2015年発売
大阪府警の新米刑事・神木恭子は、担当した殺人事件を、別件で関わった老人の供述から解決へと導く。しかし時を同じくして、老人の自宅の床下から嬰児を含む死体七体が発見された。二つの事件の背後には、府警上層部が内に宿す闇が広がっていたー。体面重視の違法捜査、キャリアとノンキャリアの暗闘ー知られざる警察の真実に、淀んだ街に狂い咲いた情愛が絡まりつく。現場を知り尽くした元本職の刑事だから書きえた、究極の警察小説!第2回本格ミステリーベテラン新人発掘プロジェクト受賞作。
名作『夕べの雲』から三十五年。時は流れ、丘陵の家は、夫婦二人だけになった。静かで何の変哲もない日常の風景。そこに、小さな楽しみと穏やかな時が繰り返される。暮らしは、陽だまりのような「小さな物語」だ。庄野文学の終点に向かう確かな眼差しが、ふっと心を温める。読者待望の、美しくもすがすがしい長篇小説。 名作『夕べの雲』から三十五年。 時は流れ、丘陵の家は、夫婦二人だけになった。 静かで何の変哲もない日常の風景。 そこに、小さな楽しみと穏やかな時が繰り返される。 暮らしは、陽だまりのような「小さな物語」だ。 庄野文学の終点に向かう確かな眼差しが、ふっと心を温める。 読者待望の、美しくもすがすがしい長篇小説。
笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。第153回芥川賞受賞。 売れない芸人徳永は、熱海の花火大会で、師として仰ぐべき先輩神谷に電撃的に出会った。そのお笑い哲学に心酔して行動を共にしながら議論を続けるのだが、やがて二人は別の道を歩んでいくことになる。運命は二人をどこへ連れていくのか。
鬼隼人、許すまじー財政難に喘ぐ豊後・羽根藩には、怨嗟の声が渦巻いていた。十五年前に仕官、やがて御勝手方総元締に任じられた多聞隼人が、藩主・三浦兼清を名君と成すために、領民家中に激烈な痛みを伴う改革を断行したためであった。そんな中、誰も成し得なかった黒菱沼の干拓の命が下る。一揆さえ招きかねない難題であった。それにも拘わらず、隼人は家老に就くことを条件に受諾。工事の名手で“人食い”と呼ばれる大庄屋・佐野七右衛門、獄中にあった“大蛇”と忌み嫌われる学者・千々岩臥雲を召集、難工事に着手する。だが、城中では、反隼人派の策謀が蠢き始めていた…。『蜩ノ記』『潮鳴り』に続く羽根藩シリーズ、待望の第三弾!
「くらがりに落ちた」。解決できなかった事件を奉行所ではそう言う。それらの事件を書き留めておくのが、南町奉行所永尋書留役である角野忠兵衛の役目。奉行所の角に忘れ去られた事件を地道な探索でくらがりから引きずりだす忠兵衛を、仲間の同心はいつしか“くらがり同心”と呼ぶー。窓際同心の人情味溢れる活躍を描いた人気シリーズから、著者自ら厳選した「精選版」!
出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!
大手企業に就職したものの、うだつの上がらない日々に塞ぐ井上雅也。ある日、南青山骨董通り探偵社の社長・金城から突然話しかけられた。「探偵になる気はありませんか?」。雅也は訝しみながらも体験入社をするが、厄介な事件に関わることになり…。個性的なメンバーの活躍が、軽快なテンポと極上のサスペンスで繰り広げられる、ベストセラー作家の新シリーズ始動!
シングルマザーの新聞記者・久平可南子は心に決めていた。息子のために仕事は辞めない。父親の名は誰にも明かさない。取材の折、彼女を見つめる戦力外通告を受けたプロ野球投手・深澤翔介。ふと気にかかり、インタビューを試みると、彼には可南子の秘密を知る素振りがあって……。仕事、育児、生きがい。今、前を向くことのリアルを、ひたむきな再起の物語に込める。
「妻を抱いてやってくれないか」。勃起不全に悩む親友から思わぬ依頼を受けた兼之助。さらに妻との情事を電話で中継してくれと頼まれ…(表題作)。義父の通夜で、義母の淫靡な姿を偶然覗き見した太一。二人きりになった休憩室で、彼は思い切って…(「通夜妻」)。若妻、熟女、未亡人、女子大生たちが、抑え切れない欲望を激しく濃密に燃え上がらせる傑作官能短編集!
