2015年2月6日発売
いつかここに夫が現れるかもしれないー京都御所近くの「ビストロ青猫」で、辻村凪子は淡い期待を抱いて働く。新聞記者の夫は三年前から行方がわからなくなっていた。店を手伝う大学生の準平と貴船の溝口家にケータリングで訪れたその日。リビングには悪い噂もある女性呪術研究家の姿が。翌朝、彼女の死体が「鐵輪の井戸」近くで見つかった。井戸は貴船神社丑の刻参りの出発点として知られる“魔界”スポットだという。辻村凪子の周辺で連鎖する怪奇な事件、やがて浮かび上がる危険な思惑の数々。「髑髏本尊殺人事件」の謎に挑むスピリチュアル・ミステリ小説。
珠城学院高校の体育教師・桐野一寛(イッカン)は、「スクールセイバー」の一員でもあった。メンバーは、教頭の魚塚(ウオッカ)、国語教諭の範田、数学教諭の尾根、英語教諭のジョー・ラベリス、用務員で、もつ焼き「あらい」の店主・荒井二郎(あらじい)の六名。その任務とは、学校で起きた不祥事を表に出ないように上手く収めることだった。生徒の賭け麻雀や競馬、教師による体罰、果ては卒業式の爆破予告まで!生徒の将来と学内の平和をどう守るのか。そして、イッカンと小宮知子との仲はどこまで進展するのか。読めばもつ焼きが食べたくなる、シリーズ第二弾。
毎朝六時半のラジオ体操にはじまり、「いただきます」の声を合図にほかほかの朝食が食堂のテーブルに並ぶ。京都市左京区の学生寮で四年間なじんだ生活は、山根が大学院生になった春からもつづいている。ウマがあう生物学科の安藤や数学科の龍彦らと同様、工業化学科の山根もまた趣味と研究を偏愛しすぎる毎日で、当然、異性のことなんて頭の片隅にもなかったのだがー。葵祭や五山送り火、京都ならではの風物を背景に、不器用な理系男子のみずみずしい初恋のときめきを、あたたかく包みこむ純情恋愛長編小説。
三十五歳、ひとり暮らしの私は、契約社員として、顧客クレジットカード申し込み記載漏れリストを修正する職務に就き、淡々とした日々を過ごしていた。そんなある日、記載漏れリストのなかに、十数年来音信不通の姉の連絡先を見つけてしまう。姉の出奔は、学生時代、私が当時付き合っていた恋人を奪って逃げたことに端を発していた。しばらく躊躇した後、久しぶりに電話してみる。不思議な体温のやりとりが続き、じゃあ、会おうかという話になった。姉は、幼少期、母に対していい思い出は少なかった。年の暮れ。私は姉を連れて帰省することにするのだがー。
江國香織のみずみずしい日本語でよみがえる、心踊る“物語”の世界。脳みそのないかかし、心臓のないブリキのきこり、そして臆病なライオンの助けを借りて少女の冒険が始まる。植田真の繊細で美しい絵に彩られた名作、待望の文庫化!
元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、“昭和64年”に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。
記者クラブとの軋轢、ロクヨンをめぐる刑事部と警務部の全面戦争。その狭間でD県警が抱える爆弾を突き止めた三上は、長官視察の本当の目的を知り、己の真を問われる。そして視察前日、最大の危機に瀕したD県警をさらに揺るがす事件がー。驚愕、怒涛の展開、感涙の結末。ミステリベスト二冠、一気読み必至の究極の警察小説。
新シリーズ、ますます好調の第二弾! 研ぎ仕事中の小籐次を拝む人が続出。小籐次は困惑するが、その裏で糸を引く者がいるようだ。誰が、なんの目的で? シリーズ第二弾!
仕事はバリバリ、スタイルだって顔だって悪くないのに、なぜか恋愛がうまくいかない29歳の岡部智香。あだ名は、デートでいい雰囲気になっても最後までいけない“ヤリスン”。仲良しアラサー4人組で、理想の結婚を目指して合コンをくり返すのだが…。働く女性たちのリアルな泣き笑いを描く婚活エンタメ決定版!
