2015年発売
アッシュはイタリア系の富豪で大家族の御曹司だった。職業は画家。彼はライラに絵のモデルになって欲しいと語る。彼女の自由奔放な眼を自らの絵筆で表現したいと言うのだ。次第に親密度を増してゆくふたりの関係。一方殺害された男女は、冷血な女殺し屋の手にかかったことが判明する。ふたりの身辺を徘徊し始める女殺し屋。そしてアッシュの親類が殺害されるにおよんで事件は新たな相貌を呈することになる…。ページを繰るにつれて緊張感がたかまるロバーツの傑作ロマンティック・サスペンス!
上木らいちは様々な客と援交している高校生で、名探偵でもある。殺人現場に残された12枚の遺体のカラーコピー、密室内で腕を切断され殺された教祖、隣人のストーカーによる盲点をつく手口ー数々の難事件を自由奔放に解決するらいち。その驚くべき秘密が明かされる時、本格ミステリはまた新たな扉を開く!さらに過激で、さらに斬新な傑作誕生!!「奇才」による待望のメフィスト賞受賞第1作!
溝端さんと会わなくなってから、人肌の温度を深く味わう機会はほとんどなかった。準君の気配を感じようとすると、高校生の頃初めてできた彼氏の穏やかな声を思い出した。痣があるはずの腕の温もりを思うと、大学時代に随分長いこと付き合った、一つ年上の先輩の部屋の匂いを思い出した。付き合いそうで付き合わず、何となく疎遠になった男の人たちの肌の記憶が、私の中で蘇る。けれどこの部屋には誰もいない。卓上ライトの光が青白さを孕んでゆくように思い、私は無性に寂しくなったー。第27回小説すばる新人賞受賞作。
17年前の誘拐殺人事件で容疑者有罪の決め手となった証拠は偽造されていた。捜査を指揮した刑事ヴィスティングは責任を問われて停職処分を受ける。自分の知らないところで何が行なわれたのか?そして真犯人は誰なのか?世間から白眼視されるなか、新聞記者の娘リーネに助けられながら、ヴィスティングはひとり真相を追う。しかしそのとき、新たな事件が起きていた…。北欧ミステリの最高峰「ガラスの鍵」賞をはじめ、マルティン・ベック賞、ゴールデン・リボルバー賞の三冠に輝いたノルウェーの傑作警察小説。
高嵐のさなか、アレスカルの名将ダリナルは、やがて人類を襲う恐るべき死の嵐がやってくることを幻視した。同時に何者かに「団結せよ!」と告げられた彼は、パルシェンディとの戦いを終わらせ、嵐の襲来に備えるべく、奔走する。一方、破砕平原で味方の軍勢を通すために敵の矢面に立って谷間に橋を渡すブリッジ隊の隊長となったカラディンは、あるときハイプリンス・サデアスの逆鱗に触れ、罰として高嵐が襲来する夜に宿舎の外に吊るされる。恐るべき嵐に半死半生になりながらも、カラディンもまた人類に死をもたらす嵐の到来を幻視したのだ!傑作ファンタジイ巨篇、待望の第2弾、登場。
中東で起こった戦争をきっかけに世界各地で核爆弾が爆発。避難したシェルターの中でひとり生き残った少年は(表題作)。卒園6年後に行われた幼稚園の同窓会で、だんだん全員が思い出しはじめた死んだあの子のこと(「約束」)。30年前に書かれた鮮烈な短編10篇がよみがえる。
柔道が大好きな小学4年生のまどかと、プロのミュージシャンを目指す高校生2年生の由一は、仲のよい家庭で暮らす兄妹。だが、ある電話がかかってきたことで、2人の知らない秘密があることに気づきー人気作家2人が兄妹の視点で交互に描く、ハートウォーミングストーリー。
みつば郵便局の配達員・平本秋宏は、ある日、配達先のマンションで不思議な女の子と出会う。不登校の少女とのやりとりが温かい「シバザキミゾレ」、転校した教え子との約束を描いた「先生が待つ手紙」など4話を収録。季節を駆けぬける郵便屋さんがはこぶ、小さな奇蹟の物語、第2弾!
