2016年12月発売
亡き妻のレシピ帖に「私は椎茸だった」という謎のメモを見つけた泰平は、料理教室へ。不在という存在をユーモラスに綴る表題作のほか、叔母の家に突如あらわれ、家族のように振る舞う男が語る「ハクビシンを飼う」など。日常の片隅に起こる「ちょっと怖くて愛おしい」五つの「偏愛」短編集。泉鏡花賞受賞作。
「この電話番号の相手が、霊媒師の助けを必要としているのよ」 そう言って、霊感ゼロの喫茶店店主・佐貴に電話番号を手渡した黒髪の美女。この浜本理佳と名乗る女性は、佐貴の友人であり由緒正しき霊媒師・アーネストの助けが必要なのだという。電話をかけてみると、なんと理佳は1年前に自殺していた……。理佳の恋人も変死しており、アーネストと佐貴がその謎を解き明かすべく、動き出す! 序章 沈黙の夜 第一章 紅の予感 第二章 見えない糸 第三章 火影の揺らめき 第四章 夜を見るもの 第五章 煉獄の鬼 幕間 いつかの約束 終章 祈りの中で
酸いも甘いも知っているのが40代ー。けれど自分のことは、おぼつかない。妻に浮気されていた男、息子のサッカーチームのママ友になじめない女、駄ジャレが止まらない離婚した男に、落語家に妄想恋愛する女、幸せな勘違い教師の男。それでも前向きに生きていく。迷える大人たちの励みになる、心に優しい短編集。
研究不正を追及する、より高度で専門的な部署へ異動になった一般職・水鏡瑞希。上司の女性キャリア官僚と組んで、次世代エネルギーと目される核融合研究の検証に取り組む。ついていくのに四苦八苦の瑞希のもとに、不可解な事象が連続して起きる。みずからの心の奥底を知ることになった瑞希、驚愕の真実とは?
藩主綱紀のお国入り。国元では数馬の婚約者琴が襲撃されるなど、きな臭い動きが。そのため異例の急ぎ足の大名行列となった道中の交渉役を任された留守居役の数馬だが、油断大敵!綱紀との縁組を切望する高遠鳥居家の思いがけぬ罠が待ち受けていた!数馬は藩の窮地を切り抜けられるか!?
捜査一課から地元の武蔵野中央署へと転出した刑事・瀧靖春は、旧友の長崎から姪の恵が行方不明になっていると相談を受けた。市議会議員の選挙運動を手伝っていたという恵。その足取りを追う中、瀧は過去に類似の失踪事件が起きていたことに気づく。やがて瀧の捜査にも見えざる圧力がかかりはじめ…。
街の電器屋さんvs.大手家電量販店の戦い!大手家電メーカーで働く轟雷太は長引くデフレの影響で入社三年目にして突如リストラされてしまう。転職活動を諦めた彼は実家の母が経営する店を継ぐ決意をする。そこは昔ながらの地域密着型の「街の電器屋さん」。だがそこも近所の大手家電量販店に客を奪われ、経営は風前の灯火だった!<文庫書き下ろし> 街の電器屋さんvs.大型家電量販店! デフレの時代にまさかの「高売り」戦略?!リストラされた「ゆとり世代」の俺に、勝機はあるのか。 大手家電メーカーで働く轟雷太は長引くデフレの影響で入社三年目にして突如リストラされてしまう。転職活動を諦めた彼は実家の母が経営する店を継ぐ決意をする。そこは昔ながらの地域密着型の「街の電器屋さん」。だがそこも近所の大手家電量販店に客を奪われ、経営は風前の灯火だった!<文庫書き下ろし> 「安けりゃいいってもんじゃない!」 第一章 リストラされちゃった! 第二章 実家に戻っちゃいました 第三章 「高売り」します! 第四章 母ちゃんのこと 第五章 安売り戦争 第六章 負けてたまるか 第七章 トラブルは続く、いつまでも 第八章 祭りの準備 第九章 高売り本格始動 第十章 街の電器屋さん エピローグ 参考文献
弱小少年サッカーチームで楽しそうにボールを蹴る子どもたち。一方、彼らをサポートする父親たちは、それぞれに悩みを抱えていて……。8組の父と子の心のふれあいと成長を描く、胸打つ家族小説集。
ある日突然、電気が消滅!?超絶不自由生活!家族はどう生きるか。私たちはどれだけ電力に依存してきたのだろうー。笑いあり涙あり。試練に挑む、家族の物語。話題の映画原作本。
莉南と英理子は化粧品会社の美容部員。愛想がよく、コミュニケーション力に長けた莉南。自分の価値観を優先し、うわべの付き合いを嫌う英理子。対照的な二人は反発しあうものの、しだいに自分にないものを持った相手に惹かれ、親交を深める。だが、あることを機に英理子は会社側と対立。そのとき莉南はー。自分に正直に、信念を持って働く女子たちの姿が清々しい、共感必至の友情&お仕事小説!
