2014年10月発売
ロンドン社交界きっての放蕩者と噂されるトレシャム公爵ジョスリンは、決闘のさなか、見知らぬ女性が大声をあげたせいで足に怪我を負う。邪魔をしたのはジェーンと名乗る粗末な身なりに女。しかし、その内に秘めた類まれな美しさをひと目で見抜いたジョスリンは、回復するまでの3週間、広大な屋敷のなかで彼女を雇うことにする。深い愛情を湛え、公爵である自分にも率直な意見を言うジェーンは新鮮で小気味よく二人きりで過ごすひそやかな時間は日に日に増えていった。互いに抱える孤独と気高い心にふれて、いつしか自分の心を打ち明けられる唯一の存在となった二人。やがて約束の3週間が近づき、彼女を手離したくないジョスリンはある決断を下す。ところがその直後、ジェーンが彼に告げられなかったひとつの“真実”が、ついに明るみに出てしまい…。
便利屋のティムが姿を消した。町じゅうの家に出入りし、みんなから愛されていた彼の死体を発見したのはスザンヌ。町で有名な「裏切り」を意味する木に吊るされていたのだ。早速、スザンヌが情報収集のために無料ドーナツを持って聞き込みに乗り出した矢先、肝心の本業でアシスタントのエマが大変なミスを犯してしまう。新聞広告に「ドーナツ1個無料」と掲載するところを「11個無料」と間違ってしまったから、さあ大変!大勢の客が押し寄せ、お店はてんてこ舞い。おまけに、その混乱に乗じて何者かが、この世に1冊しかないスザンヌの大切なレシピノートを盗んでいった。苦心して作り上げてきたレシピは、スザンヌの店の歴史そのもの。高額な懸賞金をかけて行方を探すスザンヌへ、犯人がつきつけた要求とは!?大好評シリーズ第5弾!
世界恐慌からの立ち直りに苦しむアメリカは、太平洋での覇権確立とアジア進出に活路を求めて対日戦に突き進む。日本は属国として生き永らえるのか、それとも亡国の危険を承知でアメリカに立ち向かうのか…。国力で圧倒的に劣る日本がわずか勝機を見出すため、海軍リベラル派は軍縮条約を逆手にとり、航空主兵主義への大転換を図るとともに日英同盟締結に邁進する。そして今、空母『大鳳』を軸とする世界初の空母機動部隊が出撃の時を迎える。信義と友情、妬みと裏切り…男たちが戦場を駆ける新シリーズ、ここに始動!
生前プレイしていたネトゲ「エターナル・ホライゾン・オンライン」の世界に転生し、自キャラの美少女吸血姫“緋雪”になった「ボク」。巨大魔帝国の国主として、暴走しがちな忠臣従魔に振り回される毎日を送ることに!?緋雪を崇拝する配下は増え続け、思いがけず順調(!?)に魔帝国は勢力を拡大していく。しかし突然、ゲーム内の有名プレーヤーたちが姿を現し、戦いを仕かけてくる。彼らの目的とはいったい!?「なろうコン大賞」を受賞した異色の大作MMORPGノベル、第2巻登場!
