2015年12月発売
冬はどこまでも白い雪が降り積もり、重い灰白色の雲に覆われる町に暮らす高校生の小柚子と弥子。同級生たちの前では明るく振舞う陰で、二人はそれぞれが周囲には打ち明けられない家庭の事情を抱えていた。そんな折、小学生の頃に転校していった友人の京香が現れ、日常がより一層の閉塞感を帯びていく…。絶望的な日々を過ごす少女たちの心の闇を抉り出す第25回小説すばる新人賞受賞作。
目と耳が不自由な美女と、何の取り柄もない男の純愛を描く表題作。ただの筋肉バカとなってしまった元アメフト選手の兄を持てあます弟の苦悩(「兄弟船」)。過去に人身事故を起こして人生を狂わせた男がたどる不幸の連鎖(「悪口漫才」)。罵倒しあう老夫婦が経営する名物ラーメン店が陥る絶望と希望(「反吐が出るよなお前だけれど…」)他、底辺を這う人々の、救いのない日常を映し出す全10編を収録。
江戸の薬屋・時次郎の裏稼業は訴訟の指南役。彼のところには、次々と事件の相談が舞い込んでくるー。古手問屋の長蔵が取引先の妻女と一緒に殺されたが、不義密通の男女を殺しても無罪という法によって犯人の夫は放免された。納得できない長蔵の妻が訴えたいとやってきてー。(「不義密通法度の裏道」)、息子を呪い殺された母親の訴え(「呪い殺し冥土の人形」)など、全七編。痛快時代ミステリー!
瀬戸内の城下町“さぬき亀山市”。かつては大勢の客で賑わった亀山商店街だったが、今ではわずかに数店舗が開いているだけの寂しいシャッター通り。東京からドロップアウトして戻ってきた果物屋の一人娘、英里子はその光景を目にして商店街の復興を決意するがー。芸術家の道風、左遷中の銀行マンの田嶋ら、個性豊かな面々と力を合わせて地元のために奮闘する、アラフォー女性の町おこし小説。
河北を平定し、荊州をも手中に収めた曹操は、勢いに乗じて怒涛の南進を続ける。目指すは長江下流域の江東。その覇者、孫権に対し、曹操は降伏を迫った。しかし天才軍師諸葛亮の計らいで孫権・劉備連合軍が結成され、徹底抗戦の構えとなった。長江狭しと押し寄せる曹軍の大船団。水上戦を得意とする孫権軍の大都督周瑜は、必勝の策を胸に秘め、赤壁の江上にて乾坤一擲の決戦に挑むー。
頭に大怪我をしたエモリーが目覚めたのは、見知らぬ男の山小屋の中。悪天候に下山を阻まれた彼女は、名前すら教えてくれないこの男と数日を過ごすことになる。その間、エモリーが見つけた血液と頭髪のついた石や、静かな男の暴力的な一面。男は一体、何者なのか?何故、自分は怪我をしたのか?数日後、無事帰宅したエモリーのもとに、再び男が現れて…。どんでん返しの連続に息が抜けない、極上のサスペンス!
個人や社会の暗部に深く測鉛を下ろして、ときにはおぞましい真実をも明るみに出し、野心の挫折や運命の無情を好んで主題としながら、バルザックの小説はつねにポジティヴな生命感を失わず、人生へのあくなき好奇心と愛着をにじませています。そこに並はずれた創造者バルザック自身の精神の脈動を感じとらずにはいられません。…本書をひとつの入口として、読者がバルザックの築いた大伽藍の探検に乗り出されますよう!
ソフィーは最愛の息子と親友のため、貴族の愛人になろうと決めた。そんな彼女の前にキャラドン公爵、ケアリーが現れ、ソフィーは夢中になる。ハンサムで心優しいケアリーもまた、無垢で真摯な彼女に魅せられていく。だが彼にはあまりに深い心の傷があってなかなか心を開こうとしない。そんななか不可解な殺人事件が起こり、ケアリーに容疑がかけられた…全米を虜にしたヒストリカル大人気シリーズ待望の第二弾が登場ー!!
