2015年8月発売
こんな私に親切にしてくれてありがとうーー四十八歳になったキョウコは、まだ「れんげ荘」に住んでいた。相変わらず貯金生活者で、月々十万円の生活費で暮らしている。普段は散歩に読書に刺繍、そして時々住人のクマガイさんらとおしゃべりーーそんな中、「れんげ荘」にスタイル抜群の若い女性がリヤカーを引いてやってきた!悩みも色々あるけれど、おだやかに流れる時を愛おしみながら、ささやかな幸せを大切に生きる、ロングセラー「れんげ荘」待望の第二弾。
武勇にすぐれ、戦では天才的な巧妙さを発揮した立花宗茂。戦国乱世には、武勇を誇る英雄豪傑ならば幾人も出たが、そのなかにあって彼をひときわ際立たせたのは、その心術の高朗さにあった。極めて清潔にすぎる宗茂の人柄を見事に描きだした「立花宗茂」をはじめ、素材を九州にとった全十一篇を収録する至極の短篇集。
昭和28年、西暦1953年の夏。三方を海に包まれた美しい港町で、船乗りを夢見る若者が老いた提督に出会った。かつて神と呼ばれた、戦艦「大和」の艦長、森下信衞だった。ある日、元GHQの大学教授が、面談を求めてきた。人道に対する罪について、証言を取りたいという。誇りを胸に、森下の最後の戦いが始まる。巨艦とともに戦い続けた提督の生涯を描く海軍闘将伝。
文化を愛する実業家にして、「無私」の男 昭和13年、青年実業家の瀬田修司は横濱に降り立った。関東大震災から復興した横濱は、ジャズが流れモガ・モボが闊歩する華やかな文化あふれる国際都市。折しも日中戦争が始まり、軍需景気にあやかりたい瀬田は、横濱一の大富豪である原三渓からの出資を得ようと、三渓について調べ始める。 実業家としての三渓は、富岡製糸場のオーナーであり「生糸王」の異名を持っていた。その一方で、関東大震災では私財をなげうって被災者たちの救済にあたった。また、稀代の数寄者としても名を馳せ、茶の湯に通じ、「西の桂離宮、東の三渓園」と言われる名園を築いた文化人。前田青邨や小林古径など、日本画家たちの育成を支援……と、いくら調べても交渉材料となるような醜聞の一つも見つからず、瀬田は苛立つ。 やがて「電力王」として知られる実業家、松永安左ヱ門に会った瀬田は、松永の仲介で三渓に会うことが叶う。 三渓園の茶室を訪れた瀬田は、そこで原三渓と出会ったことで、少しずつ考え方を変えていく。 実は少年時代、瀬田にとっては忘れえぬある記憶があった……。
大人気シリーズ、ますます快調の第3弾! 夫婦の披露目をし新しい暮らしを始めた小籐次。一家揃って身延山久遠寺への代参を引き受けるが何者かが一行を付け狙う。好調第3弾! 第1章 出直し小籐次 第2章 親子水入らず 第3章 万八楼ふたたび 第4章 おさいの故郷 第5章 身延のしだれ桜
NHKドラマ化、韓国映画化決定! 仕事と結婚に失敗した荒井尚人。いまの恋人にも半ば心を閉ざしているが、やがて唯一の技能を活かして手話通訳士になる。 あるろう者の法廷通訳を引き受け、過去の事件に対峙することに。現在と過去、二つの事件の謎が交錯をはじめ……。 マイノリティの静かな叫びが胸を打つ、感動の社会派ミステリー。シリーズ通して読み継がれるロングセラーです。 〈第6回 全国高校ビブリオバトル グランドチャンプ本〉 ※NHKドラマ化決定! 草ナギ剛さんが荒井尚人を演じます。2023年12月16日(土)、23日(土) よる10時放送予定。(総合・BSP4K) ※韓国映画化決定! 映画『無垢なる証人』、ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のム・ジウォン脚本カ、長篇映画監督デビュー作。2024年クランクイン予定。
恋に仕事に疲れている人に読んでほしい江戸人情時代小説 勘当され行方知れずとなっていた兄・紀兵衛と再会したおりん。喜びもつかの間、紀兵衛が染師毒殺事件の犯人として捕縛されてしまう。
ある新人賞に驚異的な小説が応募されたことから物語は始まる。書評家の私は、旧知の編集者から頼まれて、連絡のとれない作者・風森大樹を捜すことに。だが、本籍地の青森で調査しても、その行方は杳として知れない。風森には超能力があったと、小学校の同級生の政夫は驚くべき話をした。その後、調査を手伝った政夫が突然、死亡。これはただ事ではないー次々襲い来る緊急事態に、ページを繰る手が止まらない傑作サスペンス!
風森の一族は人知を超えた能力を隠し、ひっそりと暮らしてきた。その力を奪取しようと目論む組織と風森との間で、激しい戦闘が勃発する。金絡みのゴタゴタでヤクザ・輝田組も参戦。私と地元の若者・広司、組織から寝返ったという謎の美女・名美の三人は風森と行動をともにし、危地からの脱出を目指す。すると恐るべき名美の能力が明らかになりー。そして物語は胸を熱くする壮麗フィナーレへ。あなたは衝撃シーンの目撃者となる!
