2015年6月発売
万次郎は共に救助された仲間全員のハワイから日本への船賃を稼ぐために、ひとり、アメリカの捕鯨船ジョン・ハウランド号の乗組員となった。英語を覚え、南氷洋の凍える寒さを経て、船上の先輩らと信頼関係を築いた万次郎は、海の男として成長し、アメリカ大陸の土を踏む。著者入魂の歴史大河小説、白熱の第3弾。
リーマンショック直前、鷲津政彦はアメリカ経済を長年牽引した超巨大企業、アメリカ・ドリーム社の奪取を目論んでいた。その行く手に立ちはだかる敵は、圧倒的財力を持つ「市場の守り神」サミュエル・ストラスバーグ。食うか食われるか、日米の国境を越えた死闘が幕を開ける!「ハゲタカ」シリーズ第四弾。
ストラスバーグにアメリカン・ドリーム社買収の妨害工作を仕掛けられた鷲津政彦は、アメリカに宣戦布告する。AD社破綻のXデーに向けてウォール街が混乱する中、ワシントンDCがついに動き始めた。強欲の坩堝に身を置き、闘い続ける鷲津。その胸に秘められた衝撃の戦略とは。「ハゲタカ」シリーズ第四弾。
再び平安時代に飛ばされた天童純は、鬼の少女・水葉らと再会。一方、貴族は、鬼神たちを封じ込めるため、三種の神器の一つ、純の持つ草薙剣を奪おうと画策、さらには禁断の作戦を実行しようとする。「鬼」と「人」との激しい戦いの中、大事な仲間を失った純は、自分の命よりも大切なものがあると気づくのだが。
幼子を預けたまま、妻が蒸発した。行方を探す弁護士の夫も姿を消し、後日、他殺体で発見された。女性警部補・ジェマは、遺児シャーロットの面倒を見つつ、婚約者のキンケイド警視と共に、惨劇の真相に迫る。ロンドンを舞台に解きほぐされる、奇怪な人間模様。情と血が導いた「事件」と「結婚」の意外な結末。
昭和の初め、日本の精神医学界を黎明期からリードしてきた養父院長が作り上げた愛宕市の葦沢病院。その数ある病棟のなかでもとりわけ厳重な隔離室には不思議な患者がいた。新米医師の使降醫は、博覧強記の天才・面鏡真澄とともに謎の患者の正体を探るが…。現実と非現実が錯綜する精神医学ミステリー。
使降が担当する元漁師の老鼠忠介は、クジラとの壮絶な格闘の果てに仲間内で語り継がれてきた「幽霊烏賊」と遭遇した。そして入院後も付きまとうその幻影を封じ込めてくれたのは「先生」と呼ばれた患者だという。理性を超越した患者たちの奇妙な振る舞いが意味するものは?『脳男』の著者、渾身の衝撃作。
頻発する江戸の怪異に決死の覚悟で立ち向かう半四郎に最大の危機が訪れる。将来を嘱望された孫を半四郎に再起不能の身とされた大婆。家は没落し大婆の怨みが爆発する。日本を覆い始めた妖異が大婆に入り込み炎の化身となった。火の玉は半四郎の故郷を焼き払い、半四郎を標的に江戸へ向かう。
和平のため奔走する首相・東条英機だが、ルーズベルト大統領は対日戦争の肚を固めていた。真の日本の苦悩を見抜いた山本五十六は、連合艦隊司令長官就任の祝宴で「天命を待つのみでは祖国の安泰は期しがたい」といってのけた。海軍報道班員として従軍した著者による、太平洋戦争全史を描いた唯一の大河小説。太平洋戦争年表、参考作戦地図入り。
日本の運命は三人の軍司令官に託された。マレー強行作戦陣頭指揮の山下奉文中将、比島の本間雅晴中将、蘭印の今村均中将。緒戦の勝利を踏まえ東条英機首相は、占領地域を固める方針だったが、山本五十六連合艦隊司令長官は猛反対。大戦の本質をとらえたうえで、完全なる勝利を目指してミッドウェーに出撃する。太平洋戦争年表、参考作戦地図入り。
活路をニューギニアに求めて大軍を上陸させた日本軍だが、米軍の反撃は圧倒的な物量とともに予想をはるかに上回る速さだった。増援の一兵も送れず炎熱と飢餓のなかで軍は壊滅。ビルマではインパール作戦の火蓋が切られたが、思わぬ作戦齟齬の罠が待ちかまえていた。鬼神をも哭かしむる壮烈な戦いが続く。太平洋戦争年表、参考作戦地図入り。
旗本復帰を誘う罠、外様小藩組の嫌がらせ…若すぎる留守居役数馬の前に、難題は次々と降りかかる。加賀潰しを公言する新権力者堀田正俊は、琴の実家で加賀藩の筆頭家老本多家の事情に目をつける。敵対する老中堀田と藩主綱紀、一度きりの秘密巨頭会談に、数馬は意外な場所を提案するが!?
