2015年1月16日発売
プルースト(1871-1922)が20代前半に書いた短篇小説・散文・詩をまとめた第一作品集。鋭敏で繊細な感受性、細部にわたる緻密な観察、情熱や嫉妬といった心理の微妙かつ執拗な探究、スノビスムへのこだわりなど、大作『失われた時を求めて』にも見られる特徴の数々が本書にはすでに現れている。作家プルーストの原点。
晩秋の武蔵野、明子は、烏瓜の実がたわわに垂れる家で、女子大時代の先輩蕗子と運命の再会をした。ゆたかな才能をもてあますように奔放に生きる蕗子と、くもりのない批評意識をもって日々を真摯に生きる明子。二・二六事件前後の激動の時代に、深い愛に結ばれ自立をめざして青春を生きた二人の魂の交流を描く。第四十六回読売文学賞受賞作。
“頭狂人”“044APD”“axe”“ザンギャ君”“伴道全教授”。奇妙なハンドルネームを持つ5人がネット上で仕掛ける推理バトル。出題者は実際に密室殺人を行い、トリックを解いてみろ、とチャットで挑発を繰り返す。謎解きゲームに勝つため、それだけのために人を殺す非情な連中の命運は、いつ尽きる!?
無活用ラテン語で書かれた小説『猫の下で読むに限る』で道化師と名指された実業家のエイブラムス氏。その作者である友幸友幸は、エイブラムス氏の潤沢な資金と人員を投入した追跡をよそに転居を繰り返し、現地の言葉で書かれた原稿を残してゆく。幾重にも織り上げられた言語をめぐる物語。芥川賞受賞作。
「カネもなければ、オンナもいない」元刑事の甲賀は40歳の寂しい年の瀬を迎えていた。そこへ「奥さんを保護した」と警察からの連絡。この「妻」は甲賀が“偽装結婚”した中国人女性で、記憶を失っていた。彼女が何者か二人で調べていくと事態はとんでもない方向に。読み始めたら止まらないエンターテインメント。
隣国の急襲により、陥落したシェミハザ伯爵の城。伯爵の嗣子イオアンは、侍者ラウルとともに、襲爵の許可を得るために、貴種たちの上王が住まう都を目指していた。追ってくる刺客を元僧侶の騎士ハイドリヒたちの助けを借りながらかいくぐり、人間たちが信奉する教会の聖山に辿り着く。そこには、現在の上王の叔父で、大罪を犯したために追放されたイリヤがいた。彼は人々を魅了し、聖山に住む人々だけでなく、貴種たちをも操り、とんでもない騒動を引き起こそうと目論んでいた。貴種と呼ばれる吸血鬼たちが人間を支配する世界。その均衡が揺らぎ始めた!著者渾身の書下し冒険青春浪漫。
警視庁捜査一課の三田村功刑事は、お遍路旅行に出たまま行方不明になった叔父夫婦を捜すため、従妹の吉田あやかと四国に向かう。旅の途中、二人が乗った特急「しまんと1号」で男が毒殺され、足摺岬では叔父に容疑が掛かる転落死事件が発生する。冴え渡る十津川警部の推理は、絶体絶命の部下を救えるか!?巻末企画・特別連載「寝台特急トワイライトエクスプレスを爆破せよ」。スペシャル・インタビュー、都道府県別データ、わが故郷の駅弁自慢。
度胸と才覚を武器に、ちっぽけな太物問屋から、江戸有数の大店に成り上がった女の秘めた恋!江戸中の人々を驚かせ、女たちの注目を集め、新しい反物を流行らせた“人でなしのおけい”は仮の姿。遣り手、強面のかげに一途な純愛が…。号泣必至の一代記!