2015年1月発売
警視庁捜査第一課科学捜査係文書解読班ー仰々しい名前から掛け離れた「資料保管室」という別名を持つ部署に配属された、鳴海理沙と矢代朋彦。捜査資料の整理と分類に明け暮れる毎日だったが、理沙には、「文章心理学」を応用した文書解読員としての捜査が期待されていた。そして、杉並区で起きた殺人事件で初の出動命令が下った。現場で二人を待ち受けていたのは、右手が切断された遺体。被害者の身元が分かるものは無く、レシートに書かれたメモと不可解なアルファベットのカードが現場に残されていた。被害者の右手はなぜ切断されていたのか?そして、メモとカードは何を意味しているのか。やがて、文書から被害者に辿りついた理沙の閃きが、捜査に突破口をもたらす。
「あんたの親父、亡くなったぞ」卒業し、入社一ヶ月で会社を辞めた直後のことだ。連絡してきたのは、名乗りもしないぶっきらぼうな男。孤独死だったのか?霊安室で対面した父は、なぜか記憶とはまるで違う風貌をしていた。文哉は、疎遠になっていた父の足跡をたどりはじめる。新境地の感動作。
男たちの見果てぬ夢が、ふたつの国の運命を変える。キプロス島にユダヤ人の国を築く…。敗者の側から見たレパントの海戦。16世紀のヴェネツィア、コンスタンティノープルを舞台に、夢を追い続けた男たちの姿を描く歴史エンタテインメント巨編。
蒸気機関や遺伝学など科学技術の発展により大変貌した、もうひとつの19世紀ロンドン。蒸気馬車が疾走し改造生物がゆきかうこの街で、天才探検家バートンは王室直属の密偵として親友の詩人スウィンバーンとともに、帝都を騒がす人狼たちを追う。その彼をなぜか敵視する、虚空に現れては忽然と姿を消す怪人「バネ足ジャック」は、ロンドン変貌の原因とバートンの将来について何事か知っているらしく…伊藤計劃『ハーモニー』を抑えて2010年度P・K・ディック賞を受賞した快作スチームパンク!
急激な科学技術革命がもたらす社会変動に揺れ動くロンドンで、バートンをたびたび襲っては予言めいた言葉を残してゆくバネ足ジャック。歴史を大きく変えた21年前の重大暗殺事件と、彼の関わりとは?一方、人狼たちに誘拐されたスウィンバーンは絶体絶命の窮地に。そしてジャックや人狼たちの背後では、マッドサイエンティストたちによる恐るべき計画が進んでいた。ヴィクトリア朝英国の存在を根底から覆す彼らの陰謀に、バートンたちは大英帝国が誇る数々の新発明を駆使して立ち向かう!
“王国”周辺の海域を荒らし回る海賊連合“南十字星”の首魁アルバート・リスターが、海賊退治で勇名を馳せる海軍提督バロウズ卿を誘拐した。そこで海軍諜報部のマクミラン少佐は、剣の名手であるアラン・クリフォード大尉に“南十字星”の潜入を命じる。マクミランがアランの相棒として選んだのは、かつての名優で大酒飲みのダニエル・ソープ。底知れなさと適当さを併せ持つソープに振り回されながらも、アランは剣の腕と運を絡みに“南十字星”への接近を試みる。だが、彼を待ち受けていたのは、大海賊が遺した幻の財宝捜しと孤島で起きる連続殺人だった!スティーヴンスン『宝島』に胸を躍らせたすべての大人に贈る、愛すべき海洋冒険ミステリ。
1857年秋、看護婦のヘスターは新聞の広告に応じ、エディンバラの名家の女主人、メアリの旅行の付き添いを請け負った。メアリは心臓に持病を抱えており、薬の飲み忘れは命に関わる。ヘスターは指示通りに薬を飲ませたが、翌朝、彼女はこときれていた。殺人の罪を着せられ起訴されたヘスターの絞首刑を防ぐには、裁判で無実を証明するしかない。緊迫感に満ちた傑作法廷ミステリ!
