2014年発売
タクシー運転手の速人が迷い込んだのは、この世とあのよの狭間を漂う入日村という不思議な村。そこで会った少女・彩葉と共に、速人は迷える魂の「未練」を解く仕事を始めるが……。心にしみこむ物語!
おいしい報酬につられ、怪異トラブル解決業の奈(にのまえ)に、いいようにコキ使われることになった素行不良霊能者の多賀宮だったが……。唯我独尊男と生き餌男の痛快あやかしミステリー誕生!
飛岡音楽院の学院長が亡くなった。音楽家として活躍した彼は、死の間際に、幻と言われている“送別のソナタ”の楽譜を孫娘・有紀子に託す。決して弾いてはならないという言葉を添えて。有紀子の姉・真由子が学院長に就任し、新たな生活が始まろうとした矢先、不可解な事件が起こり始める。学院の運営を任されていた園井が、真相を知っているようだが…。姉妹を巡る人間関係も、変奏曲のように変化していく傑作がここに!
行方不明になったピアノ科の生徒と学院の事務長夫人。警察は、手がかりがないまま関係者に事情を聞き始める。有紀子は、祖父の死がきっかけで知り合った滝村と自宅で過ごしていると、前触れもなく事務長の森崎が訪ねてくる。ナイフを手に“送別のソナタ”の楽譜を出せとおどされる有紀子。滝村が果敢に立ち向かっていくがー。音楽家たちを虜にした作品・幻のソナタの真相が今明らかになる!
この国の行く末を憂い、幕府の体制に疑問を感じていた彦蔵は、己は何をすべきかと焦燥感に駆られていた。そんな折、ついに師の本多利明や、ともに学ぶ仲間が襲撃される。怒れる彦蔵は犯人を探り始めるが、そこで辿り着いた、意外な黒幕とは!?一方、彦蔵の故郷・河遠藩では藩政改革を図る一派に大きな危機が訪れていた。過酷な運命に翻弄されながらも真摯に生き抜く侍を活写する、話題沸騰の書き下ろし時代小説、第6弾!
休暇でサンフランシスコの家族のもとに帰ってきた海軍大尉フォード・ブロディは父が逮捕されたという報せを受け日本に向かう。父とともに放射能汚染区域に侵入したフォードは、原発跡地の地底からあたりを破壊して飛び去る巨大な生物を目撃する。その怪物が向かったハワイにはさらに巨大な怪獣ゴジラが現れた…。1954年のオリジナル版にオマージュを捧げたハリウッド版『ゴジラ』最新作、オフィシャル小説版!
燃えあがる独占欲、迸る執着心ーー灼熱のような恋情に駆りたてられた5人のドSな男たち。首輪や枷をつけられてーー禁じられた愉悦に溺れた5人の可憐な乙女たち。身も心も虜になった果てに知る真実の愛とは!?
時は戦国、下剋上の世。京都・相国寺近くにある三好家の屋敷に、その男はいた。得体の知れぬ出自でありながら、茶の湯に通じ、右筆として仕える野心家である。気に食わぬ者は容赦なく首を刎ね、殺害した女を姦通し、権謀術数を駆使して戦国大名へと成り上がっていく。信長ですら畏れた稀代の梟雄・松永弾正久秀を突き動かすものは、野望かそれとも…!?「悪の爽快感」が支配する血涙必至の物語。
時代のうねりは、杉浦透と水谷郷臣に関わる女たちをも容赦なく巻き込んでいく。透が人知れず将来を誓ったなほ。親の取り決めで結婚したつじ。昌平黌の学友の妹で、旗本の娘ふく。郷臣が秘かに思いを交わす“黒子の人”。元芸妓のせん…。透や郷臣のみならず、彼女たちにもまた、苛酷な運命が待ち構えていた。杉浦透曰く、「単に生きて食ってゆくというだけでも、どんなにむずかしいか」混乱の時代に、何を為し、いかに生きるべきかを模索しつづける若者たちの姿を描く感動作!
泉鏡花晩年の傑作幻想長篇小説『山海評判記』の貴重な新聞初出テキストと、連載時に小村雪岱が描き下ろした面妖不可思議な三百点近い挿絵すべてを収めた豪華美麗本。別冊として、福永武彦と種村季弘の先駆的作品論、新発見の草稿原稿、詳細な解題等も収録。
東京の半導体メーカーに勤める田宮里江子は、ひょんな事がきっかけで、大学時代の親友の夫・長谷川岳志と10年ぶりに遭遇する。岳志は、親友の恋人でありながら、初対面でいきなりプロポーズしてきた男であった……。直木賞作家のTwitter連載小説として、新聞各紙(讀賣新聞、日本経済新聞)で取り上げられ話題となった恋愛小説。何度も読んで、何度も涙するという読者が続出した。鉄筆文庫の創刊第一作であり、直木賞作家・白石一文の文庫最新作。
「さよならなんて、ぜったい言えないよ」魅惑の未発表作品集。バーで出会った殺人アドバイザー、夫の新発明を試した妻、“見る影もない”上司と新人女性社員…やさしくも皮肉で、おかしくも深い、ヴォネガットから14の贈り物。
南雲空母機動部隊、サンフランシスコ急襲!ハワイ孤立!原爆開発施設、壊滅!孤立無援のトルーマン、苦渋の選択とは!?羅門ワールドの新境地!堂々完結!!
信長の家老にして「米のように欠かせぬ男」と言われた知将・丹羽長秀。だが清洲会議で秀吉を支持し、越前・若狭・加賀123万石の大封を得たとき、丹羽家取り潰しの定めは決まってしまった!長秀死後の4万石への大減封、家臣団離散の中での小田原出兵、そして、北陸の関ヶ原「浅井畷」における前田家100万石との死闘…。風前の灯火の丹羽家に残されたのは、家中も「空論屋」と呆れる新米家老・江口正吉と、城オタクで人の好い若殿・丹羽長重、そして、あまりにも大きすぎる「理想」だった!理不尽に滅封された丹羽家の若き新米主従の空論で理想を貫いた、胸熱くなる闘いの軌跡!第19回歴史群像大賞入賞作品。
「予定日まで来たいうのは、お祝い事や」。にぎやかな錦市場のアーケードを、慎二と園子は、お祝いの夕食にと、はもを探して歩いた。五年前には、五ヶ月でお腹の赤ちゃんの心音が聞こえなくなったことがある。今回は、十ヶ月をかけて隆起する火山のようにふくらんでいった園子の腹。慎二と迎えたその瞬間、園子に大波が打ち寄せたー。新たな「いのち」の誕生。その奇蹟を描く物語。織田作之助賞受賞作。
明治半ば、播州(兵庫県南部)小野藩最後の藩主の娘として生まれた一柳満喜子。封建的な家で育った満喜子だが、平民の通う女学校に進んで、アメリカ人教師から英語やキリスト教の精神を教えられ、神戸女学院では音楽を学ぶ。乳兄弟の佑之進との恋は実らず、傷心の彼女はアメリカに留学することに……。運命に翻弄されながらも、自らの人生を切り開いていった女の姿を描く感動の大作。
キリスト教伝道のため来日し、近江兄弟社を設立したW・メレル・ヴォーリーズは、関西学院、軽井沢ユニオン教会などを手掛けた建築家としても知られる。留学から帰国した満喜子は、メレルと出会い、周囲の猛反対を押し切って、結婚する。近江八幡に居を構え、幼児教育に邁進する彼女と日本に帰化した夫の前に、様々な逆境が襲い掛かるーー。二人の愛に満ちた生涯を描く感動の長編。