時効成立を待っての自首。法によって裁かれない殺人犯は、世間を騒がせた後、何者かに殺害されたー。警察は当の平成七年一家惨殺事件において一人生き残った、小岩井薫に疑いの目を向けた。一方、妻を殺され、自身も被害者遺族である原村俊介は、気にかける薫の心の奥底が見えず、行動を起こす。それが更に己を苦しめるとも知らず…。妻を巡る真相のみならず、予想外の衝撃が俊介を襲う。遺された者の生き様が、熱くせつなく肺腑を衝く劇的ミステリー。
社会的に厳しい境遇にある隆志は、仕事で集金した金を持って同じような身の上の久美子と死出の旅に出た。どうせ死ぬのだからと贅沢な旅行を続ける二人の前に、ある中年の夫婦が現れる。落ち着いていて、品のあるその夫婦を見ているうちに、こういう生き方もあるのかと感じ入る隆志。そして遂に、最初からやり直そうと…(「拐帯行」)。シリーズ最終巻は著者の代名詞とも言える社会派ミステリ。掉尾を飾るにふさわしい傑作群を、どうぞ最後までお楽しみください!
六七歳の柴田一郎は、独り暮らしの無聊を慰めるべく、自分史を書きはじめる(「自分史」)。病院帰りに立ち寄ったビルの名店街で渡された腕時計のようなものは、自分がどのくらい嫌われているかわかるというアイテムだった(「嫌われ度メーター」)など、人生の黄昏時を迎えた者たちに訪れる奇妙であやしい出来事。全編書き下ろしで贈る、珠玉の二十の物語。
ついにお互いの気持ちを伝え、付き合いだした清貴と葵。ある日、京都では名の通った鑑定士や収集家の家から、仏教関係の美術品が盗まれる事件が頻発しているという報せが、二人のもとに入る。さらに、吉田山荘事件で知り合った探偵の小松が、行方不明の娘を捜してほしいと『蔵』にやって来た。二つの事件は巧妙に絡み合い、さらなる謎へとー大ヒット・キャラクター小説第6弾!
経理課に入社した新入社員は、32歳の未亡人。街で偶然出会った下条正巳に「匂いって、なんだかエッチですよね」と微笑みかけてくる(「匂いの女」)。生活に疲れきっていた恩田忠司の前に、幼馴染みでかつてバージンを奪った北白川雛子が現れる(「初めての女」)。など、初恋の女、憧れていた年上の女、思いがけない出会いなど、過去と現在が交錯しつつ紡がれる、書き下ろし作品1点を加えた8つの逢瀬を描いた短編を収録。
越後屋の向かいに妙な店が出現した。なんと家の屋根から壁まで、すべて真っ黄色に塗りたくられているのだ。いったい誰が、どういう目的でこんなことをしたのか。しかも、いつまで経っても、店を開ける気配するない。不審に思った愛坂桃太郎が調べを進めていくと、これまで越後屋に数々の嫌がらせを仕掛けてきた張本人の存在が浮かび上がってきた。大人気シリーズ第六弾!
菅井紋太夫が武家の若い娘・きよに勝負を挑まれる。居合の達人に父親を殺された娘は、菅井を下手人だと思い込んでいたのだ。それが人違いだと知ったきよは、仇討ちのための剣術指南を菅井に願い出る。そんな折、娘とともに三人の武士がはぐれ長屋を訪れ、源九郎たちに、きよの父親を殺した下手人を探って欲しいと依頼してくる。大好評シリーズ第三十八弾!
婚礼直前に屋敷を逃げ出した竜子姫を助け、石川島で大捕物を仕掛けた“若様”奥山右京之介。まんまとせしめた大金を仲間に配り、風のように江戸から消えた。そして季節が秋から初冬へと移る頃、若様は姫が嫁ぐはずだった播磨国仙崎藩にフラリと姿を現す。此度の狙いはなんと、豊臣秀吉が多田銀山に隠したと伝わる四億両もの埋蔵金。仙崎藩のお家騒動に便乗し、若様は仰天の秘策を打つ。芥川賞作家、入魂の書き下ろし。
材木問屋の奉公人が刺殺され、凶器の脇差が腹に刺さったまま残されていた。与力の北山は豊之助の助力を得て探索を始めたのだったが、脇差の持ち主は中西道場の弟弟子だった!弟弟子の無実を祈りつつ探索を続けた豊之助だったが、はたして真相はいかに!?好評シリーズ第四弾!