2015年1月発売
国内外の危機に無為無策のジロンド派を排除すべく、全面攻勢をかけるロベスピエール率いるジャコバン派。エベールらパリの庶民もみたび蜂起し、国民公会ですべての勢力が激突する。(解説/末國善己)
時は飛鳥。他者の夢の意を読み解く力を持つ白妙は、皇女の夢を解くため京にやってくる。しかしその夢を解こうとするたびに、見知らぬ少女の心に呑み込まれてしまう。それは最高権力者である太上天皇、後の持統天皇の過去だった。彼女の心の奥へ奥へと入り込む中で、白妙は恐ろしい秘密へと近づいていく。強大な権力を手にし、愛する者を次々と葬った古代最強の女帝の真実に迫る歴史長編。
ネット上でのなりすましとカードの不正利用の被害に遭った肇。犯人探しの末に辿り着いたのは隣人の美女・安部響子だった。彼女に誘われ、ハッカー集団ラスクの一員として活動を始める肇。トラブルを放置する悪質企業を攻撃して謝罪と賠償を行わせる、世直しともいえる活動は世間の支持を集めるが、警察の捜査の手も迫り…。引きこもり美女と変わり者の青年が大金を狙う、スリリングな快作!
東京で小さな珈琲店を営んでいる女性・岬。自分だけを信じて生きてきたが、幼い頃に生き別れて行方不明の父を待つため、能登の海辺、父の残した舟小屋を改装した場所に店を移転する。さいはての海辺で出会ったのは、キャバクラ嬢でシングルマザーの絵里子と、その子どもたち・有沙と翔太。彼らと触れあううち、頑なだった岬の心に変化が…。永作博美、佐々木希出演映画をノベライズ。
1829年アイスランド。殺人罪で死刑宣告を受けたアグネスは、刑執行までの間を行政官ヨウンの農場で過ごすこととなった。ヨウンの家族は彼女を恐れ、またアグネスの魂を導く役を担う牧師補トウティも、心を閉ざした彼女に戸惑う。しかし不器用だが真摯な人々との生活の中でアグネスは、少しずつ身の上を語り出すのだった…。実在したアイスランド最後の女性死刑囚を描いた渾身の物語。
八〇年代のこの国に生を享けながら、豊かさとは無縁に、飢えて育った峰岸晄。感情を殺して生きる晄の、心の底に差す光は何なのか?全編を覆う「無温の世界」。身を震わせるラストの衝撃!胸を撃ち抜く傑作長編!
新宿署の通訳捜査官・七崎隆一は、正義感から義父の罪を告発したが自殺に追い込んでしまい、職場でも家庭でも居場所がない。歌舞伎町で殺人事件が起きた直後、息子の部屋で血まみれのジャンパーを発見した七崎は、息子が犯人である可能性に戦慄し、孤独な捜査を始めるがー家族を巡る贖罪の警察小説は、衝撃の結末を迎える。新乱歩賞作家、2作目の警察小説。
四国と淡路島の境目にある“恋路ヶ島サービスエリア”。ここの売り子になると、一年以内に恋人からプロポーズされるという伝説がある。そんな伝説をすこし信じている恋路ヶ島出身の理代子は、自宅アパートとバイト先を往復する平凡な日常を送っていた。ある夜、謎の新入り清掃士マキノの「静かな夜です。気をつけて」という一言から、理代子は騒動、いや“獣たち”に巻き込まれていく。アガサ・クリスティー賞作家が創り出した、ポップでちょっとシリアスな長編ミステリ。
高級品を扱う店を次々と買収するボス・藤浪と、その下で働く若者・古武士。二人はまず店に乗り込み、藤浪が帳簿を確認し、古武士が店で実際に働く。かつて贅沢だったイタリアンが変わった理由、オーダーメイドシャツ工房に隠れた女性職人たちの人間関係、倒産危機に瀕するアンティークウォッチ店の目利き店主の企み、一脚数十万の木製椅子のデザイナーと職人の絆ー職人との交流を持ち続ける著者がすべてを注ぎ書き下ろす、一流の人々の生き様。目から鱗の買収劇!
心を取り戻すために、約束を果たすために、逃げ出すために。忘れられないあの日のために。別れを受け止めるために。「死」に打ちのめされた彼女たちが秘密を抱えたまま辿りついた場所は、太平洋に浮かぶ島ー。喪失と再生。これは、人生の物語。
太平洋戦争末期、連合国が発表したポツダム宣言を前に、日本政府中枢は真っ二つに割れていた。受諾降伏か徹底抗戦か。そこに飛び交う謎の暗号名「カナザワ」。この暗号が解明された時、歴史を一変させる予想外の事態が。七十年前の戦争と現代を繋ぐ巨大な謀略に、十津川警部が単身挑む。新機軸の長編歴史トラベルミステリー。
女の妖怪が呼び起こす80年前の猟奇密室殺人。平成ひきこもり系女子にその謎が解けるか!? 帯留めを探して欲しいーー小説家の祖父が遺した手紙に従って遠野を訪れた私は、旧家の屋敷で起きた難事件の解決に乗り出す。旧字体を駆使した昭和怪奇譚的テイストとラノベ的文体を併せもった新鮮な表現力に、選考委員の伊坂幸太郎、貴志祐介、道尾秀介も脱帽。第一回新潮ミステリー大賞を受賞した、25歳の新鋭登場!
警視庁捜査4課在籍中、重山利行は、ある殺人事件の背後に大物政治家が関与していることを掴んだ。彼と共存共栄の「紳士協定」を結び、不動産業に転身した重山は、己の欲望の赴くままに凶行を重ね、セックスに明け暮れていく…。7名の男女を殺害した男の壮絶な生を、赤裸々な独白体で描いた問題作!
出張帰りの夫の目に飛び込んできたのは、縛られて首をかき切られた妻の死体。その状況は、かつてセバスチャンがつかまえた連続殺人犯ヒンデの手口に酷似していた。だが、ヒンデは服役中のはず。模倣犯の仕業なのか?ある動機で、ふたたび捜査チームに加わろうと企むセバスチャンは、渋るトルケルに売りこみをかけた。凄腕だが、自信過剰の迷惑男セバスチャンの捜査が始まる!
ヒンデの手口を模倣した三件の事件。だが四件目が起きるに至って、セバスチャンはあるとんでもない事実に気づいた。すべての被害者が過去に自分と関係を持っていたのだ。犯人の狙いは彼自身なのか?一方刑務所の新所長は、服役中のヒンデから進行中の連続殺人事件解決のヒントを得て手柄にしようと密かに企んでいた。スウェーデンで人気の脚本家コンビが放つ、シリーズ第二弾。
診療所の共同経営者を襲った不慮の死は、じつは計画殺人ではないかー市長ハケットからそう言われた医師ターナーは、二ヵ月前に起きた事故の状況を回想する。その夜、故人の妻エリザベスから、何者かに命を狙われていると打ち明けられたこともあり、ターナーは個人的に事件を洗い直そうと試みるが…。英国本格黄金期の妙味を現代に甦らせた技巧派、ディヴァイン初期の意欲作。