2015年12月発売
物書きの「私」は、ひきこもりの弟、古道具屋の父とともに佐渡への旅に出る。目的は、祖父母の隣家に住む「おばちゃん」の骨を、郷里の墓に納骨すること。ところが、骨壷をユニクロの袋に入れて運ぶくらい儀礼に構わぬ一族のこと、旅は最初から迷走気味で…。ちょっとズレた家族をしみじみ描いた快作。
<第12回本格ミステリ大賞受賞作!> 深夜、鉄骨を振るい人を襲う亡霊「鋼人七瀬」。それは単なる都市伝説か、本物の亡霊か? 怪異たちに知恵を与える巫女となった美少女、岩永琴子が立ち向かう。人の想像力が生んだ恐るべき妖怪を退治するため琴子が仕掛けたのは、虚構をもって虚構を制する荒業。琴子の空前絶後な推理は果たして成功するか? 終始ゾクゾクしっぱなし……息もつかせぬ物語とはまさにこのことだと思います。意外な展開、予想外な事実、桁外れな人物、奇妙な現実、異様な虚構、奇想天外な“戦い”--。絶妙に狙い澄まして放たれる数々の“驚き”の奔流に溺れそうになりました。 ー作家・平坂読(『僕は友達が少ない』) 「本格」の今後が有する可能性を大きく押しひろげた一作。(作家・氷川透) ただただ作者の才能に嫉妬するばかり。(作家・黒田研二) おおおお前を倒すのはこの俺だ!(作家・汀こるもの) 内奥に錨を下ろした論理、奇矯でありながらつらぬかれたロジック。破格のミステリ。(作家・辻真先) 辻褄の合った論理こそ、時には真実から最も遠ざかるものではないか。(書評家・千街晶之) 驚きを通り越して爽やかな敗北感さえ抱かされた。(作家・太田忠司) 「真相」の意味について刺激的な考察を展開。(作家・大山誠一郎) 「本格ミステリのロジック」の持つ魅力と危うさを純粋培養したような小説。(作家・光原百合) 〔コミカライズ版も人気沸騰中!〕
32歳、わくわく食品経理課勤務、独身。ごく普通のサラリーマン・修一が買った宝くじは、一等2億円の大当たり!急に現れた親戚、慈善団体に同級生。さらにネットに実名が流出。会社の電話が鳴りやまない!幸運が招いた大混乱、いったい誰を信じれば?ジャンボなドリーム、宝くじエンタテインメント!
アメリカ、ペルー、マレーシア、日本、香港、クロアチア…。世界のさまざまな場所から『存在しない小説』というウェブサイトに届いた小説は、それぞれ見知らぬ土地の風土が匂い立つような文体で、そこに生きる人々のドラマを鮮やかに描き出していく。「存在しない作家」たちによる、魅力あふれる世界文学。
長年連れ添った妻の誕生日の夜、平田周造は離婚届を突き付けられた。翌朝、犬の散歩に出ようとすれば、次男は結婚したい相手がいると言い出し、家に戻れば長女が亭主と別れたいと泣いている。二世帯住宅で開かれた家族会議は予想もしない展開に!? 「男はつらいよ」から20年、山田洋次監督の待望の喜劇を、「東京バンドワゴン」の小路幸也が小説化!
築四十年を超えた雑居ビルに探偵とも便利屋ともつかない事務所を構える枕木。依頼内容が「うまく言えない」と口ごもる客人と、その心を解すように言葉を継いでいく枕木の会話に、雷雨とともに戻ってきた郷子さんも加わって、時はゆるやかに流れる。別れた妻と息子の消息が知れない男の胸によぎる思いとは?
