2015年6月発売
戦が終わり、生き残ったのは王弟マナウィダンら七人のみであった。兄妹を失い行くあてもないマナウィダンに、ダヴェドの若き大公プラデリは一緒に故郷に来ないかと誘う。寡婦となった母フリアノンの話し相手になってほしいというのだ。マナウィダンはかつてダヴェドを訪れた際に彼女に会い、強く心惹かれていた。傷心の英雄を待つ運命やいかに。神話ファンタジーの金字塔シリーズ。
まだ女性どうしの愛が「口にだせなかった」十九世紀末から二十世紀前半。切なさ、絶望、驚き、そして喜びー女性あるいは男女両方のパートナーを持った女性作家たちが描く、深くて複雑な女どうしの物語十七編。小説を読む幸せが詰まった珠玉のアンソロジー。
十三歳で遊女となるべく売られた少女。“緋桜”と名付けられ、身を置いた世界は苦痛悲哀余りある生き地獄だった。戦前、戦中、戦後、三つの時代の謎の身投げの真相は“幽女”の仕業か、何者かの為せる業か。謎と怪異に満ちる地方の遊郭を舞台に、ミステリランキングを席巻した“刀城言耶”シリーズ第六長編、文庫降臨。
世界最強の警護官集団「シークレットサービス」での研修のため渡米したSP首藤は初日、フォトジャーナリストの美和子と出会う。国際テロ組織が大統領暗殺を予告し緊張が走るなか、美和子が誘拐される。首藤は相棒バーンと共に警護を完遂し、彼女を助け出すことができるのか。圧巻のボディガードミステリ。
「子どもを、返してほしいんです」親子三人で穏やかに暮らす栗原家に、ある朝かかってきた一本の電話。電話口の女が口にした「片倉ひかり」は、だが、確かに息子の産みの母の名だった…。子を産めなかった者、子を手放さなければならなかった者、両者の葛藤と人生を丹念に描いた、感動長篇。
純喫茶「昭和堂」の店主・霧子は、美人なのに、ちょっとぐうたらな不思議系。でも、裏の「癒し屋」稼業では、依頼人のどんな悩みも奇想天外な手法で一発解消させる敏腕だ。ところが、そんな霧子にも悲しい過去がー。ある日、彼女宛てに届いた殺人予告。それをきっかけに、霧子は過去と向き合う勇気と未来への希望を取り戻していく。感動エンタメ。
スカーレットはチャールズの遺児と共にアトランタへ。寡婦として銃後を支える生活に辟易し、南部の“大義”に共感できず鬱屈する彼女に、封鎖破りで富を手にしたレット・バトラーが接近。開戦から二年、ゲティスバーグの戦いの後に届いたのは…。
裸で飛び立つモスクワの夜。アパートではじまる悪魔の大舞踏会。マルガリータの愛に、ユダヤ総督の二千年の苦悩に許しは訪れるのか?「原稿は燃えないものなのです」-忘却の灰から蘇り続ける、ブルガーコフ(一八九一ー一九四〇)の遺作にして最高傑作。
「君のような雑誌社は片っぱしからぶっ潰すぞ」-。日米開戦前夜から戦後の日本国憲法施行に至るまでを時代背景に、出版社・新評論社社長の葦沢悠平とその家族の苦難を中心に描いた社会小説の名作。上巻では、四一年九月第三次近衛内閣崩壊直前から横浜事件を核に、一連の言論弾圧とそれに振り回される人々の受難を活写する。
職場の親睦会を兼ねたバーベキュー。娘の菜月が溺れるのを見て、とっさに川に飛び込んだ豊永の腕の中にいたのは、娘ではなく別の女の子だった。「お父さんは菜月をたすけてくれなかったもん」その日から、血のつながりのない娘は口をきいてくれなくなり、七歳上の妻との関係もぎくしゃくし始めてしまい…期待の新鋭が描く、新しい家族と愛の形。
コンビ名「メリーランド」として南部芸能事務所の舞台に立つ新城と溝口。しかし目の前の壁は高く、ライバルは多く、未来はまったく見えてこない。「オレたちはつづけていけるんだろうか」誰もが悩み、日々苦しんでいる。そんな芸人を見つめる「家族」たち。そこには確かに愛と笑いがある。南部芸能シリーズ、暴風警報の第3弾!
世界恐慌の発生で、失業率が25%に達したイギリス。「いずれ時が解決する」といった古い考えにとらわれ続ける古典派経済学に失望した気鋭の経済学者ケインズは、進歩した社会の問題を解決できるまったく新しい経済理論を生み出す難事業に、たった一人で挑む!経済学の常識を覆し、世界経済のかたちを一気に変えた名作をマンガ化。
戦時中、高知県から親に連れられて満洲にやってきた珠子。言葉も通じない場所での新しい生活に馴染んでいく中、彼女は朝鮮人の美子と、恵まれた家庭で育った茉莉と出会う。お互いが何人なのかも知らなかった幼い三人は、あることをきっかけに友情で結ばれる。しかし終戦が訪れ、運命は三人を引きはなす。戦後の日本と中国で、三人は別々の人生を歩むことになった。戦時中の満洲で出会った、三人の物語。
親代わりのホイットフィールド船長の励ましと万次郎の頑張りで、晴れて、航海術の専門学校であるバートレット・アカデミーに合格した。万次郎は、首席で卒業することを誓う。
トウェインの技の凄さが詰まった一冊!アメリカ人のユーモアを愛する心に応える幻の名著(「ストームフィールド船長の天国訪問」)の全訳と、とっておきのユーモア短編(初訳)で編む!
紅道(共産党)と黒道(マフィア)による支配。不正蓄財・権力闘争・格差拡大…。国内統治のための「反日有理」。暗躍する各国諜報機関。新聞社特派員が直面した現代中国での危険な体験。日本、中国、ぶきみな時代におくる本格社会派書き下ろし小説!
スコットランドの女学校を卒業したばかりの名もなき小国の王女マーセデスは、皇太子である父が用意した馬車でロンドンへ向かう道中、何者かに襲撃された。従者や親戚を失い、命からがら森を逃げのびて村はずれの宿屋にたどりついたものの、全身ずぶ濡れで汚れきった彼女が本物の王女だとはだれも信じてくれない。ただひとり、ヨーロッパ戦線の武勇で名を馳せたダニエル・マキノン少佐を除いてはー。護衛を引け受けたダニエルとふたりきりの旅が始まるが、再び襲撃者の魔の手が迫り…!?
若くして江戸の裏社会に身を投じて15年、裏の世界で大物になった飄六は、札差だった父を殺された仇を討つため札差簑島屋の店付き護衛・蔵闇師として実家に戻った。父の遺した“穴穿き小判”を手がかりに探索を続ける飄六だったが、簑島屋に多額の借金をしている旗本から蔵替の申し込みが相次いだ。不審に感じた飄六は、調査を開始するが…。立ちふさがる難敵の急所を、飄六の秘剣“竜”が貫く!