭蓋骨に白い花、掛け時計にスープ皿ーーテーブルの上の惨殺遺体を囲むように置かれた謎めいた品々。絵画を模したような現場を作り、さらに「過去の亡霊」を名乗って警察OBの自宅に電話をかけてきた犯人。自らの存在をアピールしたいのか。如月塔子ら殺人分析班が鋭い推理で明かす、歪んだホシの正体とは。 ※この作品は、2011年10月に小社より『蟻の階段 警視庁捜査一課十一係』として刊行された作品を改題したものです。 第一章 ヴァニタス 第二章 ラフスケッチ 第三章 アウトサイダー
夫のいる身ながら、わたしは知り合いの葬儀で出逢った妻子ある男からの強引とも言える告白に心惹かれる。その不器用なほど真っ直ぐな人柄に、ますます思いは募っていくが…。一緒に暮らす約束までした二人の、長い時を経ての逢瀬には、ずっと胸に秘めていた痛切な思いがあった。深く心に響く恋愛小説。
邪の家系を断ちきり、少女を守るために。少年は父の殺害を決意する。大人になった彼は、顔を変え、他人の身分を手に入れて、再び動き出す。すべては彼女の幸せだけを願って。同じ頃街ではテロ組織による連続殺人事件が発生していた。そして彼の前に過去の事件を追う刑事が現れる。本質的な悪、その連鎖とは。 祝!日本人初「デイヴィッド・グディス賞」受賞! 「The Wall Street Journal」2013年ミステリーベスト10選出! いま最もアメリカで注目されている日本人作家、中村文則の注目作。 邪の家系を断ちきり、少女を守るために。少年は父の殺害を決意する。大人になった彼は、顔を変え、他人の身分を手に入れて、再び動き出す。すべては彼女の幸せだけを願って。同じ頃街ではテロ組織による連続殺人事件が発生していた。そして彼の前に過去の事件を追う刑事が現れる。本質的な悪、その連鎖とは。 米国「The Wall Street Journal」2013ミステリーベスト10にも選出された本作は、米国ホラー作家協会( HWA)の「ブラム・ストーカー賞」にも初ノミネートされた注目作。 著者の中村文則は、米国でノワール小説の分野に貢献した作家に贈られる「デイヴィッド・グディス賞」も受賞し、日本国内外で評価が集まっている。
京都に伝わる稀覯本(きこうぼん)『黄母衣内記(きぼろないき)』。その所有者が謎の死を遂げた。事故か他殺か。そして継承を巡り兄弟争いが勃発。私的裁判・双龍会(そうりゅうえ)が開かれることに。その準備の中、瓶賀流(みかがみつる)は伝説の龍師「ささめきの山月(さんげつ)」から、一人の少女と行動を共にすることを依頼される。だがそれは仲間達との敵対を意味していた。(講談社文庫) 京都に伝わる稀覯本(きこうぼん)『黄母衣内記(きぼろないき)』。その所有者が謎の死を遂げた。事故か他殺か。そして継承を巡り兄弟争いが勃発。私的裁判・双龍会(そうりゅうえ)が開かれることに。その準備の中、瓶賀流(みかがみつる)は伝説の龍師「ささめきの山月(さんげつ)」から、一人の少女と行動を共にすることを依頼される。だがそれは仲間達との敵対を意味していた。 予測のつかない謎は、貴方を虜にする。「ルヴォワール」シリーズ、第二弾。
文字を読むことが不得意で、勉強が大嫌いだった僕。大学4年のとき卒論のために配属された喜嶋研究室での出会いが、僕のその後の人生を大きく変えていく。寝食を忘れるほど没頭した研究、初めての恋、珠玉の喜嶋語録の数々。学問の深遠さと研究の純粋さを描いて、読む者に深く静かな感動を呼ぶ自伝的小説。 感動に包まれる自伝的小説 文字を読むことが不得意で、勉強が大嫌いだった僕。大学4年のとき卒論のために配属された喜嶋研究室での出会いが、僕のその後の人生を大きく変えていく。寝食を忘れるほど没頭した研究、初めての恋、珠玉の喜嶋語録の数々。学問の深遠さと研究の純粋さを描いて、読む者に深く静かな感動を呼ぶ自伝的小説。 第1章 第2章 第3章 第4章 解説 養老孟司
姉の結婚式に出席するため、安曇野に帰省した相沢啓一郎が刺殺された!刑事・道原伝吉は、啓一郎の交際相手が山野辺由夏であることを突き止める。アリバイは確認されたが、彼女は3年前に発生した「探偵事務所長殺人事件」の関係者だった。そんななか、ふたつの事件の試料に一致する物が見つかってー。相沢はなぜ、誰に殺されたのか?由夏と事件との関わりは!?被害者の足跡を辿って、道原伝吉は伊良湖岬へ向かった!
