2014年10月31日発売
生まれながらになぜか不幸を引き寄せてしまう光太郎。引っ込み思案で心を開くことができず、親しい友人もいない。血のつながりのない父親との関係をはじめ、家族との距離感にも悩んでいる。高校に入学した光太郎は、先輩・七瀬の勧誘により廃部寸前の文芸部に入ることに。実は光太郎は中学生のとき、小説を書こうとして途中で挫折した経験があった。個性的な先輩たちや強烈な個性のOBふたりに振り回されながら、光太郎は自分自身の物語を探しはじめる。かつてない青春小説。
世界的に流行した新型ウイルスは食物連鎖で多様な生物に感染し、爆発的な数の死者をもたらした。ヒトにのみ有効な抗ウイルス薬を開発した人類は、安全な食料の確保のため、人間のクローンを食用に飼育するようになる。食用クローン人間の飼育施設で働く和志は、自宅で自らのクローンを違法に育てていた。ある日、首なしで出荷されたはずのクローン人間の商品ケースから、生首が発見される事件が発生する。和志は事件の容疑者とされるが、それは壮大な悪夢のはじまりに過ぎなかったー。異形の世界で展開される精密でロジカルな推理劇。第34回横溝正史ミステリ大賞最終選考会で物議をかもした衝撃の本格ミステリ、解禁。
異世界で海賊王ガルシアに拾われた少女、笹良。海賊たちとの距離が少し縮まったのもつかの間、海賊船に見慣れぬ船が近づいてくる。それは美しき娼婦たちを乗せていて…!?現代の少女と、優美で非情な海のけだもの甘く冷酷な海上ファンタジー!!
あたしたちは繋がったまま、橋から飛びおりた。彼と触れあうことは、きっともう、二度とないー。考えもしなかった相手に心を奪われ、あの腕に、あたしはからめとられた。水のきらめき。くもの巣。お旋餓鬼の太鼓。夜のピアノ。台風の日のかくれんぼ。誰もかれもがしてきたこと。何万年もくりかえしてきたこと。読者の想像を裏切る衝撃恋愛小説!
東京・麹町の古い屋敷に暮らす女ばかりの五人。昭和初めの生まれでお嬢さん気質の抜けない家付き娘・富子さん、その娘の美智子さん、ロリータファッションの孫娘・真由ちゃん、富子さんと長年ともに暮らしてきた大正生まれのきくさん、高齢出産で得た娘の紀美ちゃんもいてー世代様々、微妙な関係。戦後から、バブルの時代、そして現在ー世代それぞれの時間を生き抜く姿を、あたたかく見つめる長編小説。
「平安建都千二百年」が謳われる京都で、地図から消された小さな町。かつてたしかにそこにいた、履物屋の夫婦と少年の自分ー。幾重もの時間が降り積もる京都という土地の記憶。四つの「町」をめぐりながら人の生の根源に触れる連作小説。
港町ポーツマスでオークションハウスを営むジョシーは、ある日地域の警察署長の訪問を受ける。家財の出張鑑定をした老富豪が自邸で殺されたというのだ。容疑者となった彼女は、家財リストにあるルノアールの絵が見つからないことを出発点に、仕事と並行して独自の調査を進めるがー確かな審美眼を持つ腕きき女性オーナーが主人公となる、アンティーク×ミステリのシリーズ第一弾。
政治家である夫との隙間風に悩み、幼なじみの陶芸家に心惹かれるエルヴィーラ。陶像のモデルになるだけのはずだったのに…。一度だけの情事。だが、ひとりの少年に見られていた。そしてその直後、少年は姿を消す。壊れかけた二つの家族。北欧の伝説息づく風光明媚なゴットランド島で何が?自らも離婚を経験し、子どもと別れて暮らす女性警官マリア・ヴェーンが事件を追う。
キングとツァラプキン。境遇の異なる若きテニス世界ランカーは、試合を通じて意気投合し親友となった。彼らは互いに高めあい、やがてともにウィンブルドン選手権への出場を果たす。だが、その世界一の大舞台では、ある大胆な犯罪計画が実行されつつあったー。青年たちの友情を軸に、白熱する試合と犯罪の行方を描いて手に汗握らす、極上のスポーツ小説にして大傑作ミステリ!
のらくら者の大学生の語り手が執筆中の小説の主人公トレリスは、二十年も部屋にこもりきりの作家である。トレリスは自分が創造した作中人物を同じホテルに同居させ、監視下においているが、作中人物たちは自分の意志をもち作者の支配を脱して動きだし、物語は錯綜をきわめていく。小説の中の小説という重層的な語りの中にアイルランドの英雄伝説や大学生の日常を盛り込み、瑞々しい活力に溢れた豊饒な文学空間を創造した傑作。
ユーモラスに、猥雑に、幻想的に、フェティッシュに、“女”との赤裸々な関係を綴る。“女”との間で繰り広げられる、抜き差しならない「愛」の行方。言語遊戯と仕掛けに満ちためくるめく97章。現代ハンガリーを代表する作家による過激かつ切実な、異色のラブストーリー。
「数学屋」にピンチ到来!?天才数学少年・宙と体育会系女子・遥の凸凹コンビが営んでいた、摩訶不思議なお店「数学屋」。日常の困り事から恋愛相談まで、中学の同級生から寄せられるどんな問題でも「数学」を使って華麗に解決してきた人気のお悩み相談所だったが、宙のアメリカへの転校によって最大の危機を迎える。宙の不在により、たった一人で「数学屋」を引き継ぐことになった遥の前に、一筋縄ではいかない難問が持ち込まれたのだった…