2015年発売
北フランスの貧しい工場地帯、男たちが力で支配する、強いことだけが価値を持つその世界で、女の子のような少年エディは異分子だった。壮絶ないじめと暴力、同性愛体験…。差別主義の標的となり、苦しい日々を送った彼は逃亡を決意した。家族を捨て、貧しい村を捨て、奇妙な名前(エディ・ベルグル)を捨てた彼は高等師範へと進み、エドゥアール・ルイと名前を変え、同性愛者であるインテリ青年となった。現代の現実世界の出来事とは、にわかには信じがたいほどの貧困の実態、想像を超える差別主義ー性差別、人種差別、同性愛差別ーそのすべてを赤裸々に語り、自身の半生をつづった衝撃の物語。
クレア・デウィットはただの女探偵ではない。独特の探偵術を駆使し、巧みに銃を扱い、困難な調査でも決して諦めない。2007年、ハリケーンの傷痕が未だ残るニューオーリンズで、クレアは失踪した地方検事補の捜索を依頼される。洪水で死んだと思われる一方で、嵐のあとに姿を見た者もおり経緯がわからない。最高にクールな女性私立探偵を描く、マカヴィティ賞最優秀長篇賞受賞作。
詩が書けなくなった大詩人vs訳あり女性編集者、詩と再生の物語。借り物ではない、自分のことばで、きもちを伝えたい。詩をとおして、ことばを獲得していく女性たちを描く感動作。
アジアの西の果て、荒野に立つ直方体の白い建物。一度中に入ると、戻れない人間が数多くいるらしい。その「人間消失のルール」を解明すべくやってきた男たちは、何を知り得たのか?めくるめく幻想と恐怖に包まれる長編ミステリー。人間離れした記憶力を持ち、精悍な面差しで女言葉を繰り出す、魅惑のウイルスハンター・神原恵弥を生み出した、シリーズ第一作!
北国のH市を訪れた神原恵弥。不倫相手を追いかけていった双子の妹を連れ戻すという名目の裏に、外資製薬会社の名ウイルスハンターとして重大な目的があった。H市と関係があるらしい「クレオパトラ」と呼ばれるものの正体を掴むこと。人々の欲望を掻きたててきたそれは、存在自体が絶対の禁忌であったー。謎をめぐり、虚実交錯する世界が心をとらえて離さない、シリーズ第二作!
錦戸虎治と本田麗香は、同じ孤児院出身。どん底の生活を経て再会したふたりは、性を武器に成り上がることを決意する。大金をつかむまで互いとのセックスはしないという約束のもと、ターゲットを捕獲していく虎治の前に、絶好の獲物・小浜真央美という天使のような令嬢が現れる。草凪ワールドのダーク系とライト系が融合。書き下ろし長編官能、ダーク系の前編。
母親を自分が通う学校の教師に殺された真裕子は、大学を卒業後、親元を離れる。一方、父親が加害者となった大輔と絵里は、その事を知らずに長崎の祖父母のもとで生活を送っていた。また、事件を取材した新聞記者の建部は長崎に転勤となり、そこで新たな殺人事件に接していた。-運命が変わったあの日から7年。事件に関わる人間の姿を、熟練の筆で描く大作。
長崎で起きた中学生撲殺事件の取材をする建部は、その再会に運命のようなものを感じていた。殺害された少年の通夜に、かつて加害者の妻だった香織が被害者の遺族として現れたのだ。-心に癒しがたい傷を負い、今も母を強く想う真裕子。父母を知らず、心にもやもやしたものを抱える大輔。ふたりの行く先に待っているものとは。
見事な花を咲かせる桜の古木と、その木を見守り続ける老齢の植木職人の姿を描いた表題作「さくら」。女房に間男がいることを知った朝顔売りの懊悩と、男女の心の機微を取り扱った「いい女」など、心に沁みる四つの物語を収録した書き下ろし時代短編シリーズ、待望の第二弾。
闇世界を統べる帝、“闇皇”の後継者としてブラコン最凶弟・言やドS陰陽師の側近・晴明たちと日々修行中の后。闇皇になるためには、獄界・冥界からも承認をもらわなければいけない。不穏な発言で険悪になる言・晴明らとともに地獄に移動した后だが、「身体を清いものに戻せ」なければ、地獄から出られないと言われ!?…って、「清い身体」ってどういうこと!?
闇世界を統べる帝、“闇皇”の後継者として修行中の后の次なる課題は、獄界と冥界に認められること!さらに『清い身体』に戻らないと獄界から出られない!…って、『清い身体』ってどういう意味!?
生徒会役員をアイドルが担う時代ー大好きな柚様に会うため運だけで高校に合格した甘菜は、さらに“生徒会の姫様”に抜擢され大興奮。これで柚様とお近づきにと思ったのに!?「-気に入らねぇな、こんな姫様」俺様な柚を筆頭に、生徒会はヤバすぎる男子の集まりだった!この状況、変えられるのは…わたしだけ!?ミラクルガールが奇跡を起こす☆逆ハー学園LOVE、開幕!!
内気な高校生アリサが、迷い込んでしまった世界ーそこで開かれていたのは、特殊な役職と能力を与えられた参加者が“無垢なるアリス”を狙うデスゲームだった!!不幸にもアリスに選ばれてしまったアリサは、絶体絶命の窮地を“白ウサギ”を名乗る青年に救われる。呆然とするアリサに、自分の言うことを聞けば帰れる、と彼は言うが…。閉ざされたこの世界で、真実を騙る“嘘つき”はー誰?
捨て童子とは、この世ならぬ途方もないエネルギーを持ち、人を戦慄せしめる人物!徳川家康の第六子でありながら、容貌怪異なため、生まれ落ちてすぐ家康に「捨てよ」と言われた“鬼っ子”松平忠輝の異形の生涯を描く、傑作伝奇ロマン小説。新鮮な発想や史観、壮大なスケールで完結をみた、著者最後の長編。
凛々しく成長した忠輝は、越後福嶋藩の大名となる。福嶋藩のキリシタン化を企てる附家老・大久保長安には野望があった。ラテン語を理解し、南蛮医学まで修得するほどの開明的知性を持つ忠輝を将軍にしようというのだ。その能力と人望ゆえ、兄の将軍秀忠に恐れられた忠輝は、秀忠配下の柳生宗矩に狙われる。
東北の湯長谷藩は、ある日お上から謂われのない難癖をつけられ、急遽5日以内に江戸へ参勤せよと命じられる。叛けばお取り潰し必定。-時間がない。財政難の小藩には費用も、行列を組む人手もない。心優しき藩主内藤政醇は知恵者の家老と共に策をこらす。妙案と頓智で難所を切り抜けていく殿と家臣の爽快劇!
殺された兄、波之進の四十九日が来た。法要が賑やかでも魚之進の心は虚しい。夫の死を悲しむ兄嫁・お静は、大きな福より小さな幸せの到来を願う小福餅を買ってくる。しかし、甘い物の裏にこそ悪は潜むはずだと、菓子屋の隠密捜査に着手する魚之進。江戸の食を斬る捕物帖、謎は深まり面白さ最高潮!