北斎の春画と詞書きを読み解く超解釈小説集 稀代の天才浮世絵師・葛飾北斎が描き、「春画展」の目玉作品のひとつでもある名作艶本「喜能会之故真通」(きのえのこまつ)の図とその背後に書かれた詞書(登場人物のセリフとト書き)に着想を得るとともに、その全てを活かしつつ書き下ろした「超解釈」小説&カラー図版集。「北斎の春画には、びっしりと文字が書き込まれている。だが、現代人がそれを解読するのは難しい。車浮代さんは、そのテキストを”超釈”して、江戸時代人の肉声をわれわれに伝えてくれる。」(山下裕二・明治学院大学教授)。「喜能会之故真通」上中下全巻の絢爛豪華なカラー図版を収録するとともに、北斎が絵に込めた意図を読み解く。第一話「若殿と奥女中の話」、第二話「搗屋の話」、第三話「炬燵にあたる夫婦の話」、第四話「若後家と養子息子の話」、第五話&第六話「蛸と海女の話」と厳選した五図を取り上げ、江戸時代の文化と肉声を解読するための作品。 <著者紹介> 車 浮代(くるま うきよ)時代小説家/江戸料理・文化研究家。浮世絵展の監修、江戸文化に関する講演、TVのレギュラーなども務める。3万部となったベストセラー小説『蔦重の教え』(飛鳥新社)、第2回書店金賞ノミネートの『江戸おかず12ヵ月レシピ』(講談社)がある。近著『春画入門』(文春新書)は2万部を越えた。
現役の住職でもある著者が紡ぐ傑作短編集。月刊誌『PHP』に掲載された作品の中から、感涙必至の珠玉の物語を抽出した。
18歳だったあなたへーー戦時下のパリ。ノーベル文学賞作家が紡いだ、100年読み継がれる「悲恋」の物語。1958年刊行の角川文庫版を復刻。第一次大戦下に執筆され、1920年に発表された「悲恋」の物語。パリに暮らす汚れを知らぬ若い男女の清純な恋愛が、醜く恐ろしい戦争の現実と、あざやかなコントラストをもって描かれます。私(渡辺浩章)は中学生の時にこの小説を角川文庫版で読み、不眠に陥るほどのショックを受けました。『翼』の岳志と里江子の恋にも通底する、傑作恋愛小説です。 ピエールとリュース 解説1 ロラン理解のためにーーヨーロッパの良心、ロマンロランーー 解説2 『ピエールとリュース』について あとがきーー新版のために 付録 『ピエールとリュース』復刻に際して
世にありとある怪談は、文芸作品であれ映像作品であれ、「事実」と「虚構」を両端に据えた、面妖なるグラデーションのいずれかに位置づけられるはずだ。 その領域を、事実と虚構のボーダーランドと呼ぶことも可能だろう。近年、主に映像分野で注目を集めてきた「フェイク・ドキュメンタリー」もしくは「モキュメンタリー」は、そうした怪談本来の特性をいわば逆手にとることで、日常を切り裂き、現実を震撼させようとしてやまない、いかがわしくも魅力的なジャンルである。おりしも、それら映像作家の営為に挑発されるかのごとく、小野不由美の『残穢』を筆頭に、『幽』で連載中の京極夏彦『虚談』や辻村深月の最新刊『きのうの影踏み』など、虚実皮膜のあわいに果敢に踏み込む文芸作品も相次いでいる。 怪談という表現の本質を、いま一度、見つめ直すために──『幽』次号は「リアルか、フェイクか」というテーマで、怪談表現の過去と現在を総展望いたします。 特集 ◆浅田次郎『神坐す山の物語』ほかをめぐって 浅田次郎氏インタビュー 東雅夫 御嶽山(みたけさん)イベントルポ ◆論考 近世/近代/現代 小二田誠二「フェイク・ドキュメンタリーのルーツとしての江戸実録本をめぐって」 千街晶之「『リング』から『残穢』に至る怪談実話史をめぐって」ほか ◆復刻 平山盧江 ◆特別寄稿 福澤徹三 ◆インタビュー 『残穢』『鬼談百景』監督:中村義洋 ◆座談 NHKドラマ『怪異TV』制作秘話 ◆エッセイ 道尾秀介/花房観音/長江俊和/黒史郎 ◆連載 綾辻行人、小野不由美、京極夏彦、有栖川有栖、初野晴、朱野帰子、高橋葉介、諸星大二郎、柴門ふみ、波津彬子、伊藤三巳華ほか ◆インタビュー 辻村深月『きのうの影踏み』、田中康弘『山怪』ほか
