2014年8月発売
とある小国の経済を牛耳るベントゥーラ一族の人びとが毎夏を過ごす辺境の別荘。ある日、大人たちが全員ピクニックに出かけ、別荘には33人のいとこたちだけが取り残された。日常の秩序が失われた小世界で、子どもたちの企みと別荘をめぐる一族の暗い歴史が交錯し、やがて常軌を逸した出来事が巻きおこる…。チリの巨匠ホセ・ドノソの、『夜のみだらな鳥』と並ぶ代表作にして、二転、三転する狂気をはらんだ世界が読む者を眩惑する怪作、待望の邦訳!!1973年チリ・クーデタに触発されたドノソが、類い希なる想像力を駆使し、偏執的とさえいえる緻密な構成で書き上げた、理屈抜きに面白い傑作。後続する作家や世界の批評家たちを今なお魅了しつづける、ラテンアメリカ文学の金字塔。
スウェーデンの田舎町、エンゲルスフォシュ。退屈なこの町の高校のトイレで、男子生徒、エリアスの遺体が見つかり、自殺と断定された。その翌日、6人の女子生徒が導かれるように集められ、「選ばれし者」であると告げられる。きたるべき邪悪の攻撃から、力を合わせて世界を守る使命があるというのだ。バラバラな6人はしかし、なかなか協力できない。そこへ敵は着実に忍び寄ってきたー。見えない恐怖と戦う彼女たちには、いじめ、複雑な家庭、先生への恋、摂食障害などの生々しい日常がある。命をかけた戦いと今日の恋、明日を忘れるパーティと、本物の魔法…。息をもつかせぬ展開のなか、少女たちが見つけ出した敵はー。スウェーデン発、社会現象を巻き起こしたベストセラー・ファンタジー、『ザ・サークル』は、3部作の1作目。世界28カ国で訳されている。本国では映画の撮影も話題になっている。
27年間兄だと信じていた男は何者なのか?村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。竜彦は偽者なのではないか?全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追うー。第60回江戸川乱歩賞受賞。
隣の小学校の先生が殺された。容疑者のひとりが担任の美旗先生と知った俺、桑町淳は、クラスメイトの鈴木太郎に真犯人は誰かと尋ねてみた。殺人犯の名前を小学生に聞くなんてと思うかもしれないが、鈴木の情報は絶対に正しい。鈴木は神様なのだからー(「少年探偵団と神様」)。衝撃的な展開と後味の悪さでミステリ界を震撼させた神様探偵が帰ってきた。他の追随を許さぬ超絶推理の頂点がここに。
わけあって豊後森藩を脱藩し、研ぎ仕事で稼ぎながら長屋に暮らす赤目小籐次。ある夕、長屋の元差配・新兵衛の姿が忽然と消えた。さらに数日後、小籐次の養子・駿太郎らが拐しにあった。一連の事件は小籐次に恨みがある者の仕業なのか。小籐次は拐しに係わった阿波津家の謎に迫る。痛快シリーズ、文春文庫でついにスタート!文春文庫40周年記念書き下ろし。
湖畔の村に彼女が帰ってきた。東京に出て芸能界で成功した由貴美。ロックフェスの夜に彼女と出会った高校生・広海はその謎めいた魅力に囚われ、恋に落ちた。だが、ある夜、彼女は言う、自分はこの村に復讐するために帰ってきたのだと。村の秘密と美しい女の嘘が引き起こす悲劇。あまりに脆く切ない、恋の物語。
自己啓発書を読み漁って空回る若きサラリーマン、お見合いパーティに参加しても動物の行動を観察するように冷静になってしまう三十代女性、リストラされたことを家族に言い出せない二代目ベンチマン…この時代を滑稽に、しかし懸命に生きる人々を短篇の名手が描いた、ユーモラス&ビターな七つの物語。
三代将軍家光の時代に幕政を宰領、『徳川の平和(パクス・トクガワーナ)』の礎を築いた「知恵伊豆」こと松平伊豆守信綱。信綱には我が子のごとく慈しんだ少年・小太郎がいた。小太郎は南蛮医としての将来が嘱望されたが、決して知られてはならない秘密を抱えていた。やがて二人に最大の試練「島原の乱」が迫り来るー。
大検校菊沢寿久が守ってきた、深く寂しく強靱な生命力を底に流す地唄の世界。継承者として期待された娘の邦枝は、偉大な父に背いて日系二世の男と結婚、渡米する。古き伝統の闇と新旧世代の断絶、親子の確執を描くデビュー作「地唄」を収録した初の長編小説。若き有吉佐和子の圧倒的筆力と完成度の高さに酔う!
