2015年3月発売
ときは一八五四年、徳川家定の時代。野笛藩一の美女・14歳の今井一期は、江戸城大奥に潜入し、野笛出身の座敷童子を連れ戻してくるよう命じられる。仲良しの御次“茜”、伊賀者同心の“唐次”、枕絵の妖怪“サダさん”、人が死ぬと泣く妖怪“泣きジジさま”、妙にイチゴになつく犬・猫・狆たち、そして厳しく恐ろしい御年寄の“嵐山”-。噂がとびかう大奥と秘密あふれる江戸の街を駆けまわり、イチゴが知った座敷童子の正体とは?
どこか不思議で、すこし謎めいていて、いつか読んだような心に温かみを覚える短編集。美しい毛並みの毛虫に心奪われてしまった少女の選択は?素敵な声のかえると行く砂漠の旅の果ては?森の中に棲む大女の家の暖炉の裏から聞こえる声は…?いけにえを捧げる村の風習に抗おうとした一家の行く末は…?物語が、物語を越えて再帰する、新たな「物語」を紡いだ一冊。
火事による一家の死、孤児としての過酷な少女時代、ようやく見つけた自分の居場所、長いあいだ想いつづけた相手との奇跡的な再会、そしてその結末…。すべてを知ったとき、少女モリーが老婦人ヴィヴィアンのために取った行動とはー。91歳の老婦人が、17歳の不良少女に語った、あまりにも数奇な人生の物語。全米一〇〇万部突破の大ベストセラー小説!
二日酔いで目覚めた朝、ベッドの横の床に何かがあった。…見覚えのない女の、死体。おれが殺すわけがない。知らない女だ。では誰が殺したのか?密室のマンションで、女とおれは二人きりだった…。雑誌『ダ・ウィンチ』から生まれた新しい小説の楽しみかた…小説×写真の世界。
法の奥深くへ分け入り、新米弁護士木村と先輩高塚のコンビが知る、四つの秘密。加害者も、被害者もー相談者たちは、一様に何かを隠している。実力派新人が放つ、鮮烈な読後感の表題作を含む連作リーガル・ミステリー!
目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。仰向けの胸には灰色の猫が座っていて、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と声を出すものだから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。戦争が終わったんだ」猫は摩訶不思議な物語を語り始めるーこれは猫と戦争、そして世界の秘密についてのおはなし。
雪のクリスマスイブ。母親が失踪し家を追い出された茜音は、天使のような少女の導きによって古い洋館アパート「かなりや荘」に招き入れられる。そこには心の片隅にさびしい廃園を抱えた人々と、道半ばにして亡くなった天才漫画家の幽霊・玲司がひっそりと暮らしていて…。古アパートを舞台に、歌を忘れたかなりや達が繰り広げる、優しく力強い回復と救済の物語。
明治末期、ハリー彗星騒動に沸く横浜。役者の寅太郎、画家の谷、浪漫研究家の有坂は定職にもつかず周囲を呆れさせる「堕落者」。首を突っ込んだハリー彗星撃退依頼をきっかけに、横浜に蠢く陰謀に巻き込まれ!?
19世紀末・英国。ロンドン郊外の静かな町で貸本屋《千夜一夜》を営む サラとアルフレッド兄妹。とある事情から侯爵家の生まれという身分を隠して暮らしているふたりだったが、店にはとっておきの一冊を求めて 今日もたくさんの客がやってくる。そんなある日「探してほしい本がある」という貴族の兄弟が店をおとずれて…。ヴィクトリアン文学ミステ リ!!
「人はなぜ生まれ、死んでいくのでしょうか」青年は深い悩みを抱えてわたしの前に現れた。一瞬、わたしは息をのみ、思わずあの子の名前を口走りそうになったー。親友の死に直面することで生きる意味を見失った学生と、ある哀しみを胸に秘めた先生。ふたりの濃やかな交流を通して描く、喪失と再生の物語。夏目漱石永遠の名作をモチーフに、自らを重ねて書き上げたベストセラー、待望の文庫化。
特殊能力を持つ4人の若者。大物政治家にその力を利用され、戦いながらも、自由になるチャンスを狙っていた。同様の力がある「アゲハ」が接近してきて、彼らの運命はさらに過酷なものに。映画化!
田舎の弱小バレーボール部に、東京の強豪校出身のワケあり選手がやってきた。全国を目指す熱い日々が始まるが…。迷い、傷つき、立ち上がる等身大の青春スポーツ小説。2ヶ月連続刊行、第1弾。
明治の半ば、一枚のカツレツに出会った福井県の少年。上京し、裸一貫で西洋料理の世界に飛び込んでいくーー。日露戦争以降の東京で、激動の時代と共に、力強く成長していく篤蔵の物語。TVドラマ化。
寸暇を惜しみ、熱心に修行を続ける篤蔵は華族会館、上野の精養軒で働き、ついに西洋料理の本場、パリへ。大正、昭和の時代、宮内庁主厨長まで登りつめた男の生きざまを描く感動長編。(解説/吉村千彰)
革命政府の力は徳であり、かつまた恐怖なのだとして、恐怖政治を推し進めるロベスピエール率いるジャコバン派。対するエベール派は、恐怖政治の中核たる公安委員会を倒そうと蜂起を試みるが…。(解説/細谷正充)
神奈川県警、港みらい署の若手女性刑事・菱川海月。気が短く、すぐ手が出てしまう彼女の相棒になったハンサムで優秀な後輩刑事は、まさかのドMで!? 横浜を舞台に、SMコンビの捜査ファイル第2弾。
40年前の100万ドル強奪事件。当時犯行グループの一人だった老人のもとを記者の女性が訪れた。静かな余生も最早これまでか?他方、失恋で傷心中の青年イヴァンは、TVで元恋人が“元カレから届いたラブレター”を面白おかしく曝すのを見てショックを受ける。手紙を奪回すべく、彼女の実家へ赴くが…。因果の連鎖が波紋のように広がる群像劇、その陰に潜む人物とは?フランス推理小説界新星の話題作。