妻の妊娠中、逃げるように浮気をする男。パート先のアルバイト学生に焦がれる中年の主婦。不釣り合いな美しい女と結婚したサラリーマン。幼なじみの少女の死を引きずり続ける中学教師。まだ小さな息子とふたりで生きることを決めた女。満たされない思い。逃げ出したくなるような現実。殺伐としたこの日常を生きるすべての人にー。いまエンタメ界最注目の著者が描く、ヒリヒリするほど生々しい五人の物語。
三田村豪気は、警視庁捜査二課美術犯罪捜査班に所属する新米刑事。やる気と体力は人一倍だが、美術にはとんと疎い。美貌の上司・岸すみれの薫陶のもと、にわか仕込みの知識を駆使して、違法スレスレの詐欺的ビジネスを続ける美術品販売会社の犯罪を暴こうとするが…。
夫婦ゲンカしたまま長距離トラックの仕事に出た健二が帰宅すると、妻の香織が、二歳半の一人娘・シーちゃんを残し、ありったけの家財道具を持って家出していた。な・ん・で・や?長距離の仕事をこなしながら、消えた妻を探すハメになった健二。慣れぬ子育てに四苦八苦しつつも、大型タンクローリーの助手席に可愛いシーちゃんを乗せ、今日も東奔西走するのだがー。オカしくてケナゲな珍道中、レッツラゴー!
大日本帝国憲法発布前夜、明治17年(1884年)の高輪、伊藤博文邸。書生としてその洋館に住み込むことになった杉山潤之助の手記を、偶然古書店で手に入れた小説家の私。そこには伊藤博文邸で起きた怪事件の様子が、ミステリー小説さながらに描かれていた。密室で行われた殺人、庭園に残った不審な足跡、邸のまわりをかぎまわる怪しい新聞屋、伊藤公の書斎から聞こえる物音、そして第二の死体…相部屋の書生、月輪龍太郎と推理合戦を繰り返し、伊藤公の娘・生子お嬢様とその教育係・津田うめにふりまわされながら潤之助が見た事件の真相とはー。
10歳で性に目覚めて以来、ずっと七つ年上の姉・智代を女として意識してきた中学教師、水木祐介。 妻の友実も姉に似ているから結婚したほどだ。 長い間、禁忌の想いを一人でかかえてきた祐介だが、教え子の母親や同僚の女教師など、息子たちの淫らな視線を感じ同じように近親姦の妄想をいだく相手が現れ、予行演習セックスをするようになる。 そんな折、姉の夫が急死した。傷心の姉の喪服姿に、祐介の積年の欲望はついに……。
本能寺の変直後、京の呉服商人・茶屋四郎次郎は、家康の決死の旅に同行する。家康に仕え、“商人侍”として四郎次郎は戦国乱世を突き進むもやがて、呉服に大きな夢を抱きー。金と知恵とでしたたかに人生を切り開いた、知られざる豪商を鮮やかに描いた歴史時代小説。