2014年8月発売
短大の准教授である竹田雄一は、教え子の一人、本木絵里奈に密かな恋心を抱いていた。バツイチのうえ、歳の差があって交際は無理だと考えていたが、理事長から雄一に、学生が風俗店で働いているという噂の調査をするよう指示が出されたことから事態が一変する。絵里奈が風俗店でアルバイトをしていたのだ。長編癒し系エロス。
予備校生の長岡雄治は、美しき継母・詩織への恋心に耐えかね、父の海外転勤を機に「勉強に集中するため」と理由をつけて安アパートでひとり暮らしを始める。だが、心配した詩織は足繁く雄治の元に通い、エプロン姿で健気に世話を焼く。六畳一間に満ち溢れる甘い汗の香り、誘うように揺れる胸の膨らみ。童貞の雄治は、淫欲を悟られまいと、必死で取り繕うがー。人気急上昇作家が贈る、甘く切ない背徳官能。
文具メーカーに勤務する村上隆平は、営業の途中で古びたアパートを見つけて入居を決める。1階には管理人の横山とホストの安田、2階には駅前のスナックで働く原田優子と玩具メーカーのOL前原美恵子が住んでいる「満願荘」の周辺にも、ワケありでエロい人物がいっぱい。淫心が、やがてすべてをひとつに繋げていく。書き下ろし長編艶笑エロス。
はぐれ長屋に小さな娘を連れた武士がやってきた。訳ありの様子だが、武士のたっての頼みで父娘は長屋で暮らし始める。そんなある日、屈強な男たちが長屋に乗り込み、武士に襲いかかった。源九郎たちの助勢もあり、なんとか刺客を追い払ったが、それ以来、父娘を狙う影がちらつくようになる。大好評シリーズ第三十一弾!
柳橋でも指折りの船宿「笹舟」の主にして、南町奉行所定町廻り同心から手札を貰う岡っ引、人呼んで“柳橋の弥平次”。行方知れずの亭主を捜しに常陸国から出てきた女と知り合った弥平次は、その手伝いを始めるものの中々手掛りを掴めずにいた。そんな中、弥平次の命を狙う影が動き出し…。江戸の岡っ引たちに一目置かれる弥平次と個性豊かな手先たちの活躍を描く人情捕物の決定版。シリーズ第一弾。
死病が大流行した幕末、近藤勇の剣術道場は閑散としていた。ある晩、仲間の土方歳三や沖田総司と町の見回りに出たところ、生き返った屍の群れに取り囲まれてしまう。辛くも逃れたものの、戦いで負傷した総司の様子がおかしい。次の将軍と噂される一橋慶喜に、日本中で増殖する“ゾンビ”が原因らしいと知らされた近藤たちは、その退治を頼まれるがー
「お化け長屋のあやかし先生」として、いまや江戸中の評判となっている鏡三十郎の耳に、奇妙な噂が入ってくる。なんでも、江戸の市中で雲つくような大きな猿が次々と若い女を襲い、手込めにしているというのだ。三十郎は猿の正体を確かめようとするが、事態は思わぬ方向に転がっていく。好評「三十郎あやかし破り」シリーズ第二弾。
あの日、ぼくは初めてあやめさんを食事に誘った。銀座の裏通りにある西洋料理店で「四月一日亭」という変わった名前のお店だった…。大正時代末期、日本が自由で穏やかだった時代。美味しい料理とともに、人々の悲喜こもごもが繰り広げられる。気鋭の作家が描く連作短編集。
二人の出会いは電撃的だった。チェーザレの運転する車に轢かれそうになったアーヴァは、急いで車から降りたゴージャスな彼に目が釘付けになった。互いに名前を名乗り合う間も惜しいほど二人は瞬時に燃えあがり、気づけば車のボンネットの上で愛し合っていたのだ。コモ湖畔に大邸宅を構える億万長者チューザレとの結婚と妊娠、愛娘の誕生ー完璧な甘い夢だった。夫が妻子を顧みなくなるまでは。不在がちなチェーザレに寝室で冷たくあしらわれたとき、必死ですがるアーヴァの耳に、夫のとどめのひと言が聞こえた。「僕は君がほしかった。だが君を愛していると言ったことはない」
アレックス!まさか秋のニューヨークで彼と再会するなんて。かつて彼にひと目惚れしたデイジーは運命を信じ、結局裏切られた。アレックスにとっては手軽なひとときを過ごしただけのことで、デイジーは幼く愚かな自分に深く絶望したものだ。今、再会した彼はようやく身を固める決心をしたみたいだけれど、妻なんて法律で認められたベッドの相手としか考えていないらしい。やっぱりこの人は変わっていない。別れたのは正解だったのよ。あの秘密を知られる前に、ふたたび彼の前から立ち去らなければ。私の息子ーアレックスと同じ緑の瞳をもつ子どもの存在と、その子に“パパ”と呼ばせている別の男性がいることを…。
数多の女性たちを虜にしておきながら、愛だけは与えない男。それが家政婦のエマが7年間仕えてきた雇い主、世界的なホテル王チェーザレ・ファルコネッリだ。彼に快適な生活を送らせるべく、エマは料理や掃除はもちろん、ときには主のベッドに居座る美女を追い払う役目までも担ってきた。でもまさかそのベッドで、私自身が目覚めることになるなんて…。一人きりで迎える朝は冷え冷えとしていた。彼は欲望を満たし、私は純潔を捧げた。それだけのことよ。3カ月後、エマは妊娠していた。病身の彼女にとっては奇跡だった。だがそんな事情も知らず、彼はエマに愛人になるよう迫り…。