舞台は約50年前の東京。赤坂の一流料亭の長女として、絹に覆われ贅沢に育った19歳の満佐子は、才気あふれる一人の文士と出逢う。本来、住む世界が違うはずの二人はなぜか強く惹かれあい、逢瀬を重ねるうちに男はある“決心”を固めるー。若き三島由紀夫の知られざる恋を、実話をもとに絢爛たる文体で小説に仕立てた傑作。
昭和六年、母を失くし「ひのもと救霊会」を訪ねた少年・千葉潔は、教団に拾われた。やがて時代は戦争へと向かうなか、教団は徹底的に弾圧を受け、教主は投獄される。分派、転向、独立…壊滅へ向かう教団の運命は?一九七一年三九歳で早逝した天才作家が『朝日ジャーナル』に連載した日本文学の金字塔。
たび重なる戦時下の弾圧でばらばらになった教団。敗戦後、生き残った者たちが戻り、再興を目指す。かの千葉潔はリーダーとなり、長女と共謀して教主の座を簒奪。教団は急進化し、国家からの独立をもとめて武装蜂起し、破滅へとひた走る…天才作家の最高傑作にして、今もあまたの読書人が推薦する永遠の“必読書”。圧倒的完結篇!
リンバロストの美しい森の端に住む、優しく賢い少女エルノラ。実の母親に無慈悲で理不尽な仕打ちをうけながらも、虫の収集で学費を稼ぎ、町の学校に通うことを決意する。翻訳者・村岡花子が、「アン」シリーズとともに愛した永遠の名著。村岡花子がこの作品との出会いを綴ったエッセイ「夏のおもいで」を特別収録。
エルノラは、優秀な成績で高等学校を卒業し、美しい女性に成長した。娘への愛情にようやく気づいた母親に見守られながら、大学を目指す。ある日、療養のためにリンバロストの森を訪れた名家の青年フィリップと出あい、惹かれあうエルノラ。しかし、彼にはすでに許嫁がいた。この作品を誰よりも愛した村岡花子の名訳で贈る。
ある日ホームズのもとに届いた暗号の手紙。見事解読するも、殺人はすでに行われていた!背後にひそむホームズ最大の宿敵・モリアーティ教授の影。奇妙な殺害現場からホームズが導きだした意外な答えとは?そして事件はかつてアメリカに存在した謎の殺人者集団の存在を明らかにしてゆく…。「ホームズ物語」最後の長編作。決定版、充実した注と解説、全イラスト復刻。
第二次世界大戦前夜のイタリア、山荘に住む美貌の未亡人メアリーは親子ほど歳の離れた英国高官エドガーからプロポーズを受ける。一途なアプローチに心を動かされるメアリーだったが、そこにエドガーとはまったくタイプの違う二人の男性が現れて物語は急展開を迎える。芸術の街フィレンツェの華麗な英国人社交界を舞台に、刻々と変化を見せる女の心情を鮮やかに描いたモームの傑作を新訳で。
江戸で浪人となった青年・夏島丈衛門は、ひょんなことから“喧嘩最強”の経営指南所「唯力舎」に入門することになる。皆がおびえる腕っ節と抜群の頭脳を持つ若き女師範・たえ、あらゆる店の帳簿を一目で読み解く喜助、天才的な商売のアイデアを捻り出す冬、そして人の嘘は必ず見抜く平三郎たちとともに、「犬の接待」から「かたむいた大店の建て直し」まで、唯力舎に持ち込まれる難題を独自の“最善手”で解決していく。
一年前の秋、白石秋美の通う高校では、人気教師・宇津木が旧校舎内で何者かに殺害される事件が起きた。そして、翌年の同じ日に、こんどは秋美の慕う男性教師・小垣が同じ旧校舎から飛び降りて死亡する。怪奇話が大好きな空手部の渋谷新司と、それらの話を全く信じない生徒会長の木吉吾郎とともに、二人の死の真相に迫ろうとする秋美。二つの事件を繋ぐ闇を追う刑事も巻き込みながら、迎えた文化祭の夜。隠され続けていた真実が、秋美の前に現れる。
新人作家の永井順一は、やり手の雑誌記者だった妻・由理を殺され失意のどん底に。妻と生前に約束していた韓国への旅に出かけた順一は老斤里で、人生の岐路に立つ四人の仲間に出会う。彼らは思いもよらない角度から事件に光をあててくれた。妻の死は、彼女が追っていた医大教授の黒い噂に繋がるのか?さらに、朝鮮半島の歴史的事件にもー。人間の苦悩と再生を描く傑作!