2014年10月発売
インド人行者の不思議な旅を描く人生賛歌 インチキ苦行を見せ物にするヒンドゥー教のサドゥー(行者)、アジャタシャトルーは、彼を信じる人々から集めた金で格安航空券を買い、あのIKEAが発売した新型の針ベッドを買うためにインドからパリに渡った。全財産は、片面しか印刷されていない粗悪な偽造100ユーロ1枚のみ。タクシー運転手を偽札でだまして空港からIKEAへ、店内では気の優しいフランス人女性マリーから昼食をせしめたアジャタシャトルーは、目当ての針ベッドが発売開始される翌日まで店内モデルルームで過ごそうとタンスに隠れた。しかし深夜、展示替えのためそのタンスがトラックで搬出されてしまう。そしてイギリス、スペイン、イタリア、リビアへと、彼の奇想天外な旅が始まった…。 くすくす、爆笑、しんみり、じんわり…そして読了後はなぜかハッピーになれる、人生賛歌。フランスで30万部を売り上げたベストセラーがいよいよ日本上陸。
やさしいけど、ちょっとへたれな書店員・光にはもうひとつの顔があった。夜になると、「デビクロ通信」という謎のビラを、全力でボム(配布)するのだ。そんな光に、ある日、運命的な出来事が訪れるー。
不倫、だけど純愛。心に迫るラブストーリー 放送局に勤める倫子。3年近く一緒に暮らした局のディレクターである達彦が亡くなった。恋人として達彦と濃密な日々を過ごした倫子だったが、それは、許されぬ不倫の恋でもあったのだ。葬式の日に初めて会う達彦の妻・ひとみと娘。そちら側の席に自分ではない女性がいる現実に打ちのめされる。ストーリーは、葬式の日から遡り、二人の女性の間で揺れ動く達彦との日々を紐解きながら進んでいく。最後に妻ひとみから倫子へ手渡された達彦からの手紙。そこには倫子に対する深い愛情がしたためられていた。禁じられている恋だったかもしれない、だけどお互いが必要だと思えた確かな瞬間があればいい。「愛」だけを純粋に求め合った二人の軌跡をたどる物語。2007年4月に刊行した「六月の海を泳いで」からタイトルを変え、加筆改稿し待望の文庫化。 【編集担当からのおすすめ情報】 恋をしている全女性に贈りたい純愛ラブストーリー。倫子の気持ちが、時に淡々と、時に心乱れながらも、バランスを保っている様が真に迫る。愛する人を失うことが、逆にその人の存在を大きくするという事実に心が震える物語です。
天下無双の剣客・宮本武蔵は幼少のころ、その父・無二斎から非情の血をもって厳しく武芸を叩き込まれた。武蔵は父を憎み、無二斎は成長して剣名を轟かせていく息子の才を妬ましく思うようになる。「あやつを生かしておくわけにはいかぬ」。父と子の歪んだ絆はやがて一つの闘いへと向かっていく(「武蔵と無二斎」)。強者を斃すべく山伏の修行に加わった若き日の塚原卜伝(「卜伝峰入り」)、秘技を継承した唯一の男・田丸直昌の生き様(「一の太刀」)、天賦の才を持ちながら一族の系図から抹殺された柳生源之丞(「柳生殺人刀」)など、剣の道に生きる男たちの物語七篇を収録。
「読者が犯人」というミステリー界最後の不可能トリックのアイディアを、二億円で買ってほしいースランプ中の作家のもとに、香坂誠一なる人物から届いた謎の手紙。不信感を拭えない作家に男は、これは「命と引き換えにしても惜しくない」ほどのものなのだと切々と訴えるのだが…ラストに驚愕必至!
第34回日本SF大賞特別賞、第45回星雲賞自由部門を受賞した画期的アンソロジー・シリーズ“NOVA”が装いも新たに、復活。第34回日本SF大賞の全候補作家+日本SF大賞・同特別賞の受賞者たちが参加する、前代未聞の完全新作・オール読切アンソロジー。
雪深いホテル。古いダンスホール…地方でくすぶる従業員カザマは、梅毒と噂される盲目の老嬢ミツコに出会う。ある夜、孤独な彼がミツコを誘い二人でタンゴを踊る時、ブエノスアイレスにも雪が降る。ベストセラーとなったリリカル・ハードボイルドな芥川賞受賞作。
妻がわが子である赤ん坊の首に噛みつき血を吸っているー怪奇なる名作“サセックスの吸血鬼”や、巧妙な語り口による傑作“三人ガリデブ”をはじめとする、晩年のドイルが描く最後のホームズ。四〇年にわたる物語がついに幕を閉じる。決定版『シャーロック・ホームズ全集』の最終配本。「全集への前書き」「参考文献抄」付。
昔話でおなじみの犬もいれば、地名の由来になった犬もいる。はたまた、悪者が連れてきた犬もいるし、人のために働く盲導犬や、やたらと見つめてくる犬も…。犬にちなんだペンネームに改名(!?)した人気作家5人による犬をテーマにした5つの物語。
キッド・ラビットが昏睡から目覚めると辺りには人っ子ひとりーというか、兎っ子一匹いなかった。そう、ぼくたちは人間じゃない。兎だ。人間たちはまだ気づいていないけど、兎社会を脅かす大事件が勃発した。死者が甦り生者を襲ってむしゃむしゃ喰っているんだ。いまや森は屍兎どもの天下だ。この兎史上最悪の状況を終わらせるには、死の山に棲む人喰い熊をキッドが狩らなければいけないという魔女ラビットのお告げなんだが…いったいなんてこった!
東京・深大寺の参道でテレビ番組のディレクター、井上美奈子がお遍路姿の絞殺体で発見される。彼女が企画した“お遍路ゲーム”収録目前の出来事だった。翌日、捜査本部に「お遍路の途中で人が殺される」という電話が。徳島に飛んだ十津川はお遍路姿に変装し収録を見守るが、新たな殺人事件が発生する!!巻末に長篇推理「寝台特急トワイライトエクスプレスを爆破せよ」連載!!
カレの正体は貧乏神!?BHK(貧乏神被害者の会)が主催する“貧乏を断つ”ためのサロン。そこには働かないイケメンの彼氏をもつ様々な女たちが集まって…文藝賞受賞作『おしかくさま』に続く痛快小説!
ひとりの平凡な男が突然消えた。弟直行は、土佐清水で起きた放火殺人事件、四国の寺で次々と見つかるバラバラ死体が、兄の失踪と関わりがあるのではと高知へと向かう。真相を探る度に嘘をつく義姉を疑いながらも翻弄される直行。夫を殺したかもしれない女に熱い思いを抱きながら、真実を求めて事件の迷路を彷徨う。禁断の愛、交錯する嘘と真実。これぞ、連城マジックの極み。耽美ミステリーの名手が遺してくれた渾身の1000枚!闘病中に書き上げた執念の大長編を、追悼の意を込めて、一周忌に刊行ー。