2016年12月発売
「涙の結晶」なる謎のブツを抱え、京王相模原線の車内で放火を図った女が逮捕された。動機の解明が進まず捜査が行き詰まる中、鉄道会社にレールジャックを告げる一本の電話が!犯人は人質、爆弾、そしてあるモノを盾に、列車を止めるなという要求を突きつける。脅迫者と女の関係は?暴走する列車を爆破させずに止める方法は?警視庁に新設された鉄道犯罪捜査班のスペシャリストたちが、警察対応の裏をかく難敵に立ち向かう!
スペイン、バスク地方のバスタン渓谷で、連続少女殺しが発生する。絞殺された少女たちは森の中で、裸身を晒して仰向けに横たわるポーズをとらされていた。州警察は地元出身の女性捜査官アマイアに捜査主任を命じる。迅速に捜査を進めるべく奮戦するアマイアだが、故郷に戻ったことで否応なしに、捨てたはずの自分の過去に直面し、公私ともに追い込まれてゆく。さらに死体発見現場では、バスク神話の精霊である大男バサジャウンの姿が目撃されていた…歴史と伝説に彩られた秘境を舞台に展開する、大型サスペンス。
イホ・トロトとブルーク・トーセンが乗るハルト船は、マークスの宇宙駅であるルックアウト・ステーションを出たあと、ふたたび異質な未知の力に操られていた。どこかでエネルギー渦に落下したのち、巨大な壁の前にたどりつき、そこからさらに、トンネルに似たべつの場所へと誘導されていったのだ。ついに“デポ”に到着したのだろうか?そう考えたかれらの前に、奇妙な鳥生物の群れがあらわれ、船内へと侵入してきた!
ジョナサン・ラデック、帝国近衛隊隊長。皇帝の勅命により任命された最優秀の帝国軍人だ。階級は中佐だが、皇帝以外の何者にも従う義務はない。彼は皇帝の座乗する帝国海軍第4艦隊旗艦“インペリアル・スター”で、最近、不穏な気配を感じていた。艦隊を指揮するハーコフ提督が裏で動いているらしい。そんな折、ラデックは首都惑星エデン・プライムにソフィア皇女を送り届ける任務を命じられるが…熱血戦争SF登場!
ソフィア皇女とエデン・プライムへと向かった旅から五年後…。わし座ゼータ星系にある宇宙ステーションーテラ・ノヴァを入手したラデックは、元帝国軍の兵士仲間と立ち上げた運輸会社ヴァンガード社の最高経営責任者として、多忙な日々を送っていた。辺境星域であるとはいえあまりに頻発する悪質な企業乗っ取りや海賊行為を憂慮したラデックは、暗躍するシンジケート殲滅のため調査を開始するが、やがてその背後に…!?
豹の直感が危険を察知したのか、影武者を立ててまでオクタヴィアの即位式を欠席したグインは単身、ケイロニアの北、ベルデランドへ馬を走らせていた。密かに匿われていた、シルヴィアの子シリウスを、ダナエ選帝侯のご落胤として奪わんとするケルートの魔手が迫っていたのだ。シリウスの安否やいかに?そしてまた、グインは再び馬を駆り、ヴァレリウスに会いに、シルヴィアの探索にと、ケイロニアを縦横無尽に駆け巡る!
第1次外惑星動乱は、外惑星連合の敗北に終わった。ガニメデ宇宙軍所属の掃海艇CCR-42は戦後処理のため、敵の航空宇宙軍が敷設した宇宙機雷の処分にあたっていた。その艇長・田沢が命じられた、機雷封鎖された小衛星ヒマリアでの極秘任務を描く『最後の戦闘航海』。外惑星動乱終盤から戦後40年にわたる、兵器開発の非情さと犠牲になった人間の哀しみを描く『星の墓標』。連作集2冊を合本した“航空宇宙軍史・完全版”第3弾。
ホワイトハウスはパニックに陥った。突然、中国の鉱山町で核爆発が起きたのだ。中国政府はなぜ自国に核兵器を使用したのか?そのころインドではニューデリーに設置された地震計が不可解な震動を記録していた。いったい何が起きようとしているのか?そして生物学者のメラニーは、古代遺跡で発掘された遺物から恐るべきことを知る。それは…急速に増殖する究極の脅威。全人類滅亡の危機に人々はどう立ち向かうのか?
