2014年7月5日発売
妹の結婚式で花嫁付添人を務めるゾーイは、式の真っ最中にもかかわらず携帯電話をいじり、不遜な態度をみせる花婿付添人アーロンに眉をひそめた。億万長者だからなんでも許されるとでも思っているのかしら?花婿の兄として、思いやりはないの?アーロンを少し懲らしめようと近づいたゾーイだったが、あろうことか彼のゴージャスな魅力に圧倒され、その日の夜には彼のベッドに招き入れられてしまう。3週間後、体調の変化に気づいたゾーイはなぜか高揚していた。許されるはずのない命を宿してしまったというのに。
賭に負けてスコットランドの古城を失ったと父から知らされ、アンジェリークはショックを受けた。相手が長年の宿敵、レミー・カッファレッリだと聞けばなおさらだ。あの城は亡き母の大切な生家。絶対に取り戻さなければ。アンジェリークはレミーが滞在するダービリ首長国に向かい、直談判するため、彼のホテルの部屋に忍び込んで待つことにした。だがこれが、思いがけない展開を生んでしまうーこの国では独身男女が二人きりで会うことは禁じられていたのだ。役人に見つかって連行され、動揺するアンジェリークの耳に、レミーの予想外の言葉が聞こえた。「彼女は僕の婚約者だ!」
婚約者に裏切られ傷ついた心を癒やすため、ケイラはギリシアの島を訪れていた。海辺で写真を撮っていると、一人の漁師に思わず目を奪われる。荒々しいセクシーな風貌と傲岸な表情ー熱に浮かされたように彼女はシャッターを切っていた。ところがその漁師、レオンはケイラに写真を撮られたと知るや、ひどく怒って彼女に詰め寄ってきた。いったいどうしたの?何が彼の逆鱗に触れたのかしら?数日後、島を嵐が襲い、彼女が泊まるヴィラの屋根が倒壊した。真っ先に駆けつけてきたのは、驚いたことにレオンだった。
身重のミアは、大切な友人の葬儀に参列していた。遺族席に目をやると、厳しい表情の彼がいた。友人の兄イーサン・カーヴェルーホテル経営で巨万の富を得た、傲慢きわまりない億万長者だ。7年前、ミアとイーサンは出会い、ひと目で激しい恋に落ちた。だが彼はある誤解から彼女を捨てて、一方的に去っていったのだ。そして今、ミアのおなかの子の父親が弟だと聞きつけると、彼女を詐欺師呼ばわりし、財産目当てと決めつけて責め立てている。もし真実を告げたとしても、きっと彼は信じないだろう。私が純潔を捧げた人は、あとにも先にも彼一人だということを。
両親を早くに亡くし、妹たちの面倒を見てきた助産師のアビィ。彼女が勤務する産科に、ローハンという名のまばゆいばかりにハンサムなドクターがやってきた。見るも鮮やかな手つきで処置をほどこす有能な彼に、周囲の女性たちはまたたく間に虜になっていった。アビィもまた、彼に微笑まれるとどうしようもなく胸がざわついた。だが、ローハンは愛や結婚に否定的で、自己犠牲的な彼女の生き方をも非難する冷たい男性だとわかる。ショックを受けるアビィだったが、ある夜、突然ローハンが彼女の家を訪れ、思いがけない申し出をー
ある日、ローラは姉夫婦が死亡したという連絡を受け取った。知らせてきたのは、義兄の親友で名門出の大富豪アントン・ドヴィアー何度か会ったことはあるが、過剰なまでの男っぽさや尊大さに、ローラはつい怖じ気づいてしまい、ひどく苦手な相手だった。遺された姪サリーのもとに駆けつけると、そこにはアントンがおり、驚いたことに、後見人としてサリーを引き取ると告げる。たしかに一介の秘書の私より彼に育てられたほうが幸せかもしれない。でも、両親を亡くして不安になっている姪を放ってはおけない…。ためらい、思い悩むローラを、アントンは嘲るように眺めたあげく、有無を言わせぬ口調で言った。「君は僕と結婚しなくてはならない」
いわれなき噂を立てられ、社交界を追われたリディア。ある夜、張り込みの記者につかまり、はずみで足首を怪我したところを、放蕩子爵エイドリアンに助けられた。今までつらい目ばかりを見てきたリディアは、彼の優しさに触れ、たくましい胸に思わず飛びこんでしまう。それは、女としての悦びを初めて教えられた一夜だった。また彼と会いたい…でも、これ以上噂の的になるわけにはいかない。そう思った彼女は、心を鬼にしてエイドリアンを追い返した。まさかその後、彼の子を身ごもったことを暴く記事が、新聞紙上に躍ることになるなど夢にも思わずに。
