2013年発売
明治35年、東京、丸の内演芸館。美貌のピアニスト・井ノ口トシ子が演奏中、喀血して倒れた。自身の命が長くないことを悟ったトシ子は、同い年の歌舞伎役者・中村半次郎に宛て、身の上話を綴った長い手紙を送る。彼女の出生に隠された秘密とは?「押絵の奇蹟」江戸川乱歩をして「グッと惹きつけられてしまった…私は読みながら度々ため息をついた」と言わしめた表題作の他、「氷の涯」「あやかしの鼓」を収録。
「おのれッ!上野介っー」上野介の額が割れ、江戸城内松の廊下に血が飛び散る。浅野内匠頭の手には、刀が握られていた。指南役として仰いでいた上野介の執拗な嫌がらせによってたまっていた憎悪が、ついに理性を突き破ってしまったのだ。しかしその瞬間、赤穂藩五万三千石は音もなく崩れる。国許に届いた報せは、内匠頭の即日切腹。処罰に納得がいかない赤穂浪士達は、内匠頭の無念を晴らすために立ち上がった。
元禄15年12月14日、時は来たれり。浅野内匠頭の敵を取るために、大石内蔵助を始めとする四十七人の赤穂浪士達が、吉良邸に討ち入ったのだ。何ヶ月にも及んだ慣れない江戸での生活を乗り越え、綿密な計画を立てた上での行動だった。邸内で必死に吉良上野介の姿を探す赤穂浪士達。逃げ回る上野介を見付けた彼らは、ついに怒りの鉄槌を下す。-今なお語り継がれる、熱き思いを胸に戦う男達を描いた、国民的ロマンの決定版。
女王の血をひくフィリエルは王宮に上がり、宮廷デビューをはたす。しかし、ルーンは闇の世界へと消えてしまう。ユーシスとレアンドラの出会いを描く幻の短編「ハイラグリオン王宮のうさぎたち」を収録!
バチカンで法王選挙が行われる最中、美貌の天才科学者・平賀と古文書・暗号解読のエキスパート、ロベルトは、有名彫刻家の作品の除幕式に出席するため、メキシコのグアダルーペ寺院を訪れる。だがその時、法王候補の名を刻んだ彫刻が、音もなく中空に浮き上がり、光り輝く神の道が忽然と出現した。果たしてこれは神の奇跡か、陰謀か!?黒い聖母に秘められた真実を追う2人の行く手に危機が迫る!大人気シリーズ、第7弾。
大学生が一番ときめく季節、夏。雪越大学オカルト研究会では、夏合宿をすることに!幽霊が視える草食男子大学生・森司も、片想いの美少女こよみとのお泊まりを夢見て、試験勉強に励む日々。しかし「黒ミサっぽい儀式で、学生が殺されるのを見た」と言う男子学生に出会って…。背筋も凍る怪異譚に加え、気になるあの子と肝だめし(?)など、青春イベントてんこもり。ホラーで胸キュンってだめですか?青春オカルトミステリ第4弾!!
西上野の地侍たちから盟主と仰がれ、信義あふれる心で上杉謙信をも動かした知将、箕輪城主・長野業政。一切の利欲を捨て、国を豊かにし、民の暮らしを守るー。滅亡の危機に瀕しながらも、その鬼謀と胆力をもって武田軍の侵攻を退け続けた男は、関東をただす義の戦におのれの最後を賭す。河越夜戦で逝った息子への誓いと上州侍の誇りを胸に、戦国乱世を疾駆し、強大な者の理不尽に敢然と立ち向かった気骨の生涯を描く!
千一夜に語られる、夢とロマンスに満ちた冒険譚の数々-。何世紀ものあいだ語りつがれ、様々な作品の源にもなってきた豪華絢爛な物語が、一冊で楽しめる!世界中で最も親しまれていながら、本編では語られない「アラジンと不思議なランプ」「アリ・ババと四十人の盗賊」を収録。貴重な挿絵とともに、人々の胸を躍らせてきた長大なファンタジーの粋を味わい尽くす、千夜一夜物語の入門書としても最適な決定版拾遺集。
お客をもてなすことが好きで、歌い踊ることを心から楽しんだ。夏の小さな島暮らしと自由な時間を大切にしていた。そして、日本が大好きだったー。ムーミンの作者トーヴェ・ヤンソンの晩年を、ヘルシンキのアトリエで撮影した貴重な記録!