午前六時半。一本の電話が私立探偵フィリップ・マーロウを眠りから覚まさせる。それは、列車で到着するはずの若い女を尾行せよとの依頼だった。依頼主の高圧的な態度に苛立ちながらも、マーロウは駅まで出向く。女はすぐに姿を現すが、彼女には不審な男がぴったりとまとわりつきー。“私立探偵フィリップ・マーロウ”シリーズ、長篇第七作。新訳版。
瀬戸内海に面した椅子作りがさかんな町、宝松市鈴香瀬町。高校生の海野杏は、毎朝海辺で小説を書きながら、椅子職人を目指す同級生・五十鈴彗斗と少しだけ話すことを日課としていた。そんなある日の朝、彗斗から「高校をやめて町を出る」と告げられる。特別仲がよかったわけではないが、傍にいて当然の存在がいなくなることに焦りを覚える杏。時を同じくして、杏は親友の翠からラヴレターの代筆を頼まれる。必死に頼む姿にほだされ、明るくてかわいい翠を思い浮かべながら、一文一文を丁寧に綴っていく。そのラヴレターから、小さな町を揺るがす失踪事件が始まるとも知らずに。“黒猫シリーズ”の著者が描く、新たな青春ミステリ。
すっかり新しい広告のかたちのひとつとして定着した“爆発”-ロンドンにあらわれた新しい破壊芸術ーを描く表題作。ある夜、娘と連れだってひっそりと宿を出た男が特別警戒地域コヴハイズであるものを待ち望む「コヴハイズ」。カードゲームに興じる勝負師たちのまえに突然現れた、ありえざるものをめぐる奇妙な物語「“蜂”の皇太后」。とある昼下がり、街で開催された豚の解体ショーで、豚の頭をかぶせられた男の身に降りかかった顛末を描く「祝祭のあと」…。英国SF界のトップランナーたるミエヴィルが贈る、ダークでシュールな物語28篇を収録した短篇集。
父親に殺意をもって首を吊し上げられた三十歳の息子は、親に寄生する中年パラサイトだった。彼は、精神刺激薬リタリンを服用していた。処方箋があれば入手可能な、この薬の出どころを追うと…。老人が次々死亡する病院、住宅の隠し金庫で金塊とともに保管されていたリタリンー。犯人像作成のプロ・麗子と美人検屍官・清香。二人は深い闇へと導かれていく。
少年院入所時の知能検査でIQ161以上を記録した町田博史。戸籍すら持たぬ数奇な境遇の中、他人を顧みず、己の頭脳だけを頼りに生きてきた。そして、収容された少年たちと決行した脱走事件の結末は、予想だにしなかった日々を彼にもたらすこととなるー。一方、闇社会に潜み、自らの手を汚さずに犯罪を重ねる男・室井は、不穏な思惑の下、町田を執拗に追い求めていた。
身許引受人の町工場で働きながら、大学に通いはじめた町田。知り合った学生たちの起業を手伝うことにもなり、他人と過ごす時間が彼の心を少しずつ解きほぐしていく。だが、忌まわしい過去は、彼を易々と手離しはしなかった。ふたたび町田に接近する室井の真意とは…!?吉川英治文学新人賞作家が描く、エンタテインメントの醍醐味を存分に詰め込んだ圧倒的傑作!
寒い冬の夜。商店街の一角に気になる店が。覗いてみると、温かな雰囲気に心が躍る。ああ、入ってみたい、そんなとき。もし、店の隅にピンクのぶたのぬいぐるみが転がっていたら、それは「味に間違いない店」の目印かも。見た目はぬいぐるみ、中身は心優しい中年男性。山崎ぶたぶたが、いろんなタイプの飲み屋さんで、美味しい料理とともにあなたを待っています。
網膜剥離でボクサーを引退した椎名啓輔。八百長試合で治療費を稼いでまで救おうとした妹にも先立たれ、元東洋チャンピオンは裏仕事で食いつなぐ「便利屋探偵」になった。恩人の頼みで、銀行支店長が持ち逃げした四億七千万円の行方を追う椎名。しかし関係者は次々に殺されていく。黒幕はいったい誰なのか。孤独な闘いの果てに、驚愕の真相が明らかになる!
今宵も語るは四方山話と未解決事件。バー・森へ抜ける道に訪れる常連の山内と工藤、節操なく最近はビールに凝り始めたマスターの島。三人の頭文字をとって、彼らは通称ヤクドシトリオ。アルバイトの阪東いるかがのめり込むオペラの演目に見立てて、もう一人の馴染みの顔、美しき才媛・東子が華麗に事件の謎を解く。読めば病みつきになるバー・ミステリシリーズ第五弾!
遠山金四郎とシーボルトが源義経生存伝説に挑む!(「蒙古帝の碑」)琉球王国との交渉に訪琉したペリーが「琉米修好条約」の裏側を解き明かす!(表題作)東郷平八郎が、上田秋成が、曲亭馬琴が歴史の間隙に踏み込み、偽史・稗史の成り立ちを覗き見る。その先に、「伝説」に込められた民衆の願望と権力者が創った「正史」の思惑が浮かび上がる、歴史ミステリーの意欲的傑作!
縁切り寺「慶光寺」御用宿「橘屋」に、小料理屋「鶴亀屋」の仲居お勝が駆け込んで来た。亭主の段七は牡丹作りの名人なのだが、売れた牡丹の苗木のお金をどこかに持って行ってしまっているのだという。橘屋の用心棒・塙十四郎はその亭主のことを調べ出すのだがー。(「雨上がり」)さまざまな人の心をしっとりと描いた作品が、ぎゅっと詰まった大好評のシリーズ第八弾!