一筆ずつ塗り重ねられる精緻な絵画のように、あるいは一針ずつ施される絢爛たる刺繍のようにー一語一語選び抜かれた言葉は、思わぬつながりを持つ次の言葉を連れてきて、夢中でそれらを追ううちに思いもよらない地平に連れ去られていく。時空間も記憶も等質な粒子となって混じり合い、拡散し、迷宮のような読書体験をもたらす、著者初の自選短篇集。
濃密な血の呪縛、中上文学の出発点「岬」(芥川賞)。男と女と日常の不穏な揺らめき「髪の環」。不幸の犠牲で成り立つもの「幸福」。流される僕の挫折と成長「僕って何」(芥川賞)。言葉以前の祈りの異言「ポロポロ」。垢の玉と生死の難問「玉、砕ける」。少年を襲う怪異の空間「遠い座敷」。文学は何を書き試み、如何に表現を切り拓いてきたのか。シリーズ第一巻。
二世紀末、後漢王朝が崩壊する。群雄割拠の時代、魏、蜀、呉は「三国時代」に突入する。千年の時を経て、膨大な「三国志」物語群、資料を整理・編纂し、『三国志演義』が成る。史実と虚構を巧緻に交錯させ、驚異の物語世界が現出する。本巻は、長坂の戦い、赤壁の戦い、劉備・諸葛亮と孫権・周瑜の頭脳戦、劉備の蜀攻略を描く前半のクライマックス。
風間健介は急逝した父の遺志を継ぎ、広告カメラマンから山岳写真家へと転身した。父の愛した厳冬の大雪山で撮影中、風間は絶滅したはずのオオカミを探す田沢保と出会う。十数年前、遭難の危機をオオカミに救われたという。さらに、彼が亡き父を尊敬していたこと、そして、大規模リゾート開発に絡んだ殺人犯だということを知る。風間は田沢と行動をともにするうちに彼の冤罪を信じた…。
数年ぶりに別居する息子と二人で、荒川沿いの酒蔵を訪れた赤羽中央署生活安全課の疋田努は、若い女性の水死体を発見した。遺体は女子短大生とすぐに判明、スクリュー痕でかなり傷ついていたが入水自殺と思われた。だが、遺体の胸に刻まれた謎の刺青文様が気になった疋田は、独自に捜査を開始する。浮上したのは、短大生が手術を受けていた美容整形外科だった。張り込み中に院長が患者らしき女性と口論する姿も目撃されている。ここはいわくつきの病院なのか。ところが、院長に焦点を絞った矢先、今度は院長が失踪してしまい…。
僕ー中央ーは、大学院に通いながら、元世界チャンプ・英雄一郎先生が経営する、良く言えばレトロな「ビリヤードハナブサ」でアルバイトをしている。ビリヤードは奥が深く、理論的なゲームだ。そのせいか、常連客たちはいつも議論しながらプレーしている。いや、最近はプレーそっちのけで各人が巻き込まれた事件について議論していることもしばしばだ。今も、常連客の一人が会社で起きた不審死の話を始めてしまった。いいのかな、球を撞いてくれないと店の売り上げにならないのだが。気を揉みながらみんなの推理に耳を傾けていると、僕にある閃きが…。この店には今日もまた不思議な事件が持ち込まれ、推理談義に花が咲くー。事件解決の鍵はビリヤードにあり。安楽椅子探偵、中央のデビュー戦。第24回鮎川哲也賞受賞作。
名探偵キャンピオン氏の魅力を存分に味わえる、粒ぞろいの短編集。袋小路で起きた不可解な事件の謎を解く「ボーダーライン事件」や、20年間毎日7時間半も社交クラブの窓辺にすわり続けているという伝説をもつ老人をめぐる、素っ頓狂な事件を描く表題作など計7編のほか、著者エッセイを併録。
落ちこぼれネクロマンサーのワードと死から蘇った美女シーリアが、暗殺者に追われて飛びこんだのは、黒魔術師の屋敷。ワードは弟子候補と間違えられてしまう。とっとと逃げ出すべきなのに、可愛い女の子には助けを求められ、旧知の猟官には盗みを命じられ、深みにはまっていくワード。気が弱いのに正義感が強く頑固なワードにシーリアは苛立ちを隠せない。好評シリーズ第二弾。
深夜のレンタルDVDショップで出会った少女ールイ。知れば知るほど、彼女は遠ざかり、幻になっていくー。ルイとはいったい誰なのか?彼女はほんとうにいるのか?新しい純愛を描く切ないラブストーリー。第1回「本にしたい大賞」受賞作!
自分の絵を描きたいー手本を写すだけの絵に疑問を感じていた狩野源四郎。しかし、足利義藤(義輝)の「日輪を描いてみせよ」との依頼から己の道がみえはじめる。進む先に待つのは、新たなる狩野の創造か、それとも破壊かー松永弾正、織田信長ら時の権力者に愛された、安土桃山時代を代表する天才絵師・狩野永徳。彼が「洛中洛外図屏風」を完成させるまでの苦悩と成長を描いた話題作を文庫化。
『狩野を越えろ』-亡き祖父の言葉通り、自らの画道を突き進む狩野源四郎に、足利義輝から『予の天下を描いてこい』との依頼がー「洛中洛外図屏風」を手掛ける源四郎の苦悩に迫る下巻。織田軍と対峙する松永弾正のもとに一隻の屏風が送られてくる。描いた絵師の名は狩野永徳ー。『洛中洛外画狂伝』の後日譚である書き下ろし短編『白屏風と平蜘蛛』を収録。