愛のうた、ひとついかがですかー文崎双葉(あやさきふたば)は普通の恋をしていた。相手は通学の途中、5分だけ一緒に過ごす男の子。だが、あるメールをきっかけに日常は一変する。『コンニチハ、☆のひと!きみたちにステキな“しゅうまつ”がおとずれますように』。
「見事に咲いた花ならば、心おきなく散り候らえーー」最愛の妹・響と決別した八郎。伊賀と甲賀を率いる若き棟梁達は、もう二度と相見えないはずだった。しかし、一度は退いたはずの異形の忍者集団・成尋衆が徳川二代将軍の死をきっかけに再び現世に現れた。動く城「叢雲」の五層に待ち受ける化物たちを斃し、この世に平穏を取り戻すため、甲賀五宝連と伊賀五花撰は死地へ挑む。 猿の王国 鳳輦車「叢雲」 桜花、集うべし 桜花、咲くべし 桜花、散るべし
TVアニメ化!!! 2023年7月よりフジテレビ「+Ultra」ほかにて放送予定! 輪堂鴉夜:黒沢ともよ 真打津軽:八代拓 馳井静句:小市眞琴 吸血鬼に人造人間、怪盗・人狼・切り裂き魔、そして名探偵。 異形が蠢く十九世紀末のヨーロッパで、人類親和派の吸血鬼が、銀の杭に貫かれ惨殺された……!? 解決のために呼ばれたのは、人が忌避する怪物事件専門の探偵・輪堂鴉夜と、奇妙な鳥籠を持つ男・真打津軽。彼らは残された手がかりや怪物故の特性から、推理を導き出す。 生首探偵・半人半鬼・メイドが体を取り戻すためヨーロッパを巡る 謎に満ちた悪夢のような笑劇(ファルス)……ここに開幕! 序章 鬼殺し 第一章 吸血鬼 第二章 人造人間
私立指輪学園で暗躍する美少年探偵団。正規メンバーは団長・双頭院学、副団長にして生徒会長・咲口長広、番長だが料理上手の袋井満、学園一の美脚を誇る足利飆太、美術の天才・指輪創作だ。縁あって彼らと行動を共にする瞳島眉美は、ある日とんでもない落とし物を拾ってしまう。それは探偵団をライバル校に誘う『謎』だった。美学とペテンが鎬を削る、美少年シリーズ第二作!
高校生の鹿乃は、蔵にある“いわくつき"の着物や帯の管理を亡き祖母から引き継いだ。ある日、祖母が懇意にしていた骨董店の店主から、祖母が祖父に宛てて書いた「恋文」の存在を知らされて!? 第3弾。
東京郊外、とある駅前にある「ツギハギ横丁」。戦後闇市の面影を残す一角に、バー「間」はひっそり佇んでいた。店主の波佐間とアルバイトの由比が営むその店には、毎週水曜午前一時に「特別な客」が訪れる。生者と死者が交差するこの店で、死者たちは伝えられなかった想いをグラスに紡ぐのだ。そんな日々の中、波佐間もまた伝えられない想いを胸に秘めていて…。
大学教授である父が研究にお金を費やすため、貧乏暮らしの大学生の由莉。ある日「時給二千円、飲食店でもないのにまかないつき」という求人を発見し、喜んで面接に。だが、その会社は様子がおかしくて…?
酔っ払いに絡まれる美貌の外国人・リチャード氏を助けた正義は、彼が宝石商だと知り、祖母の遺したピンクサファイアの鑑定を依頼。リチャード氏はそれを「盗品」と看破し!? 宝石にまつわる連作短編集。
夏、クラスメートの代わりにミステリーツアーに参加し、最悪の連続猟奇殺人を目の当たりにした『おれ』。最近、周囲で葬式が相次いでいる『僕』。-一見、接点のないように見える二人の少年の独白は、思いがけない点で結びつく…!!すべての始まりは、廃遊園地にただよう、幼女の霊の噂…?誰も想像しない驚愕のラストへ。二度読み必至、新感覚ミステリー!!