五年前に失意の美星を救ったのは、いまは亡き大叔母が仕掛けた小さな“謎”だったー。京都にひっそりとたたずむ珈琲店“タレーラン”の庭に植えられたレモンの樹の秘密を描いた「純喫茶タレーランの庭で」をはじめ、五つの事件と書き下ろしショート・ショートを特別収録したミステリー短編集。
いつかここに夫が現れるかもしれないー京都御所近くの「ビストロ青猫」で、辻村凪子は淡い期待を抱いて働く。新聞記者の夫は三年前から行方がわからなくなっていた。店を手伝う大学生の準平と貴船の溝口家にケータリングで訪れたその日。リビングには悪い噂もある女性呪術研究家の姿が。翌朝、彼女の死体が「鐵輪の井戸」近くで見つかった。井戸は貴船神社丑の刻参りの出発点として知られる“魔界”スポットだという。辻村凪子の周辺で連鎖する怪奇な事件、やがて浮かび上がる危険な思惑の数々。「髑髏本尊殺人事件」の謎に挑むスピリチュアル・ミステリ小説。
珠城学院高校の体育教師・桐野一寛(イッカン)は、「スクールセイバー」の一員でもあった。メンバーは、教頭の魚塚(ウオッカ)、国語教諭の範田、数学教諭の尾根、英語教諭のジョー・ラベリス、用務員で、もつ焼き「あらい」の店主・荒井二郎(あらじい)の六名。その任務とは、学校で起きた不祥事を表に出ないように上手く収めることだった。生徒の賭け麻雀や競馬、教師による体罰、果ては卒業式の爆破予告まで!生徒の将来と学内の平和をどう守るのか。そして、イッカンと小宮知子との仲はどこまで進展するのか。読めばもつ焼きが食べたくなる、シリーズ第二弾。
毎朝六時半のラジオ体操にはじまり、「いただきます」の声を合図にほかほかの朝食が食堂のテーブルに並ぶ。京都市左京区の学生寮で四年間なじんだ生活は、山根が大学院生になった春からもつづいている。ウマがあう生物学科の安藤や数学科の龍彦らと同様、工業化学科の山根もまた趣味と研究を偏愛しすぎる毎日で、当然、異性のことなんて頭の片隅にもなかったのだがー。葵祭や五山送り火、京都ならではの風物を背景に、不器用な理系男子のみずみずしい初恋のときめきを、あたたかく包みこむ純情恋愛長編小説。
三十五歳、ひとり暮らしの私は、契約社員として、顧客クレジットカード申し込み記載漏れリストを修正する職務に就き、淡々とした日々を過ごしていた。そんなある日、記載漏れリストのなかに、十数年来音信不通の姉の連絡先を見つけてしまう。姉の出奔は、学生時代、私が当時付き合っていた恋人を奪って逃げたことに端を発していた。しばらく躊躇した後、久しぶりに電話してみる。不思議な体温のやりとりが続き、じゃあ、会おうかという話になった。姉は、幼少期、母に対していい思い出は少なかった。年の暮れ。私は姉を連れて帰省することにするのだがー。
江國香織のみずみずしい日本語でよみがえる、心踊る“物語”の世界。脳みそのないかかし、心臓のないブリキのきこり、そして臆病なライオンの助けを借りて少女の冒険が始まる。植田真の繊細で美しい絵に彩られた名作、待望の文庫化!
元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、“昭和64年”に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。
記者クラブとの軋轢、ロクヨンをめぐる刑事部と警務部の全面戦争。その狭間でD県警が抱える爆弾を突き止めた三上は、長官視察の本当の目的を知り、己の真を問われる。そして視察前日、最大の危機に瀕したD県警をさらに揺るがす事件がー。驚愕、怒涛の展開、感涙の結末。ミステリベスト二冠、一気読み必至の究極の警察小説。
近ごろ、小籐次が研ぎ仕事をしていると、その姿に手を合わせ念仏を唱え柏手を打つ者、さらには賽銭を投げる者が続出する。周囲は面白がるが、小籐次は店仕舞いを余儀なくされた。一方おりょうの芽柳派では、門弟の間で諍いが起き、おりょうを悩ませる。ふたつの騒動は、誰が、何の目的で企てたものなのか。シリーズ第2弾!
仕事はバリバリ、スタイルだって顔だって悪くないのに、なぜか恋愛がうまくいかない29歳の岡部智香。あだ名は、デートでいい雰囲気になっても最後までいけない“ヤリスン”。仲良しアラサー4人組で、理想の結婚を目指して合コンをくり返すのだが…。働く女性たちのリアルな泣き笑いを描く婚活エンタメ決定版!
芝神明宮のほど近く、「風待ち小路」には小さな店が集まっている。絵草紙屋の旦那は不甲斐ない息子に気をもみ、生薬屋の内儀は夫の女遊びに悩む日々だ。しかも近所に新しく商店街ができ、客足が遠のいている。そこで若い跡取り連中は、町のためにあることを企てるが…。直木賞候補にもなった、時代小説の逸品。