江戸時代中期、老中田沼意次は金権政治家の汚名にまみれていた。田沼批判の戯文を書いて出頭を命じられた旗本の青山信二郎は、意次と対面し、その清廉な人柄に引きつけられる。しかし、失脚をもくろむ反田沼派の魔手はいたるところにのびていた。やがて、最愛の息子、意知が城中で斬りつけられ、意次は絶望の淵へと追いつめられてゆくー。田沼意次曰く、「たとえゆき着くところが身の破滅だとしても、そのときが来るまではこの仕事を続けてゆく、いかなるものも、おれをこの仕事から離すことはできない」田沼意次父子を進取の政治・経済改革者として大胆に捉え直し、従来の歴史観を覆した名作!経済小説の先駆でもある。
東京湾に新設された超巨大フロート建造物“プリン”のメインテナント“サロン・ド・ノーベル”には、美容に関するすべてが収められていた。理想の化粧品や美容法を求めて彷徨う“コスメ・ジプシー”たる岡村天音は、大学の先輩が生まれ変わったような肌をしていることに驚く。彼女は“美容+医療”を謳う革新的な企業コスメディック・ビッキーの“素肌改善プログラム”を受けたというのだが…。やがて“ビッキー”は、アンチエイジング、身体変工などの新商品を次々に発表し、人々の美意識、そして生の在り方までを変えていくー『永遠の森博物館惑星』に続く、著者5年ぶりの最新連作集。
一年戦争終結後、元ジオン兵のディーン・ウエストは、相棒のマサ・オーカー、謎の美女マリー・マルタンと共に、モビルスーツを使った非合法な“仕事”を請け負う金儲けに精を出していた。愛機は「MS-06G 陸戦高機動型ザク」。確かな性能を持ちながら、グフの採用によって50機程度しか生産されなかった機体だ。終戦の混乱に乗じて不正をはたらく連邦軍兵士から、頑強に抵抗を続けるジオンの敗残兵まで、依頼があれば相手の素性は関係なく“ぶっ潰しに”行く。…そしてそこには、一年戦争を戦い抜いてきた古強者のモビルスーツたちが、待ち構えているのである。一年戦争終結後の地球を舞台に、大河原邦男氏の描くMSが繰り広げる激戦。
現首相の地盤である下関には、平氏一門とともに海に沈んだ天皇が祀られている。その魂がまだ漂っているとしたら…。1000枚を超えるスケールと圧倒的な想像力で日本の深部を描きだす大長編意欲作!
コロニー連合は、兵士と植民者の供給を頼っていた地球に関係を断たれた。このままでは防御を失った人類の惑星は、技術力に欠ける地球も含めて、30年で絶滅するーそのころ、コロニー防衛軍のハリー・ウィルスンは、外交団の一員として、ろくでもない任務に追われていた。しかし、その奮闘により、連合と地球との関係に希望が見えてきたとき、謎の敵が攻撃を仕掛けてくる…。陰謀渦巻くシリーズ第5弾!
午前3時、殺人課のステファノポウラス警部の電話で、ぼくはたたき起こされた。「まっとうな警官なら仕事にとりかかる時間だよ」若い男の死体が、地下鉄ベイカー・ストリート駅の構内で発見されたのだという。すぐに駆けつけて調べてみると、魔法で作られた陶器のかけらで刺されていた。こんな時間になぜ、どうやって地下鉄に入りこんだのか?捜査を続けるうち、ぼくは古都ロンドンの地下迷宮へと迷いこんでいった…
陸上自衛隊富士学校勤務の藤崎綾乃は、優秀な技官だが極端な対人恐怖症。おかげでセクハラ騒動の責任を押しつけられ、閑職で失意の日々を送っていた。こうなったら質の高い研究で己の必要性を認めさせてから辞めてやる、とロボット戦車の研究に没頭する綾乃。謎の同僚、伊藤信士のおせっかいで承認された研究は、極東危機迫るなか本格的な開発企画に昇格し…国防と研究と恋愛の狭間で揺れるアラサー工学系女子奮闘記!
