2015年7月24日発売
ぼくと神永、三上、長田はいつも一緒だ。ぼくがまさしに左目を潰されたら、みんなは仕返しにゲーセンに向かい、中学の教師や先輩からの挑発には暴力で反抗する。そんなある晩、神永はヤクザ者の親父をカッとなって殺してしまった…。にがさと痛みのなかで鮮烈に輝く少年たちの群像。
阿蘇山に旅客機が墜落、大山知彦は唯一人生還、他の乗客乗員は消失した。消えた婚約者苫辺千穂を捜し始めた知彦は、熊本で挨拶に訪れる予定だった彼女の実家で父親尊利に会う。千里眼を持つ彼が語る苫辺家の秘密と阿蘇を護る一族の存在。彼らの縁者も事故で消えたという。直後、一族の祭祀場“基”で異変が続発、やがて怪現象が阿蘇を覆い始めた…。未曾有の変事の行方は?
東京月島の便利屋倉持のもとに、北アルプスの名峰槍ヶ岳に登れるようにしてほしいという初老の依頼人山田が訪れた。ずぶの素人が必死の体力トレーニングを続ける真の目的とは?丹沢、奥多摩と試登を続ける二人に謎の尾行者が迫り、“槍”挑戦への行程を早めた直後、山田が消えた!一度は山を捨てた倉持の、誇りと再生を賭けた闘いの行方は!?山岳サスペンスの傑作!
大阪・新世界のどん詰まりに店を構える「ラーメン味よし」。放蕩親父ゲンコの作るラーメンはえらく不味くて閑古鳥が鳴いている。しっかり者の一人娘センコは頭を抱える日々だ。最近、ぼんやりしているおばあやんも気にかかる。そんなある日、幼馴染の質屋の息子カメヤが東京から帰って来て…。下町商店街に息づく、鬱陶しいけどあったかい、とびっきりの浪速の人情物語。
ネットワークを介したあらゆるテロに対処するため、防衛省に設置された“サイバー防衛隊”。天才ハッカーや米セキュリティ企業出身者も参加する、官民の精鋭を集めた組織だ。悪辣ロシア人ハッカーを内偵の最中、突如、日本全国の工場が原因不明の稼働率低下に見舞われた。真相解明を急ぐが通信網も障害多発でー民間人が引き鉄を引く現代の戦争を描くサスペンス!
易者として何千人もの顔相を観てきた隠密同心鬼堂民斎には、最近、大いに気になる男がいた。男は往来にただ立っているのである。それも十日も。誰かを待っているらしいが、誰を待っているのか本人も知らないらしい。立派な悪党面で近くの店は気味悪がるばかりだ。そんなある日、大店が賊に襲われー(待ち人来たるか)。浮世の珍妙は心の妙薬。抱腹と感涙の第三弾!
“開帳”とは、寺院が特定の日に秘仏を一般の人々に参拝させる事を云う。そして、開帳を催す興行師を“開帳師”と呼んだ。その開帳師・宝船の長兵衛から真光院御開帳の万揉め事始末役を任された素浪人・矢吹平八郎。金の匂いを嗅ぎ付け押し寄せる地廻りや貧乏御家人を次々と退ける一方で、莫大な“お布施”を狙う者の影が…。悪を許さぬ男気の剣。傑作人情時代小説。
北町奉行所の凄腕筆頭同心・蔵間源之助は故あって「居眠り番」と揶揄される閑職に左遷された。同心の矜持を保つべく始めた「影御用」だが、町中の打物屋に雨宿りした折、火盗改の頭から内密の探索を依頼された。八日間に三人もの火盗改密偵が謎の死を遂げたが、その真相を探ってほしいというのである。そして…。「往生堀」という無法地帯が浮かんできた。
慶応二年(一八六六)三月。江戸城最奥の御用部屋は、張りつめた空気に支配されていた。その緊張と静寂は、老中首座の水野忠清の“ネズミ共め”という怒りの声によって破られた。“水戸天狗党の生き残りで参謀役の神尾新之介が、爆裂弾を用い、箱館の町と五稜郭を焼き亡ぼすため蝦夷地へ潜入した”という報告を、南北両町奉行から受けたからであったが…
55歳で希望退職した義和は、月一回ハローワークに行くために電車に乗っていた。満員電車の中、ふと気づくと女性の胸のふくらみの感触が。この日、痴漢の味を覚え、性的欲求を久々に甦らせた彼はどんどんと大胆な行動を始めるが、ある日目の前に立ったのは会社のかつての部下だった…。絶頂行き書下し官能エンターテインメント!
大手航空会社から、子会社のピンキー航空に出向することになったCAの美里。膝上15センチのミニにブラウスは第二ボタンまで外すーという制服に身を包み、CAの卑猥なサービスで売上げを伸ばしていくが、乗客の要求もどんどんエスカレートしていき…。「第二回団鬼六賞」ファイナリストの元CAによる衝撃の官能、待望の新作登場!
ハンセン病の影が兆した時、少女はヤマトの青年と出逢った。南島の言葉、歌、自然を自在にとりいれ描く、美しく惨酷な海辺の生と死。日本文学史上稀有の小説がヤポネシアから甦る。『死の棘』のモデルとなった著者が遺した衝撃の未完長篇。