2014年6月発売
神田の「お化け長屋」と呼ばれる裏店に住む鏡三十郎は、「世の中、ほんとに不思議なことなんてないんだよ」というのが口癖。身近に起こった怪異現象を、蘭学の知識と合理的な考えで次々と解決していき、「魔性封じの先生」と評判になる。そんな折、三十郎に大店の主人から奇妙な依頼が…。書き下ろし時代小説、待望の新シリーズ第一弾!
部屋住みに絶望する旗本の三男坊、朝倉新三郎は心の拠り所だった祖父の死を機に出奔。ふとしたことから“見倒屋”徳兵衛に弟子入りする。見倒屋ーそれは、鍋釜から刀まで、人の匂いと思いの籠もった物を蘇らせ、新しい主へと橋渡しする商いだった。慣れぬ町人暮らしに戸惑いつつも、次第に生きる喜びを知る新三郎。折しも火事で散逸した雛人形を集めてほしいという依頼が舞い込む。期待の新シリーズ!
若草色の暖簾ー口入れ屋「百合花」は、仕事を探す女性を専門にしている。出生、家庭、結婚など、さまざまな悩みを抱えて、女たちはこの店を訪れる。「百合花」の女主人・千恵は、父と弟を亡くしてから独り身を通してきた。しかし元婚約者の孝四郎に、裕福な商家の若い娘との縁談が舞い込む…。お千恵自身の生き方と幸せを問う、シリーズ第三巻。
虚無僧・胡空は、元越後村石藩の藩士で剣の達人。藩首脳の汚職を知ってしまい、追われる身となった胡空は、人目を避けて江戸の一隅に隠れ住んでいる。胡空の剣の腕と過去を知った廻船問屋の葭屋徳兵衛は、お上が手を出せない悪を始末する闇の稼業、『仕置き業』へと胡空を誘う…。ベテラン作家、岳真也の新境地。念仏唱えて悪を斬る!
新聞配達の早朝の町で、暗天に閉ざされた北欧の地で、染織家の妻と新たな暮らしを始めた仙台の高台の家で、そして、津波に耐えて残った小高い山の上でー「私」の実感をないがしろにしない作家のまなざしは常に、「人間が生きていくこと」を見つめ続けた。高校時代の実質的な処女作から、東日本大震災後に書き下ろされた短篇まで、著者自ら選んだ九篇を収録。
第一楽章「白日の序曲」の初稿発表より四十年の歳月を経て完成した「連環体長篇小説」-全四楽章のうち、旧作の新訂篇である第一楽章から第三楽章までを本書に収録。異姓同名の男女の織りなす四つの世界が、それぞれ独立した中篇小説でありながら、重層化され、ひとつの長篇小説となる。十五年戦争から、敗戦・占領下、そして現代にいたる、日本人の精神の変遷とその社会の姿を圧倒的な筆致で描破。
生れ育った町が忘れられず、人々は長い避難生活から海塚に戻ってきました。心を一つに強く結び合い、「海塚讃歌」を声を合わせて歌い、新鮮で安全な地元の魚を食べ、ずっと健康に暮らすことができる故郷ー。密かにはびこるファシズム、打ち砕かれるヒューマニズム。批評家を驚愕・震撼させた、ディストピア小説の傑作。
小角の配流で統率の取れなくなった金剛山に指導者として迎え入れられた宇宙皇子。朝廷だけではなく、宇宙皇子の統率に反発する鬼達が出始め、指導者として外と内、両方の敵と戦わなければならなくなってしまう。そして使い方によっては聖人にも魔人にもなり得る鏡、聖魔鏡を手に入れた宇宙皇子は、その力に戸惑う。主人公の葛藤と成長を描く、飛鳥ファンタジー第7巻
大都会パリをあてどなくさまようマルテ。「見る」ことを学ぼうと、街路の風景やそこに暮らす人々を観察するうち、その思考は故郷での奇妙な出来事や、歴史的人物の人生の中を飛び回り…短い断章を積み重ねて描き出される詩人の苦悩と再生の物語。ドイツ文学の傑作。
トム・ソーヤーとの冒険で大金を得た後、学校に通い、まっとうな(でも退屈な)生活を送っていたハック。そこに息子を取り返そうと飲んだくれの父親が現れ、ハックはすべてから逃れようと筏で川に漕ぎ出す。身を隠した島で出会ったのは主人の家を逃げ出した奴隷のジムだった…。
ジムとの筏の旅には危険が一杯。さらに途中で道連れとなった詐欺師どもは厄介事ばかり引き起こす。だがハックを本当に悩ませていたのは、おたずね者の逃亡奴隷ジムをどうするかという問題だった。そして彼は重大な決断を下す。アメリカの魂といえる名作、決定訳で登場。
深夜の相模湾で繰り広げられる銃撃戦。冷静に引き金を絞る秘密諜報員、柊一の暗号名はブルー。不当な品物の密輸や密入国の阻止が彼の任務である。その最中、ターゲットの貨物船から逃げ出した中国人女性は記憶を失っていた。謎の組織に追われる彼女が握る秘密とは!?そして、孤高の諜報員の運命は大きく動き出す。アクションと恋が激しく交錯する海洋サスペンス!
吉原会所の頭取・四郎兵衛の傷がようやく癒えた折り、またも吉原が「脅威」にさらされた。吉原裏同心の神守幹次郎は、いまだ復調ならぬ四郎兵衛に伴って、吉原の秘された過去の「遺文」があるとされる鎌倉へ。そこで彼らを待ち受けていたのは過去最強の刺客たちと衝撃の「秘密」だった。シリーズ史上最高傑作!吉原、鎌倉を舞台に壮大なドラマが繰り広げられる第二十一弾。
天保の改革の一環で贅沢が禁止されるなか、歌舞伎の名題役者、七代目市川團十郎が襲われた。北町奉行の遠山金四郎から依頼された夏目影二郎は、團十郎を警固することとなった。はたして、影二郎たちの前に現れたのは謎の「猿面冠者」だった。猿面冠者の正体、そして、それを操る「影の人物」とはー。「狩りシリーズ」決定版、騒然の第十弾。巻末に佐伯泰英外伝を特別収録。
小料理屋で働く娘・おゆりを不審な侍が尾行廻していた。不審に思った南町奉行所隠密廻り同心の乾蔵人は、侍の正体を見極めようとしたが…(「未練者始末」)。定火消屋敷の火消人足の死を巡って、旗本と加賀藩が対立。そして、蔵人の腹心・五郎八が何者かに斬られる。忍び寄る敵に蔵人は最大の窮地に(表題作)。小気味いい短編と渾身の傑作中編を収録した会心作。
中国の戦国時代、不老長寿の島・オオヤマトから秦へ向かった青年・シャクチ。“蛮人どもを討伐し、文明に浴させる”とオオヤマト征服を計画する秦の始皇帝の大船団を一人で壊滅させ、項羽と劉邦の熾烈な覇権争いにも与せず、朝鮮半島に国家を樹立する。その脅威を恐れた漢の武帝は大軍勢で朝鮮に侵攻する…。巨大な権力に一人立ち向かい続ける不死身の男の活躍を描く傑作!