2015年6月発売
最先端のイラストレーターを目指す乾純は、京都から上京し、念願の美大に入学した。その意気込みとは裏腹に、入学式の日は寝坊するし、学校生活にも馴染めない。ところが、一人の風変わりな同級生との出会いから、退屈知らずのロックな日々が始まった!初めてだらけの体験に、悩みつつ弾ける十代の僕。読めば愛おしさがこみ上げる、みうらじゅんの自伝的青春小説。
明治十七年、伊藤博文邸の新入り書生となった杉山潤之助の手記を、小説家の「私」は偶然手に入れた。そこに書かれていたのは、邸を襲った、恐るべき密室殺人事件の顛末だった。奇妙な住人たちに、伊藤公のスキャンダル。不穏な邸の空気に戸惑いつつも、潤之助は相部屋の書生・月輪龍太郎とともに推理を繰り広げる。堂々たる本格ミステリの傑作、シリーズ第一弾!
かつて学生運動に身を投じ、いまはキャリア警察官として埼玉中央署に勤務する二条実房。ある日、二条のもとを元同志であり現役の非合法活動家である我妻雄人が訪れ、自分の恋人である活動家の佐々木和歌子を電車内で殺害したと自首する。だが、我妻は動機を一切語ろうとしない。親友として、和歌子のかつての恋人として、なによりも真相のため二条は我妻と対峙する!
神戸の住宅街に住む古畑夫妻と娘の香が、生きたまま焼かれるという猟奇的殺人事件が起こった。香の夫で勤務医の雅貴にはアリバイがあり、香の不倫相手の水嶋周平が参考人として調べられる。自らの無実を明かすため真相を探り始めた周平は、やがて古畑が阪神淡路大震災前に地上げに加担していたという秘密の過去にたどり着く。残忍な事件に隠された驚愕の真相とは!?
アルスラーンが即位して三年。十八歳の若き国王の下、パルスの国情は安定し、着実に国力を盛り返しつつあった。だが、奴隷制度を廃止した「解放王」に対して、特権を失った旧名門貴族たちの間には遺恨が拡がっていた。さらに、ミスルやチュルクなどの隣国も、パルスへの野心をむき出しにし始める。さらなる波乱を予感させる、大ヒットシリーズ第二部が堂々開幕!
直参の谷地友次郎が何者かに殺された。柚木源九郎が調べをすすめると、その裏側に有力札差と棄捐令に関わる大きな闇がー。幕府による二万両の貸し下げがあった。この莫大な金子を、結城屋三津五郎が差配していたという。源九郎は、結城屋と懇意にしている侠客の辰五郎を訪ねるが…。男の器量の真っ向対決!般若同心は真相を探り出せるか!?シリーズ新章開幕。
奴隷商人に売られた忍びの市勘と里々。二人の行き先はマカオだった。ポルトガル人の下で働かされる市勘だが、彼の戦闘力に目をつけたピエトロという男が交換条件を突きつける。それは、さらわれて日本に売られた南蛮人の娘八人を連れ戻せば自由にするというものだった。里々のため日本に戻った市勘が敵に回すのは強大な織田信長軍団。時代冒険譚、圧倒の完結編!
遊び人の鎌吉が辻斬りに殺された事件が、角野忠兵衛のもとに回ってきた。妹のお仙から、兄を逆恨みする女がいると訴えられ、忠兵衛は八王子宿を訪れる。だが、事件の鍵を握る千人同心の妻・和枝は、自分の子供が鎌吉のせいで川で溺れて死んだという。二つの事件を繋ぐ糸はどこに!?(表題作)人情の探索で“くらがり”から真相を見つけ出す、精選シリーズ第四弾!
“日本人の心の故郷”を描き続けた長谷川伸が主宰した小説勉強会「新鷹会」は村上元三、山岡荘八、山手樹一郎、池波正太郎など多くの人気作家を輩出し、今に続く。その一人でもある平岩弓枝の監修による本書は新鷹会作家による十篇を収録。町人から侍、浪人、渡世人まで、江戸の町に自分の居場所を求め、懸命に生きる人々の痛切な心情が胸に響く、傑作時代小説集!