部屋いっぱいのバラの花に囲まれ、華やかなドレスを身にまとい、ロッキングチェアに横たわる死体。かつて子役スターだった彼女の死の真相をバラたちは知っているのかー!?(表題作)日常生活に溶け込んでいる動物や植物が、ミステリーの謎に結びつき輝きを増す。名手・日下圭介ならではの妙味を堪能できる傑作推理短編を厳選収録。色あせない芳醇な作品世界!!
紀伊勝浦藩主・安田義治に対して養子の慶次郎が謀反を企てている疑いがあり、ジョゼフ按針に慶次郎を捕らえるよう命が下る。しかしこれは、ジョゼフを再び陥れようとする老中の陰謀で、さらに慶次郎には出生の秘密が…。はたしてジョゼフはこの黒い罠を破ることができるのか!?イギリス人三浦按針を父にもつ、破天荒な旗本の活躍を描く時代活劇、待望の第二弾!
辻占を副業としている御家人の鏑木左京之介に、人足寄場の奉行から声がかかる。仕事の中身は寄場を放免になった錺職人・吉次郎を悪事を企む連中から守ることだった。晴れて寄場を出てなんとか仕事についた吉次郎だったが、その仕事には黒い影がちらつく。そして、背後にはさらなる闇が存在していた。左京之介が神刀自在流の剣で悪を断つ!異色の新シリーズ。
将軍家毒味役を務める矢背蔵人介の息子・鐵太郎は知人の勧めで海外渡航の企てに参加しようとする。しかし、その企ては何者かによって阻止され、参加しようとした者は鐵太郎の眼前で斬殺される。鐵太郎に捕り方たちが忍び寄る。はたして、鐵太郎、蔵人介、そして矢背家の人々の運命はー。蔵人介に最大の試練!人気上昇中の鬼役シリーズ、慟哭必至の第十四弾。
約束された次期重役の椅子がー!?営業部長の安田は、房総へ愛人とドライブへ出かけた帰途、人身事故を起こしてしまう。出世の危機と不安を抱くが、轢いたのは小柄で貧相な男。これは示談で済む、そう安田は安堵した…。だが、そこには信じられない落とし穴が待っていた。傲慢なエリート男を襲った恐怖とは?(「脅迫者」より)推理小説界の巨人が描くサスペンス傑作集!
人生に挫折し、八ヶ岳へ流れ着いた真鍋智也が働くことになったのは、理由あり物件を得意とする「やまびこ不動産」だった。泣く泣く生家を手放す女性、絶縁した父から土地を相続することになった男ー物件に篭もる思い出や事情、家族の想いに接するうち、空虚な真鍋の心にも変化が…。瑞々しい自然に抱かれた八ヶ岳で、悲喜こもごもの人生が交差する、再生の物語。
東京湾で、トカレフの銃弾が撃ち込まれた女の遺体が見つかった。巡査の伊吹龍次は、横行するロシアの密輸組織との関連を疑う。直後、先輩警官の遠藤が姿を消し、密輸船から持ち出された麻薬密売に関わっていたことが明らかになる。尊敬する先輩が、一体なぜー。血気盛んな伊吹は、遠藤の無実を確信し単独捜査に乗り出すが、炙り出されたのは法でも裁けぬ巨悪だった!
刀剣目利きの上条綸太郎は、ある日、虎徹の流れを汲む刀鍛冶とともに刀を作り続ける香苗と出会う。藩主の御側役だった香苗の夫は、主君の刀を失くし切腹したが、後に濡衣だと判明。香苗は自ら作った刀で夫の仇を討つという。だが、彼女の工房には骨董の贋作も多く、お宝と贋作をすり替えて盗む取替屋の疑いが浮上し…綸太郎は心の真贋まで見抜けるのか!?