2015年発売
大手製薬会社・向山製薬の研究員、三浦陽介の死体が自宅で発見された。警察は当初、事件性も疑って捜査した。なぜなら、「研究所の人間が人体実験をしている」と告発する怪文書が研究所内で発見されていたからだ。だが、1ヵ月経っても三浦と怪文書は結び付かず、アレルギー発作によるショック死と断定、事件性はないと判断された。その2週間後、経済学捜査員・伏見真守が向山製薬を訪れた。伏見は警察の見解を覆すように、三浦の死に他殺の可能性があることを示唆した。そして、三浦が所属していた「希少疾病第二部門」の研究員に向かって、全員を容疑者として扱うと宣言したのだった……。
親友を頼り、東京から小豆島へやってきた内向的な30代イケメン・秋彦。島のホテルで仕事を始めるが、恋も結婚も諦めたアラフォー女性・言問子と、家庭から逃げ出したいアラサー主婦・真奈美の間で、彼を巡りイザコザ発生。さらに東京育ちの美少女の出現で波瀾万丈の予感!?平穏に生活していた島の人々を巻き込んで、島へ逃げるしかなかった秋彦の内面が明らかになっていく…。「家族」って何だろう?いちばん大事なものって何だろう?次代を担う新鋭・中澤日菜子の家族小説。
小さい頃、芽衣子は嘘ばかりついていた。大人になっても仕事も恋愛も上手くいかない。チリに出張中、彼女は初恋の人と再会する(「サンティアゴの雪」)。中学生の広海は、生まれ故郷が大嫌いだ。彼は島を出て本土に行った女性と出会うが、そいつはとんでもないやつだった(「瀬戸内海の魔女」)。結婚して十五年。ずっと一緒にいるものと思っていたが、妻に別の男ができた。最後に夫婦はもう一度、思い出の店を訪れようとする(「渋谷で待つ」)。静かな感動が降り積もる六編。『うさぎパン』の著者、初の短編集。
東京都大田区の路上で発見された女性の全裸死体。殺人事件として捜査一課強行班が動き始める。被害者は経営コンサルタント・坂上実咲。その名前は、捜査一課に二年前の痛恨の記憶を呼び起こした。被害者の身辺を洗う中、二年前の事件をきっかけに辞職した元刑事の名前が挙がった。奔放な被害者の異性関係。捜査は難航し、捜査一課は強行班七係と中本班の二班合同態勢をとるがー。刑事たちは、何を求め、何を探し続けるのか。男たちの葛藤と、その心の深淵にある光とは。
お人好しで要領の悪い三久がリストラに遭い、行き倒れた先は貧乏寺の孤月寺。クールな美坊主・空円と謎の派手男・覚悟が営む猫だらけの寺で、三久は僧侶見習いとして働くことに!? 下町人情コメディ!
人の心の動きを香りとして感じとる力を持つ香乃は、祖母が営む香り専門店『花月香房』に暮らしている。鎌倉を舞台に、あの日の匂いと、想いも……よみがえる。ほっこりあったか香りミステリー。
「エデン」は芸術家などが集まり、様々な店を出している集落。遼は唯一の家族である祖父を亡くし、「エデン」に遺された雑貨店に越してきた。持っていた機械人形を店に飾ると、持ち主だという少女が現れ…?
時間遡行機“アリスの鏡”が実用化された近未来。過去から美術品を盗み出す泥棒のルフは至宝・インペリアルイースターエッグを盗み19世紀パリに逃亡した幼馴染のフォースを連れ戻す任務を負うが…!?
「好き」が積もっていく──。まだ恋をしたことのない、高校1年生の木下仁菜子。帰り道に、学校中の女子から人気を集める一ノ瀬蓮に出会って……。大人気コミックス原作の映画を完全ノベライズ!
取り壊しの決まっている地方の高校、最後の卒業式の一日。少女7人が迎える、それぞれの「別れ」を、瑞々しく繊細に描く。切なくも力強いメッセージが光る全7話。(解説/ロバート・キャンベル)
大手デパートに勤める椿山課長は、気付けばあの世の入り口にいた。かけられた生前の邪淫の嫌疑を晴らし、やり残した想いを果たすため、椿山は姿を変えて再び現世に舞い戻る。(解説/カルーセル麻紀)
第36回すばる文学賞受賞作。学歴も経験もいらず、特別な能力や技術もいらない。全ての評価はどれだけ家を売ったか。何も残らない仕事。なぜ僕は辞めずに続けているのだろう──。(解説/城 繁幸)
幼なじみの俺とマコト。「ドッキリスト」のマコトが、一世一代の作戦と位置づける「プロポーズ大作戦」とは……?「美学」と「企み」に彩られた衝撃作。第25回小説すばる新人賞受賞作。(解説/藤田香織)
ジャコバン派の精神的支柱だったマラが暗殺された。新たな政治指導者となることを求められたロベスピエールは公安委員会に加入。恐怖政治が敷かれ、王妃やジロンド派が次々に処刑されてゆく。(解説/西上心太)
地味で目立たないことがモットーのOL京子が、ひょんな事から社内で連続発生する「朱肉事件」の犯人探しをすることに。縁切神社の神主でもある人事課の佐藤一と共に、人々の「縁」を辿り真相を追うが……。
ルーの半年限定介護職の相手は、事故で四肢麻痺となった若き元実業家ウィルだった。徐々に惹かれ合う二人だが、彼は尊厳死を決意していて…。命のあり方を問う世界的ベストセラー。(解説/中江有里)
CWA賞にもノミネートされた実力派ユーモア・ミステリー。タイのリゾートで仕方なく働く、失業中の女性記者ジム。砂浜で生首を見つけたことから、この国が内包する差別貧困問題に巻き込まれる。
大政奉還の江戸城で独り気を吐く男がいた。日本初の金属活字を作るなど貪欲な学究精神で、彗星のごとく歩兵奉行に上り詰めた大鳥圭介である。わずか四尺九寸(一四九センチ)の短躯にみなぎる武士の反骨と、フランス式軍学の圧倒的知識で、実戦未経験ながら陣頭指揮を執り、幕末最後の激戦を戦い抜いていく。怒り、笑い、涙する快男子を描く熱血歴史長編。
内縁関係を貫いた曾祖母(78)、族のヘッドの子どもを高校生で産んだシングルマザーの祖母(58)、普通の家庭を夢見たのに別居中の母(42)、そして自分のキャラを探して迷走中の娘の若菜(17)。強烈な祖母らに煽られつつも、友の恋をアシスト、祖父母の仲も取り持ち大活躍の若菜と、それを見守る家族、それぞれに、幸せはやって来るのか。楽しき家族のてんやわんやの物語。