「襲撃犯を抹殺する。それだけだ」台北にいた傭兵・藤堂浩志を突如襲った弾丸は、傍にいた恋人美香に命中した。復讐を誓った浩志は、台湾全土に張り巡らされた包囲網を掻い潜り、敵へと迫る。一方、CIAの依頼で台湾に潜入し、ある人物を捜していた情報調査室分析官片倉啓吾も罠にかかり、窮地にー。二つの事件を結ぶ鍵とは!?決死の男たちが台湾の闇を疾走する!
真珠の養殖で知られる志摩半島の英虞湾。風光明媚なその海に、男の他殺体が浮かんだ。被害者は自らの刑務所体験を書きベストセラー作家となった袴田啓二郎。所轄の鳥羽署は、かつての黒い交友が関係すると見て捜査を開始。一方、美少女海女取材で当地を訪れていた浅見光彦も事件を知り、調査を始める。だが、その矢先に第二の殺人が発生。事件は混迷を深めていくが…。
紅葉美しい東福寺を取材で訪れた茶屋次郎。だが同行していた地元出版社の美人編集者原口奈波が突如姿を消した。彼女の行方を追うと、兄の壮亮と彼の恋人だった石津紀世も数年前に失踪していることが判明する。その矢先、紀世の妹真海の絞殺死体が鴨川に浮かんだ。三人の失踪との関わりは?先斗町、鞍馬寺、果ては天橋立と、縦横無尽に探る茶屋の前に現れる古都の闇とはー。
アメリカの名門大学卒にして、外資系銀行秘書のハセガワノブコ(32歳・独身)。華麗なる帰国子女の正体は、筋金入りのオタクだった!週末は録りだめたアニメ鑑賞や、オタ友とイベントに繰り出すのが至福の時間。セレブのホームパーティーもイケメン外国人も、恋愛も結婚も眼中になし!なのに、最近公私ともにトラブル&バトルが…今こそ真のオタク魂が試される!?
貧乏長屋のお初と兄の太吉。両親は、騙されて浅草の小間物屋を失い、失意のうちに亡くなった。「必ず店を買い戻そう」と固く誓う太吉が、二十両の有り金をはたいて名品“井戸の茶碗”を入手。だがそれは、真っ赤な贋物だった。弱り果てた兄妹に声をかけたのは、隣に住む赤目勘兵衛。高値で売ってやるという、酒びたりの浪人にどんな策が!?新世代の人情時代小説!
“算盤侍”唐木市兵衛は、公儀十人目付筆頭片岡信正の依頼で、下総葛飾を目指していた。信正の配下返弥陀ノ介は親友市兵衛の出立に際し、伝言を託す。葛飾近くの貸元に匿われている女宛だった。道中、市兵衛は貸元が人徳者だったが三月前に暗殺されたと知る。跡目を継いだのは美人の三姉妹で、市兵衛はその手下を偶然助けたことから、縄張り争いに巻き込まれ…。
慶長十年(一六〇五)、江戸には幕府が開かれ、仕官先を探す浪人が溢れた時代であった。そんな世に忽然と現われた宮本武蔵は、武芸者として名を上げるべく京のの名門道場の主だった吉岡憲法に挑戦状を叩きつける。時同じく、美作宮本村の武蔵は同姓同名の男の噂を聞き、己が腕を恃みに京へと向かう…激しい剣戟描写に加え、既存の武蔵像を大胆に覆した剣豪小説の極北。