芝神明宮のほど近く、「風待ち小路」には小さな店が集まっている。絵草紙屋の旦那は不甲斐ない息子に気をもみ、生薬屋の内儀は夫の女遊びに悩む日々だ。しかも近所に新しく商店街ができ、客足が遠のいている。そこで若い跡取り連中は、町のためにあることを企てるが…。直木賞候補にもなった、時代小説の逸品。
魏の曹操との決戦を前に、呉と同盟を組もとうする劉備軍団。しかし豪族連合の呉は、戦うか降るかでオジキ達の議論が紛糾、カシラの孫権もまとめられない。さらに呉の美しき軍指揮官・周瑜は、変態軍師・孔明に殺意を抱きー。こんなことで赤壁に勝利を刻むことができるのか?いまヤバイ酒見版「三国志」第参部!
時は元禄。京の呉服商「更紗屋」の一人娘・おりんは、将軍継嗣問題に巻き込まれ、親も店も失った。江戸へ出たおりんは、類稀な裁縫の腕を見込まれ、越後屋をはじめ大名家や旗本屋敷へ奉公に上がる。いつか店を再建するために…。人々とのかけがえのない出会いによって、美しく清らかに成長していく少女の物語。
幼い日の性の戯れ。老いの入り口で思いがけず燃え上がる身体。セックス以外のあらゆるやり方で睦み合う男女。少女たちの欲情は陰謀の的となり、権力を持つ男は女たちを解放する。役に立たない老いた男たちへの国家の制裁、父と息子の性の縁、犯された許婚者の復讐に燃える忍者。第一線の書き手による九つの性愛、九つの至福。
作家だった夫を亡くした痛手を抱えるリーシーは、ようやく遺品整理をはじめた。すると、夫が自分に遺したメッセージが見つかる。彼は何かを伝えようとしている。それは夫の創作の秘密、つらい時に彼が訪れた異世界“ブーヤ・ムーン”に関わるものだった…。人に降りかかる理不尽との戦いを巨匠が全力を注いで描く超大作。
花が咲き乱れる森“ブーヤ・ムーン”。その空に月がかかる時、世界は恐るべきものに一変する。まだら模様のものが這い回り、死者が佇む暗い森。そこへ赴こうとリーシーは決断する。夫が心に秘めてきた忌まわしい過去と直面し、彼を救うために。痛ましい宿命と、それに打ち克つ愛を描き、巨匠が自作のベストと断言する感動大作。
コーヒーの香りとショパンの調べが、私をあの頃へと戻してゆくー。店の常連千代子にとって、マスターの淹れるコーヒーはささやかな魔法。二十年前、夫との関係に一人悩み、傷ついた気持ちを救ってくれたのがこの店だった。心地よい苦味と懐かしい旋律が記憶を呼び戻し、不思議な出会いが訪れて…。下町にひっそり佇む純喫茶トルンカを舞台に三つの温かい交流を描く、感動の第二弾。
念願の仇討ちを果たし、無事江戸の地を踏んだ俊介一行は、周防三田尻湊から船で先に帰らせたおきみの家へ立ち寄ることに。が、母のおはまは、「戻っておりません」と言う。愕然とした俊介は、供につけた伝兵衛の身を確かめるため、急ぎ屋敷へと走るが、いまだ姿を見せておらず…。誰かの企みか、それとも海難か?病に臥す父幸貫の容態は?相惚れの良美との祝言を阻む困難はいかに?
開発途中の物質過去射出機“クロノス・ジョウンター”には重大な欠陥があった。出発した日時に戻れず、未来へ弾き跳ばされてしまうのだ。それを知りつつも、人々は様々な想いー事故で死んだ大好きな女性を救いたい、憎んでいた亡き母の真実の姿を知りたい、難病で亡くなった初恋の人を助けたいーを抱え、乗り込んでいく。だが、時の神は無慈悲な試練を人に与える
天国区のデイサービス施設で、宿直員の若者一名と利用者の老人二名の死体が発見された。三人とも、刃物でメッタ刺しという惨状。横浜市警第3分署の杉山と鳴海が捜査にあたることとなった。やがて被害者たちがそれぞれ抱える問題や家庭の事情が浮き彫りになる。彼らに共通する接点は?撹乱のための猟奇殺人と指摘する署員もあらわれ…。注目の警察小説、血に染まった第二弾!