江戸府内で若い娘が次々に姿を消した。将軍の毒味役、御膳奉行の矢背蔵人介にそう教えてくれたのは勘定奉行の遠山左衛門尉景元だった。そして、蔵人介までが姿を消す。蔵人介が連れていかれたのは、娘たちが囚われている場所。そこには「地獄」が待っていた。はたして蔵人介は脱出できるのか。著者渾身の剣戟シーン満載!人気沸騰中の鬼役シリーズ、驚愕の第十五弾。
都心に広大な敷地を誇る代々木公園。3月の最終日曜日、まだどこにも咲いていないはずの桜が舞う今日、公園にいる人間を標的とした、ある伝説が現実のものとなるー。ロカビリーグループ、高校演劇部、殺陣役者、ネットアイドルオタク、お笑いコンビ、イケメン俳優など、何の繋がりもなさそうな人間たちの事情が巧妙に絡まりあい、思いも寄らぬ化学反応を引き起こす。その果てに、伝説の主人公となるのは一体誰なのか?リアルな現実を照射するなかに、人間の愚かさや愛おしさを浮かびあがらせた群像劇。
広島カープの守護神寺谷和章は、順調にセーブを重ね、首位争いを演じるチームの勝利に貢献していた。そんな中、オールスター出場を果たし観客を沸かせた和章だったが、天使“もさん”にエンジェルボールの秘密を打ち明けられ愕然とする。一方、宿命のライバル早野薫もまた、自らを孤独に追い込もうとしていた…魔球の秘密を追う新聞記者伊勢谷仁美の存在、“悪魔のバット”早野が背負う壮絶な過去、そして、ペナントレースの行方は!?胸に迫る想いと熱狂が織り成す長編小説。
球は魂ー。広島カープの絶対的守護神寺谷和章に残されたエンジェルボールはたったの三球。自分の命と引き換えに悪魔と契約した孤高のスラッガー早野薫。日本シリーズ第七戦、土壇場九回裏、遂に二人の運命が交錯する。“愛するものすべてを幸せに”不器用なまでに純粋に、熱き想いを胸にマウンドに立つ男、寺谷和章の願いは叶うのかー!?手に汗握る興奮と熱狂。家族を愛し野球を愛した男の選択と生き様が心を揺さぶる、感動の長編エンターテインメント小説、ここに完結!
ホテル多仲屋の三代目オーナー岸部幸太郎の悩みの種は、ライバルホテルの攻勢による経営難と、裏に建つラブホテル勃ち王の老朽化だ。売却を考える幸太郎の前にファンドの美人コンサルタント内田美紀が現れる。フロント係、ベルマン、宿泊客の童貞人気作家や妖艶女優、市役所職員などが入り乱れて、ふたつのホテルで巻き起こる珍妙で淫気たっぷりな一日を描く、書き下ろし長編艶笑エロス。
都内で起きた強盗事件と窃盗事件。警視庁捜査3課で盗犯捜査ひと筋の萩尾秀一は、ふたつの事件には繋がりがあるとして、部下の武田秋穂とともに捜査を始める。捜査1課との軋轢や駆け引きの中で、ベテランの萩尾は何を見て、若い秋穂は何を考えるのか。「継続」と「ひらめき」が融合した円熟の警察小説、待望の文庫化。連続テレビドラマ原作。
ついに屋敷を出て、外孫・桃子と母親の珠子が住む「かわうそ長屋」へ引っ越してしまった元目付の愛坂桃太郎。何かと世話を焼く桃太郎に、母娘も次第に打ち解けてくる。そんな折、南町奉行の筒井和泉守が桃太郎の長屋に顔を出す。日本橋の薬屋の主人が殺された事件にからみ、大きな悪事が進行しているようなのだ。話題沸騰の新シリーズ第二弾!書き下ろし長編時代小説。
眠り猫の勘兵衛が起居する根岸の黒猫庵に、千住の女郎屋金子屋から足抜けした若い娘おさきが迷い込んだ。取手の百姓の娘だというおさきを匿った勘兵衛は、借金の形に江戸に連れてこられた経緯を探ろうと、船頭の丈吉を取手に走らせる。一方、千住に向かった勘兵衛は、金子屋の主の伝次郎と女衒の富造の悪い評判を耳にし…、人気書き下ろし時代小説、シリーズ第五弾。
両国広小路の見世物小屋に赴いた三日日左門は、小屋で下働きをしている浪人弥彦源内と知り合う。佇まいに惹かれるものを感じた左門は飲みに誘うが、その途上で弥彦を狙う侍の集団の襲撃を受ける。襲撃をやり過ごし、弥彦を匿うことにした左門だったが、この一件が、蓮助を当主に据えた青砥家をも巻き込む騒動に発展していくのだった。稀代の無頼漢、三日日左門の活躍を描く、渾身のシリーズ第二弾!!