吹雪のススキノで、道北の小さな町の町長が銃撃された。暗殺か、怨恨か、はたまた痴情の縺れか…。合同捜査本部に加わった南支署の刑事たちは地道な捜査を進めるが、やがて見えてきたのは、身内である警察すら取り込まれた巨大な利権の構造だった。そして、事態を悪化させる更なる事件がー。北の繁華街ススキノの片隅で、ちっぽけな署の刑事たちの反撃が始まる。
大海原を航海中のメガヨットでくつろぐ6人の男女。カードゲームに興じる者、カクテルを傾ける者、航海を優雅に過ごす彼らに共通することは2つ。ひとつは大人気漫画の愛好者であるということ。そして、もうひとつは、今夜、“一線を超えた”ことー。成功を掴んだはずの6人に巻き起こる、血みどろのサスペンス劇!
チャイルドが支配する世界を目指す宗教団体「リボーン」により、壊滅的な状態になった北海道。リボーンの幹部である高校生の氷室香鈴は、命令を自由に操れる機械ナノクイーンを使い、宮内雅人に挑戦状を突きつける。“恋人がいる者はその相手を殺せ”-追い詰められた雅人と、恋人の春野美咲は…大人気サバイバルホラー、最新刊!
京都の寺町三条商店街の骨董品店『蔵』でアルバイトを始めた、女子高生の真城葵。店主の孫・家頭清貴は、物腰は柔らかいが恐ろしく勘が鋭い、ちょっと“いけずな”京男子。ある日、一見の客が『蔵』を訪れ、清貴は骨董の茶碗の鑑定を頼まれる。それが贋作だとあっさり見抜いた清貴だったが、後日、清貴と葵の前に円生と名乗る若い僧侶が現れる。円生は、稀代の贋作師だったー大ヒットキャラミスの第二弾!
古稀を間近に控え、いまだ衰えぬ女性への執着を示す不動産会社社長の悦楽の情交と、とある思惑を描く「女体遊び」。不注意から起こしてしまったトラブルを解決してもらうことを条件に、知人の禁断の道楽に付き合うことになる「人魚の戯れ」など、第一線の人気作家による書き下ろし官能アンソロジー。
婚活連続殺人事件で死刑判決を受けた「さくら」という名の醜女と、その周辺取材を始めた42歳の女流官能作家。さくらはなぜ男たちに「女神」と崇められ、求められたのか?その男たちを殺めた真相はー。女の嫉妬と渇望を描く名手、作家・花房観音の入魂作!
【第61回江戸川乱歩賞受賞作】問題。悪い人は誰でしょう?--ビデオジャーナリストの伏見が住む鳴川市で、連続イタズラ事件が発生。現場には『生物の時間を始めます』『体育の時間を始めます』といったメッセージが置かれていた。そして、地元の名家出身の陶芸家が死亡する。そこにも、『道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?』という落書きが。イタズラ事件と陶芸家の殺人が同一犯という疑いが深まる。同じ頃、休業していた伏見のもとに仕事の依頼がある。かつて鳴川市で起きた殺人事件のドキュメンタリー映画のカメラを任せたいという。十三年前、小学校の講堂で行われた教育界の重鎮・正木の講演の最中、教え子だった青年が客席から立ち上がり、小学生を含む300人の前で正木を刺殺。動機も背景も完全に黙秘したまま裁判で無期懲役となった。青年は判決に至る過程で一言、『これは道徳の問題なのです』とだけ語っていた。証言者の撮影を続けるうちに、過去と現在の事件との奇妙なリンクに絡め取られていくが、「ジャーナリズム」と「モラル」の狭間で、伏見はそれぞれの事件の真相に迫っていく。
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。第3回配本、第17巻「私がふたり」は、もう一人の私と敵または味方として対面する、不思議な物語15編を収録。 ●編集委員 逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏 東野圭吾「分身」の雑誌掲載時のタイトルは「ドッペルゲンガー症候群」であった。 ならばドッペルゲンガー小説をずらりと並べればいいのだろうが、それでは、読む側がつらいではないですか。 さいわい天啓の如く、船戸与一委員の怪作中編が浮上した。いや、降りてきた。 この作品は、「ドッペルゲンガー」ではないが、みごとに「私がふたり」なのである。 ネタバレなんて言わないで欲しい。30年も前に書かれた作品なのだから。 [収録作] 【長編】 東野圭吾「分身」 【短編】 船戸与一「メビウスの時の刻」 山田風太郎「万人坑」 三島由紀夫「花火」 阿刀田高「甲虫の遁走曲」 小池真理子「足」 夢枕獏「山奥の奇妙なやつ」 乙一「カザリとヨーコ」 【掌編】 稲垣足穂「自分によく似た人」 星新一「常識」 筒井康隆「環状線」 都筑道夫「空港ロビー」 赤川次郎「不良品、交換します!」 原田宗典「デジャヴの村」 高橋克彦「電話」