2014年10月発売
小田急線の急行通過駅・世田谷代田から徒歩五分、築ウン十年、全六室のぼろアパート木暮荘。そこでは老大家木暮と女子大生の光子、サラリーマンの神崎に花屋の店員繭の四人が、平穏な日々を送っていた。だが、一旦愛を求めた時、それぞれが抱える懊悩が痛烈な悲しみとなって滲み出す。それを和らげ癒すのは、安普請ゆえに繋がりはじめる隣人たちのぬくもりだった…。
一九八〇年、岡山。佐々岡鮎子は東京から引っ越してきたばかり。無理に「でーれー(すごい)」と方言を連発して同じクラスの武美に馬鹿にされていた。ところが、恋人との恋愛を自ら描いた漫画を偶然、武美に読まれたことから、二人は急速に仲良しに。漫画に夢中になる武美に鮎子はどうしても言えないことがあって…。大切な友だちに会いたくなる、感涙の青春小説。
「バカ」海底に置き去りにした女に向かって、伊禮ジョーはひとこと呟いた。彼の人間離れした美貌の前では、男も女も正視を躊躇う。数多の人間を虜にし、そして殺してきた。そんな伝説を持ち、森羅万象を超越した男が、ある女に心酔する。沖縄のシルミチューで出会った耀子。全てを捧げ合う二人。だが待ち構えていたのは…。愛を弄び、狂気を抉る、一気読み必至の衝撃作!
国際港湾都市、新潟。二年前、深夜の外国埠頭で日本人の若い女性が惨殺された。指名手配された男は、いまだ逃走を続けている。だが、事件の再調査を依頼された私立探偵神山健介は、余命わずかの被害者の父から「真犯人は別にいる…」と聞かされた。背後に蠢くロシア人の影、不可解な警察の動き、そして謎の美女・マリア。愛と壮絶な暴力が交錯する、衝撃のミステリー。
取り逃がしそうになった宝石強盗を、警部補尾津航平が無事に取り押さえられたのは、伝説のSP深町杏奈のおかげだった。彼女に一目惚れする尾津。その直後、迷宮捜査班に、男が猛毒クラーレを塗った傘で殺された事件の捜査指令が下る。被害者は強盗殺人犯にされた冤罪の過去があった。尾津と相棒の白戸恭太は、再捜査を始めるが、指揮した刑事課長の疑惑が浮上する。
化け物か、異形の神かー織田信長が銃口を向けた巨躯。それは戦国武将から恐れられた忍び・風魔の小太郎だった。天下統一に迫る信長が危惧する唯一の存在。信長は決して狙いを外さない。魔王と風神の子、最初で最後の対決の行方は?秀吉を脅かし家康を懼れさせた戦国の英雄とその仲間たちの知られざる物語!
ワトスンは憂鬱だった。原因はホームズが死んだこと。妻の健康状態も悪い。新しいメイドはいつも上の空で、役に立たない。配管の不調で、鉛管工に来てもらうが、なかなか直らない。しかも、どうやら家に何者かが侵入しているようなのだ。もしや、彼がこれまでに集めた事件記録を盗もうとしているのか?公開できない真相を抹消したい人物は多いだろうが…「ケンジントン診療所の怪」。あの脇役たちが大活躍!夢のミステリー・ファイル誕生!!
ケースワーカーはなぜ殺されたのか。優秀な先輩の素顔を追って、女性ワーカーが生活保護の闇を炙り出す!受給者、ケースワーカー、役人…それぞれの思惑が交錯する渾身の社会派サスペンス!
このレースはどこかおかしい、何かが違うー先頭集団が五キロのチェックポイントを通過したとき、地方局アナウンサー桜井剛は奇妙なことに気がついた。盛岡初の国際マラソン大会。スタートから男がずっと走っているのだ、沿道を。しかもトップについて!たった一人、誰の声援も受けず、なぜ彼は走り続けるのか?実況が成功すれば、キー局への移籍も夢ではない桜井は男の存在を無視するが…。快調にレースを引っ張るマラソン界のエース、大会を後援する大手スポーツメーカー社員、アナウンサーの妻、多くの人たちの想いが、謎のランナーに絡まっていく。熾烈なレースの行方は?そして男のゴールとは?やがてその走りは、観る人の心を変えていったー。爽快マラソン小説誕生!