誘拐事件に巻きこまれ、一時は記憶さえも失ったサラは、心身を癒やすため異国で療養生活を送っていたが、その間にショックなできごとがあった。長く慕ってきた兄の親友ジョンが、ほかの女性と結婚してしまったのだ。彼はサラが異国へ発つ前に、愛を告白してくれたというのに。あれはただの思わせぶりだったの?私の気持ちを弄んだだけ?切ない思いを抱えたままイギリスに帰国したサラを、予想もしなかった知らせが待っていたージョンの妻となった女性はすでに亡くなったというのだ。だが、彼との再会を心密かに待ちわびていたサラに、彼はつれなくて…。
ルーシーは、探偵ヘイデンの滞在するスイートルームに来ていた。継父がオーナーを務める会社が起こした事件の聴取を受けるためだが、ドアが開いた瞬間、出迎えたヘイデンに一目で心奪われたー。陰のある端整な顔立ち、息がとまるほどの存在感。だが、ヘイデンが継父を黒幕だと疑っていると知り、一瞬のうちに、彼は愛してはいけない人となってしまった。彼を求める心の叫びを無視し、ルーシーは継父の無実を証明しようと、調査の協力を申し出る。やがてヘイデンと行動をともにするうちに、彼の瞳に揺らめく欲望の炎を見つけ、めくるめく夜をともにしてしまう。しかしヘイデンは残酷な言葉を放った。「この関係は一時的なものだ」
別居中の大富豪の夫サムが事故で大怪我をしたと聞き、ブリアは病院に向かった。ところが、昏睡からさめた夫の言葉に驚く。「今回は成功したのかな、スイートハート?妊娠の兆候は?」優しく彼女を気遣うサムの様子は、愛情深い夫そのものだった。まさか…覚えていないの?不思議なことにサムの記憶からは、5カ月前ブリアが流産したこともそれが二人の関係を最悪な結末に導いたことも、消えていたのだ。ブリアはサムが快復するまで、再び一緒に暮らすことを決める。そして、仕事中毒ですれ違いばかりだった夫と過ごす新婚の頃のような甘く幸福な日々に、つかのま酔いしれるが…。
ローズは病後の療養のため、王の専用飛行機で、石油の国ラス・アルハジャールを訪れていた。王室御用達の獣医である兄に招かれたのだ。ある夜、兄と車で出かける途中、突如暗闇から馬が躍り出てきた。急ブレーキを踏んで車を停止させるや、兄は馬を捜しに行ってしまう。慌ててローズも飛び出すと、誰かに口をふさがれ、抱き上げられた。全身黒ずくめの男は黒い頭巾をかぶり、灰色の目しか見えない。だが光る目を見て直感した。飛行機に同乗していたハッサン皇子だわ!あの鋭い瞳を忘れようはずがない。でも、なぜ彼が私を誘拐するの?たくましい腕に連れ去られながら、ローズは恐怖に震えた。
夜勤明けで熟睡していたホリーは、玄関ベルに眠りを妨げられた。色気も何もないストライプのパジャマ姿でドアを開けるとーそこにはなんと、ニール・ウェズリーが!大学時代、姉の恋人だったニール。今は名だたる実業家で、爵位を継ぐ身分でもある。そしてホリーをこっぴどく振った人…。そんなニールが、復縁を迫る元妻から逃げるため、今夜だけ姉に婚約者になりすましてほしいと頼みに来たのだ。だがあいにく姉が不在と知り、彼はホリーにその役を頼んだ。ニールと私が熱烈な恋愛中?そんな嘘が通用するのかしら?疑心暗鬼のホリーに、ニールはキスをした。熱く、激しいキスを。
「新しい恋人は、君が莫大な遺産を受け継ぐのを知っているのか?」ああ、まただわ。彼が財産目当てと疑っているのね。名だたるプレイボーイとして有名な、年の離れた義兄ニック。サラの幼い日の憧れはいつしか恋に、恋はいつしか叶わぬ夢になった。なぜなら彼は、サラの亡き父親から託された後見人だから。いつまでも子ども扱いしかしてくれない彼は、サラが連れてくるボーイフレンドの誰も彼もが気に入らない。仕方ないわーニックと比べたら、どんな男性も色褪せてしまうもの。24歳になったサラは一大決心をした。彼の気持ちを確かめたい。ニック、大人の女性になったわたしのこと、どう思っているの…?
マリアは宝石デザイナーとして不遇の日々を送っていた。アリスト王国の王妃のネックレスを作る仕事を与えられたのに、傲慢なプリンス、アレックスにその機会を潰されてしまったのだ。彼はマリアを誘惑し一夜をともにしたが、朝がくると、冷酷にも彼女を追い払い、仕事もなかったことにした。だがその2カ月後、王子が突然ニューヨークの彼女を訪ねてくる。国王の命令で、もう一度王妃のネックレスを作れというのだ。しかも契約の条件は、アレックスの愛人になることー冗談じゃないわ!なんて卑劣な人なの。生活が逼迫していて断れないマリアは怒り、抵抗したが、彼は平然とせせら笑い、契約の印だと言って唇をふさいだ。