身に覚えのない不倫の罪を着せられて夫に離縁され、社交界を追われたタリア。愛人との逢瀬が絶えない“悪女”と噂されているが、実際は孤独にひっそりと暮らしていた。ある夜、タリアは久しぶりに出席したパーティで一人の若き貴族と出逢う。そのレオは最初は興味本位だったが、会うたびに彼女の内面に魅かれ、熱烈な求愛や贈り物でタリアのかたくなな心を解きほぐしていく。甘い月日を重ね、互いの離れがたい愛情を確信したレオは正式にプロポーズ。しかし彼女には、二度と結婚できない“理由”があって…!?
大勢の客でにぎわう観光地で、それは起こった。巨大な像が突如動き出し、空を見上げ、両手を大きく天へ掲げたのだ!だがこの奇怪な事件は、全世界を恐怖の底に叩きこむ異常事態の幕開けにすぎなかった。犬たちが飼い主を無残に食い殺し、鳥の大群が飛行機を襲撃、さらには世界中で天変地異が頻発する。文明の暴走が地球に異変をもたらしたのか?人類はなすすべもなく終焉をむかえてしまうのか?恐怖とパニックが急速に広がるなか、政府による恐るべき極秘計画が進行していた…!
政府の秘密基地に侵入したアリッサは、主任技術員のジャックと知り合い、基地で進められている恐怖の計画を知る。それを基地の保安責任者に見つかり、再び追われることに。HIRP計画の戦慄の実態とは何か、アリッサは世界に真実を知らせて巨大な陰謀を阻止できるのか?一方、研究基地はカルト教団「惑星刷新教団」によって乗っ取られてしまう。そして終末まで6時間、という恐怖のカウントダウンが始まるー。ベストセラー『神の起源』で世界を驚愕させた著者が放つ、新時代のアクション・スリラー。
ビル・ゲイツもガンジーもウォズニアックもみんな内向型人間だった!内向型の人は、喋るよりも他人の話を聞き、パーティで騒ぐよりも一人で読書をし、自分を誇示するよりも研究にいそしむことを好む人たちだ。社交的で自己主張が激しい外向型のイメージがあるアメリカ人だが、実際にはその三分の一が内気でシャイな内向型。本書は、内向型が直面する数々の問題を浮き彫りにするとともに、内向型の強みと魅力を明らかにする。
地方都市に暮らす宇田川静生は、他者への深入りを避け日々をやり過ごしてきた。だが、高校時代の後輩女子・蜂須賀との再会や、東京から移住した木工職人・鹿谷さんらとの交流を通し、かれは次第に考えを改めていく。そしてある日、決定的な事件が起きー。季節の移り変わりとともに揺れ動く内面。社会の本質に迫る。滋味豊かな長編小説。
自分に自信が持てず恋をしたことのない璃子は、女性を知り尽くした接客のプロ、ホテルマンの槇に、勇気を振り紋って恋愛の先生になってくれるように頼みこむ。基本のデート講習、婚活パーティでのテスト、そしてベッドの中で教えられたのは…。女の子ならだれもが夢見る、シンデレラ・ロマンス!
アメリカ中西部、ウィスコンシン州の片田舎にある一軒家ーごくふつうの農家にしか見えないその建物は、じつは銀河の星々を結ぶ中継ステーションだった。その農家で孤独に暮らす、元北軍兵士のイーノック・ウォレスは百年のあいだステーション管理人を務めてきたが、その存在を怪しむCIAが調査を開始していた…異星人たちが地球に来訪していると知っているただひとりの男の驚くべき日々を描く、ヒューゴー賞受賞作。
カドム、イサリらは、ラゴスの記憶を取り戻すべく、セレスの地表に横たわるというシェパード号をめざしていた。それは、メニー・メニー・シープ世界成立の歴史をたどる旅でもあった。しかし、かつてのセレス・シティの廃墟に到達した彼らを、倫理兵器たる人型機械の群れが襲う。いっぽう、新民主政府大統領のエランカは、スキットルら“恋人たち”の協力も得て、“救世群”への反転攻勢に転ずるがーシリーズ第9巻前篇。