2015年発売
K工業グループのオーナー・北中茂也が後頭部を重いもので殴られ殺された。発見者はお手伝いの足立みち子。捜査一課のハンサムで有能な警部・大谷努と、部下で恋人の美人刑事・香月弓江が早速現場に急行すると、超過保護な大谷のママと、大谷に憧れる可愛い婦人警官の川原涼子が現れた。さらに、涼子を溺愛するパパも出現して…。ユーモアミステリー人気シリーズ第五弾!
人形浄瑠璃が縁で二人は出逢った。男は尾道で造酒屋を営む忠三郎。女は廻船問屋の後妻・お夕。お夕が後妻に入った経緯を知った忠三郎は、次第に彼女に心を寄せていくが、婿養子の身でできることは限られる。そんな中、お夕が窮地に追い込まれることに。お夕を救おうとする忠三郎。忠三郎への気持ちを明かすお夕。世間から後ろ指を指されようとも、二人は覚悟を決めた。
心の闇を苗床に、この世に芽吹く呪い草。常世のそれを刈り取る者を妖草師と称する。江戸中期、錦秋の京に吸血モミジが出現した!吸われた男の名は与謝蕪村。さらに伊藤若冲、平賀源内の前に現れた奇怪な草ども。それが、はぐれ公家にして妖草師の庭田重奈雄と異才たちの出会いであった。恐怖、死闘、ときに人情…時代小説の新たな地平を切り拓いた逸材の、伝奇作品集!
信州善光寺の行人・次郎三郎と仲間たちは、領地の切り取りに鎬を削る戦国大名たちを相手に、敵味方なく馬や兵糧などを取り引きする武辺の商人。織田勢に包囲された城に潜入して米を届けるような、度肝を抜く知恵と行動力で乱世を生き抜いている。次郎三郎とは誰あろう後に大坂方の知将として名を馳せる真田幸村の祖父・幸綱その人であった。真田一族の栄枯盛衰を描く戦国大河小説第一弾!(書下し)
高瀬船の船頭弥助の子・弥市は、人攫いと噂されている謎の男が、篠山藩の京屋敷に入って行くのを目撃した。ちょうど、居酒屋・尾張屋には、篠山藩士と思われる侍たちが夜毎押しかけ、不穏な空気が漂っていたのだ。主の宗因は、彼らが人足・藤蔵の行方を探っているのではないかと疑いをもつ…。謎の男と尾張屋に集まる侍たちとの間には何があるのか?好評連作シリーズ第四弾!
蝦夷に渡った土方歳三。刻々と最期のとき迫る中、知ることとなった龍馬殺害の真相とは(塚本青史「最後に明かされた謎」)。慶喜側近の寓居を訪れた近藤勇。そこに新たな来客があった。変名なれどこの男、龍馬ではないか。龍虎ここに邂逅す(岳真也「龍虎邂逅」)。なにゆえの朝帰りだ、同輩が聞く。剣一筋に生きてきた永倉新八は、初めて女に惑っていた(鈴木英治「時読みの女」)。圧巻の新選組競作!
幼なじみの大和に恋心を寄せる結衣。恋人未満、微妙な距離の高校生ふたりの前に、弥生と名乗る美少女が突然現れた。彼女は「未来から来た、あなたたちの娘です!」という。さらに「お母さん!勝負!」とわけのわからぬことを力説する弥生に戸惑う結衣だったが、大和の娘だという少女たちがさらに二人も現れてびっくり仰天!しかもそれぞれの母親は結衣とは別の女だって?
新興宗教団体「宇宙神瞠会」が極秘裏にすすめている“ハルマゲドン”計画。ある日、大学進学のために上京していた妹の未来を訪ねた設楽は、妹が知らぬ間に教団信者になっていたと知り愕然とする。必死の説得も届かず、教団にのめり込む未来。妹を人質にとられた設楽と海月は、最悪の無差別テロを阻止し、未来を救うことができるのか!?
自殺未遂をしたと噂される、小中学校時代の女友達。興味本位で病室を訪れた私は、彼女が自宅のバルコニーから飛び降りた驚きの真相を聞く…表題作のほか、「おとな」「トイレの懺悔室」「人生ゲーム」を収めた、綿矢りさによる世にも奇妙な物語。
日本近代が、国民国家を確立させるために、制外の民としてのイメージを担わされた賎民たち。文学は、側面から、その作業に抵抗し、「国民」の実像を追う。そのことがまた、彼ら彼女らの、支配を潔しとしない無頼の人生をいきいきと描きだし、ロマンをかきたてる。田山花袋、岡本綺堂、小栗風葉、椋鳩十ら十名の、傑作読み物集。
入社三年目のローカル局の女子アナ、美久は可憐なルックスと初々しさが人気だ。いつかキー局・曙テレビのキャスターになりたいと夢見るそんな美久に、ある日、転機が訪れた。大手芸能事務所に強力なコネをもつ大スポンサーの社長の接待ーいわゆる枕営業だ。生まれて初めて味わう屈辱と快楽に壊れていく美久の理性…。そうして、ついにフリーアナウンサーとしてキー局進出のチャンスをつかんだ美久だったが、そこには淫猥な陥穽が待ち受けていた…。
ルーマニア・ポストモダン文学の旗手カルタレスクが、数々の短篇・掌篇・断章で展開する〈女性〉賛歌。 黒い少女 Dへ、二十年後 イヤリング 親密感について ブラショフのナボコフ 落日 耳を伏せて 折り紙モンスター ぼくは何者? ペトルッツァ Jewish Princess トリーノの出会い 子供の脳髄で愛する アイリッシュ・クリーム 霊感の源 二種類の幸福 ザラザ わが青春の魅惑の書 偉大なるシンク教授 黄金爆弾 ぼくらが女性を愛する理由 終わりに
超ヒットボカロ曲のノベライズ第3弾! 影憑に襲われ、帝都軍病院に運び込まれる未來。そこで主治医の口から未來たち神憑の秘密が明らかに。そして鳴子の過去に隠された、彼女の悲しき宿命とはーー?
“わたし”は帰りつかない夢ばかりみている。目の前を横切る一頭の象、森に“箱”を設える男、鴉の通夜を執り行う女、夢を操る蜘蛛、本性を言い当てる易者見習いの青年、そして“わたし”に「物語」を託す巫女…。謎が深まりゆくなか、立ち現れる三人の女によって、いつしか“わたし”は、思い出せなかった世界、忘れ果てていた世界へと誘われていく。時が重なり、はまっていくピースの数々。仕掛けに満ちた、めくるめく幻想譚。
息子を事故で亡くした絵本作家の千紗子。長年、父・孝蔵とは絶縁状態にあったが、認知症を発症したため、田舎に戻って介護をすることに。父との葛藤と息子の死に対する自責の念にとらわれる千紗子は、事故によって記憶を失った少年の身体に虐待の跡を見つけ、自分の子供として育てることを決意する。「嘘」から始まった暮らしではあるものの、少年と千紗子、孝蔵の三人は、幸せなひとときを過ごす。しかし、徐々に破局の足音が近づいてきて……。 切なさが弾ける衝撃の結末ーー気鋭のミステリ作家が描く、感動の家族小説。