CIAをはじめ幾多の勢力から追われる身となった“グレイマン(人目につかない男)”と呼ばれる暗殺者ジェントリー。彼はアマゾンの奥地に潜伏していたが、密かに追跡していた男が居所を突き止め、戦闘チームに襲撃させた。グレイマンは反撃する。その後彼はメキシコ湾岸へ向かうが、途上で命の恩人の死を知り、メキシコの町に墓参に訪れる。だがそこで、麻薬カルテルと戦うことに!迫力溢れる出色の冒険アクション。グレイマン・シリーズ。
雪に閉ざされた山荘で、女子大生・弥生が毒殺された。容疑者は一緒に宿泊していた同じ大学のゼミ仲間4人ー龍太、花帆、真佐人、圭。外の世界から切り離された密室状況で、同じ食事、同じ飲み物を分け合っていたはずなのに、犯人はどうやって弥生だけに毒を飲ませることができたのか。警察が到着するまで、残された4人は推理合戦を始める…。15年後、雪の降る夜。花帆と夫の営む喫茶店を訪れたのは、卒業以来、音信不通の龍太だった。あと数時間で時効を迎える弥生の事件は、未解決のまま花帆たちの人生に拭いきれない影を落としていた。だが、龍太はおもむろに告げる。「弥生を殺したのは俺だよ」たび重なる推理とどんでん返しの果てに明かされる驚愕の真相とは?第3回アガサ・クリスティー賞に輝く正統派本格ミステリ。
青白い太陽が昇っては沈み、また昇る。空は黒雲に覆われ、稲妻が閃き雷鳴が轟くなか、黒い手と青く光る目の死者が、丘の斜面に口をあけた裂け目のまわりをうろつく。だが、決してなかへは入れない。丘の内部では、半身不随の少年がウィアウッドの玉座につき、ささやき声に耳を傾けていた。“冷たい手”に導かれ、ついに目的地に到着したブランは、“最後の緑視者”である“三つ目の鴉”から「空の飛びかた」を学んでいたのだ。そこからさらに南へと下った、といっても酷寒の地であることに変わりはない黒の城では、スタニス王が南へと発って以来、奇妙な虚脱感が漂っていた。そんななか、総帥であるジョンは古株の黒衣の兄弟たちが考えもしなかったような施策をつぎつぎに打ち出していく。なんとしても“壁”を死守するという固い決意のもとに。一方、さらに南の白い港では、捕えられ処刑の日を待つサー・ダヴォスの前に、思いもかけぬ人物が現われ…ますます佳境に入る壮大なる異世界戦国絵巻!
異世界に飛ばされた自衛隊一行は、マリースア南海連合王国に攻め込んだフィルボルグ継承帝国軍の撃退に成功する。しかし、人々から自衛隊に向けられたのは、賞賛ではなく、まさかの不審の目。人々の常識の外にある自衛隊は、恐怖と嫌悪の対象でしかなかったのだ。陸上自衛隊の久世啓幸は、そんな状況を打破しようと、街での情報収集を開始する。そのさなか、突如出現したゴーレムに襲われた!上官から迎撃準備を整えるための時間稼ぎをするよう命じられた彼は、マリースアの首都セイロードを自動車で疾走する!一方、自衛隊の派遣艦隊を率いる蕪木紀夫は、マリースアの人々に自分達の存在を受けいれてもらうべく、邪龍レヴィアタンを退治することになった。イージス艦“いぶき”の近代兵器は、魔の海域に棲む怪物を倒せるのだろうか!?ネットで大人気の異世界自衛隊ファンタジー小説、待望の第2弾!