2015年3月発売
丸の内の大手商社に勤めるやり手のキャリアウーマン・志村栄利子(30歳)。実家から早朝出勤をし、日々ハードな仕事に勤しむ彼女の密やかな楽しみは、同い年の人気主婦ブログ『おひょうのダメ奥さん日記』を読むこと。決して焦らない「おひょう」独特の価値観と切り口で記される文章に、栄利子は癒されるのだ。その「おひょう」こと丸尾翔子は、スーパーの店長の夫と二人で気ままに暮らしているが、実は家族を捨て出て行った母親と、実家で傲慢なほど「自分からは何もしない」でいる父親について深い屈託を抱えていた。 偶然にも近所に住んでいた栄利子と翔子はある日カフェで出会う。同性の友達がいないという共通のコンプレックスもあって、二人は急速に親しくなってゆく。ブロガーと愛読者……そこから理想の友人関係が始まるように互いに思えたが、翔子が数日間ブログの更新をしなかったことが原因で、二人の関係は思わぬ方向へ進んでゆく……。 第28回山本周五郎賞受賞作。
鷹狩り学校で働くオドワイヤー家の長男コナーは、森の中で悪の妖術師キャヴァンと遭遇し、襲われていた少年を助ける。その子どもこそ、コナーの先祖ソーカの息子エイモンが次元のはざまに落とされ現代に現れたものだった。一方、コナーの幼なじみミーラは、優しくてハンサムなコナーに対して淡い恋心を抱きながら、彼に心を動かされないよう自分を戒めてきた。しかしキャヴァンとの本格的な戦いが迫る中、ふたりは急速に男女の関係を意識するようになり…愛と魔術の三部作、待望の第二弾!
森のロッジ“リバーズ・エンド”で祖父母と暮らす十二歳のオリヴィアは、屋敷裏部屋で忌まわしい過去の記録を見つける。それは、映画スターの両親の記事だった。母を殺したのは、やはり父だったのか…その夏、事件の担当刑事だったブレイディ一家がコテージを訪れたとき、オリヴィアはすべてを理解し、永遠に自分の胸に封印する。やがて大学生になったオリヴィアのもとに、ブレイディの息子ノアが訪ねてくるが、あの初恋の少年は、ジャーナリストとして過去の殺人事件を調査していた…華麗なる愛憎のサスペンス・ドラマ!
ノンフィクション作家として売れ始めたノアは、八年ぶりに訪れた“リバーズ・エンド”で、さらに美しく成長したオリヴィアに再会する。しかし、かつての恋心が蘇ったふたりの間には、殺人犯の娘と取材者という冷たい溝が横たわっていた。平穏な生活を守るため、彼を拒みつづけるオリヴィアだったが…。そんな折り、母を殺した父親サム・タナーが、二十年の刑期を終えて釈放される。脳腫瘍で余命いくばくもないサムは、事件の真相を解くため、ノアに全面的な協力を申し出る…愛と陰謀が交錯する壮大なミステリー・ロマンス完結編!
ヨーロッパでレーサーとして活躍するキャメロンのもとに、養父レイが危篤との報が入る。メリーランド州の小さな町の病院で待っていたのは、同じくレイに育てられた義理の弟イーサンとフィリップ、そしてセスという見知らぬ十歳の少年だった。レイは死の床で三兄弟にセスを託し、世を去る。父との約束を果たすため、キャメロンはセスと暮し始めるが、苦手な家事に悪戦苦闘し、少年ともうまくいかない。そこに現れたのは、魅力的だが手強いソーシャルワーカー、アンナだった。真実の愛と絆を描く、感動の三部作第一弾!
人生もバクチも九勝六敗のやつが一番強いーー。そんなことを教えてくれた作家がいた。彼は途方もない屈託と優しさを抱えて生き抜いた。奇病、幻視、劣等感、孤絶、放蕩、芸能好き、人恋しさ、人嫌いーー無頼と称され、無比に優しい人とも呼ばれた作家が遺した、魂をさらけ出す私小説名品集。強靭で、懐の深い文章が紡ぎ出す、あざやかな人物造形と生々しい心象の数々。立川談志、嵐山光三郎との対談と、夫人へのインタビューを附す。全篇単行本初収録。
水を飲むように本を読む“私”は、編集者として時を重ね、「女生徒」の謎に出会う。太宰は、“ロココ料理”で、何を伝えようとしたのか?“円紫さん”の言葉に導かれて、“私”は創作の謎を探る旅に出るー。時を重ねた“私”に会える、待望のシリーズ最新作。
偉人たちの知られざる素顔。笑いと驚きに満ちた新しい歴史小説。華麗なる女性関係。泥沼の金銭トラブル。国々を股にかけての逃避行。思想家ヴォルテールとプロイセン王フリードリヒ二世の間には、恋にも似た熱い友情と、壮絶な駆け引きがあったーー。実在のできごとを丹念に追いながら、鋭い洞察と巧みな構成で偉人たちの姿を鮮やかに描き出す。ドイツのベテラン作家による、新しい歴史小説。