ニューゲイト監獄に送られたヘスターの絞首刑を防ぐため、真犯人を突き止めようとファラリン家を調べるモンク。だが、手がかりは皆目つかめない。さらに頼みの綱である法廷弁護士ラスボーンは、スコットランドで裁判が開かれるため、ヘスターの弁護人として法廷に立つことができない。窮地に追い込まれたヘスターを救う手立ては?そして裁判を経て明らかになる事件の真相は?
せっかくの冬休みなのに、酉乃初と会えずに悶々と過ごす僕を、クラスメイトの織田さんはカラオケへと誘う。当日、急に泣きながら立ち去ってしまった彼女にいったい何があったの?学内では「赤ずきんは、狼に食べられた」と書き残して不登校となった少女を巡る謎が…。僕は酉乃に力を借りるべく『サンドリヨン』へと向かう。女子高生マジシャン・酉乃初の鮮やかな推理、第二集。
京都にあるD**大学文芸サークルの一員となった十沼京一は、元医院を改装した古い洋館「泥濘荘」で、仲間とともに気ままに暮らしていた。だが、ある日メンバーの一人が館の望楼で縊死体となって発見される。それをきっかけに、次々と死に見舞われるサークル員たち。犯人はメンバーの一員か、それとも…?本格ミステリファン必読、大幅改稿で贈る第1回鮎川哲也賞受賞作。
ラジオのパーソナリティの恭太郎は、冴えない容姿と“特殊”な声の持ち主。今夜も、いきつけのバー「if」で仲間たちと過ごすだけの毎日を、楽しくて面白おかしい話につくり変えてリスナーに届ける。恭太郎が「if」で不審な音を耳にしたある雨の日、びしょ濡れの美女が店に迷い込んできた。ひょんなことから彼女の企てた殺害計画に参加することになる彼らだがー。陽気な物語に隠された、優しい嘘。驚きと感動のラストが心ふるわすー。
離ればなれになった両親とかつて一緒に見たサーカス。忘れられないその不思議な世界の一員になることを目指して入団した少年の前に現れる、自由で個性の強い人々。クラウン、ピエロ、ブランコ乗り、ジャグラー、そして美味しいお菓子やスープを作ってくれるコック。少年は少しずつ綱渡りを学んでゆく。心躍る物語。
日本国債ついに暴落。運命の日は突如訪れたー。売国奴の陰謀が渦巻く中で、巨大銀行の存亡をかけた決戦の火蓋が切られる!敵は売国奴官僚+謎の外資ファンド。破綻寸前の巨大銀行に生き残る道はあるか?仕事とは何か?誰のために何と闘うのか?全サラリーマン必読の新世代経済小説!
ひとたび存在したものは、誰かの中で生きつづけるー。拍手もほとんどない中、「ソラシドです」と二人組が現れた。ギターを弾きながら歌う彼女と、ひたすら黙々とダブル・ベースを弾く彼女。二人とも男の子みたいな女の子だった。消えゆくものと、「冬の音楽」をめぐる長編小説ー。
イタリア半島最南端、赤い花の咲き乱れる丘に根を下ろして暮らすアルクーリ家の人々。ときに横暴な地主に、ファシズム政権に、悪質な開発業者に脅かされながらも、彼らは風の吹きすさぶ丘での暮らしを誇り高く守り続ける。その丘には、古代遺跡のロマンと一族の秘密が埋もれていたー。イタリアの権威ある文学賞、カンピエッロ賞受賞作
ステラの部屋に招かれざる客、ハリソンが押し入ってきた。彼女の愛するロバートが、敵国のスパイであることをほのめかし、黙っていてほしければ…とステラに関係を迫ってくる。ロバートがスパイなのかどうか、本人に聞けばわかるはず。でも、もし本当にスパイだとしたら、このままふたりの関係を続けていくのは難しい…。恋人どうしであっても詰め寄れない難問をかかえ、ステラは戦時下のロンドンを彷徨う。先行きのない人々の倦怠が、夕暮れに漂っている。この厄介な状況は戦争のせいなのか、それとも、この現実があってこそのふたりなのか。第二次大戦下のロンドンの実相を描き、ボウエンの哲学的ともいえる人間考察が、その深淵をみせる傑作長編。