やはりスルタンとの政略結婚から逃れることはできないの?プリンセスの素性を隠し、ロンドンで平凡に暮らしたいだけなのに。サラは勤め先の会社に現れた迎えの使者を見つめたースレイマン。幼いころから憧れてきた彼が、いま目の前で、政治のための不毛な結婚の履行をサラに迫っている。彼はもう忘れてしまったのだろうか?5年前のあの夜のことを。禁じられていると知りながら交わした、あの魔法のようなキスを。「君にはスルタンの妻となり、後継ぎを産む義務がある」氷のように冷たいスレイマンの言葉に、サラは身震いした。彼は本気で私をスルタンに差しだす気なのだ。憐れな生け贅として。
ベラは産休の姉に代わって産科病棟で働くことになったが、ドクターのスコットはそれを快く思っていなかった。10代の頃、ベラはスコットに憧れて告白したものの、彼は年の差を理由に若い彼女の愛を拒絶したのだった。そんな過去があるせいか、スコットはいまだにベラに冷たく、二人の間はぎくしゃくしていた。ところが、ベラの家に男の下宿人が住むとわかって以来、スコットは何かと彼女の生活に干渉するようになる。今さら、どういうつもりかしら?ベラはいぶかりながらも、心がざわつくのを抑えようがなかった。
唯一の身内の祖母を亡くしたジルは19歳で故郷をあとにし、ロンドンにある高級ホテルのブティックで働きはじめた。ある日、親しくしている宿泊客の少女が病気で入院し、海外から見舞いに駆けつけた少女の叔父エリックと出会う。アメリカ西海岸で高級百貨店を経営する大富豪の彼は、ヴァイキングの血を引き、大柄で威圧感にあふれた男性だった。灰色の瞳に射られ、恐れか、畏怖か、ジルはえも言われぬ感情に戸惑った。するとエリックは彼女を食事に誘い、思わぬ話を持ちかけてきた。「きみもアメリカへ来て、僕のところで仕事をしないか?」有能な実業家の彼が私のような小娘に声をかけるのは、なぜ?
伯爵令嬢のオクタヴィアは亡き伯母からロンドン郊外の屋敷を相続する。遺言状には屋敷を伯母の知人バラクラフ家に半年貸すとも記されていて、彼らが到着する前に見ておこうと、彼女は現地へ向かった。だが、そこにはすでに先客がいたー大富豪エドワード・バラクラフ。とてもハンサムだけれど、あの険しい表情はまるで“鬼”だわ!しかも、彼女はエドワードに家庭教師志望の女性と勘違いされてしまう。どうやら彼は慣れない姪たちの世話に困っているようだと気づき、オクタヴィアは自分の素性を明かさぬまま、この魅力的な“鬼”に雇われることにするが…。
「僕と結婚してほしいんだ」逞しくセクシーなボス、リアムの突然の言葉に、フランチェスカは困惑した。いったいどういうこと?初めて出会ったときから、リアムに惹かれていた。だが彼はプレイボーイで、結婚には向かない男性だと感じていたのだ。そのリアムが会社の大株主である大叔母に、早く身を固めなければ会社を任せられないと結婚を急かされ、思いついたのが偽装結婚なのだという。悩んだすえ、フランチェスカはプロポーズを承諾し、幸せな婚約者を演じることに努める。二人の関係に愛は必要ないのに、リアムへの愛は増していくのだった。報われない想いを胸に、フランチェスカは偽りの結婚式を迎えるが…。
18歳のハンナは父親を亡くし、天涯孤独の身となった。父の友人アレックスが親代わりに引き取るというが、知人の牧師夫妻はあまりいい顔をしない。というのも、アレックスは昔破れた恋を引きずっていて、女性との関係は遊びと割り切り、独身を貫いているからだ。そんなある夜、ハンナに目をつけていたアレックスの仕事仲間が、彼女を車に乗せ、無理やり唇を奪うという事件が起こった。危機一髪で逃げ出すも、生まれて初めて男の欲望を目の当たりにし、恐怖に怯えるハンナに、アレックスは言い渡した。「きみに必要なのは父親じゃない。夫だ」
高額な母の医療費を払うため、シャノンは代理母になる決心をした。子供を望んでいるのは、理想の結婚相手だと誉れ高い独身の大富豪、バーク・エリソン・ビショップだ。恵まれない幼少期を過ごしたせいで、愛も女性も信じられない彼は、面接で採用した女性に、自分の子を産んでほしいのだという。めでたく合格し、人工授精で身ごもったシャノンだったが、やがて体だけでなく心の変化に気づいて呆然とした。なにくれとなく気遣ってくれるバークに、いつしか惹かれていたのだ。彼が欲しいのは妻ではなく、おなかの子だけだと知りながら。
恋人の浮気の現場を見てしまい、打ちひしがれたマギーは、降りしきる雨の中をずぶ濡れで歩いていた。気分が悪くなり、思わずかがみ込んだとき、長身で引き締まった体つきの男性に声をかけられる。砂漠の国シャジェハールの要人で、カリードと名乗った彼は、マギーを高級車に乗せ、滞在している屋敷まで連れていった。冷たくなった体を抱き上げられ、バスルームに下ろされると、カリードの魅惑的な低い声が囁いた。「さあ、服を脱いで」マギーは恥じらいながらもその言葉に従った。氷雨の夜の熱いひとときが、悲しい千一夜の幕開けとは知らずに。