2015年2月25日発売
東京の巨大ホテルの社長が堅牢な密室で刺殺された。捜査線上に浮かんだのは、事件の夜に刑事の平賀とベッドをともにしていた美しき社長秘書。状況証拠は秘書と事件の関係を示していたが、間もなく彼女も福岡で死体となって見つかった。なぜ彼女は社長殺しを計画し、東京から遠く離れた福岡で殺されたのか。愛した女性の真実を求め、平賀の執念の捜査が始まるー。鮮やかなアリバイ崩しが光る、江戸川乱歩賞受賞の傑作。文庫書き下ろし短編収録!
年の瀬も押し迫ったある日、オカルト研究会に奇妙な依頼が。絵画愛好会主催の、卒業生のための展示会。モナリザを題材にしたある絵に、クレームが殺到したという。それは、男子学生が婚約者をモデルに描いた絵。婚約者どころか片想いど真ん中の霊感系大学生・森司は、原因究明にかり出されるが…。片想いのヒロイン、こよみと迎える年明けと、やがて味わうハートブレイクの先に待つものは!?青春オカルトミステリ第7弾!!
平凡な郊外の町に、災いは舞い降りた。熱に浮かされ、痙攣を起こしながら倒れる住民が続出、日本脳炎と診断された。撲滅されたはずの伝染病がなぜ今頃蔓延するのか?保健センターの職員による感染防止と原因究明は、後手にまわる行政の対応や大学病院の圧力に難航。その間にもウイルスは住人の肉体と精神を蝕み続けー。20年も前から現代生活の脆さに警鐘を鳴らしていた戦慄のパンデミック・ミステリ!
大手石油会社・大和鉱油のエンジニア・田崎健治は画期的な排煙装置を開発したエリートだったが、労働組合結成の相談を受けたことが発覚して左遷。異動先の調査課で、なれない通産省通いを続ける身となる。社内での陰湿な扱い、家族的経営の下での矛盾を感じた田崎は、自分の信じる道を進もうとするのだが…。発表当時、話題騒然となった、企業小説の第一人者・高杉良のデビュー作、40年の時を経て大幅に加筆、改稿した決定版!
長年連れ添った妻・夏子を突然のバス事故で失った、人気作家の津村啓。悲しさを“演じる”ことしかできなかった津村は、同じ事故で母親を失った一家と出会い、はじめて夏子と向き合い始めるが…。突然家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか。人間の関係の幸福と不確かさを描いた感動の物語。
田中英光の作に出会い、人生が変わりゆく10代最後の日々。優れた小説が甦えらしめた少年の日の追憶。花冷えの夜道を歩いてひとときの幻影を追い、原稿用紙の束を前に呻吟するー平成の無頼派、筆色冴えわたる新境地!「私小説の救世主」の最新6短篇。
「将軍家の松姫様が日光へ代参される。事前に現地を探索せよ」という父・稲月三万五千石の藩主からの密命が、藩邸を夜逃げした若殿・千太郎君に届いた。許嫁の田安家ゆかりの由布姫、山之宿の弥市親分と若殿は、日光への道中で奇妙な男を助けたのだが、これが日光奉行所と宇都宮藩が絡む怪事件の幕開けだった。