2016年3月10日発売
韋駄天の俊足と蜘蛛糸の罠を駆使して魔物を倒せるようになった「私」。調子に乗って、脱ダンジョン!と新たなエリアへ飛び出したはいいけど……そこは蜘蛛糸の天敵、炎に覆われ火竜が闊歩するマグマの土地だった!
悪意は拡散するーー。衝撃の結末が待ち受ける、『告白』以来の学校ミステリ! この作品を書けたことで、小説家として次のステージに一歩進むことができました。 ーー湊かなえ 県下有数の公立進学校・橘第一高校の入試前日。新任教師・春山杏子は教室の黒板に「入試をぶっつぶす!」と書かれた貼り紙を見つける。迎えた入試当日。試験内容がネット掲示板に次々と実況中継されていく。遅れる学校側の対応、保護者からの糾弾、受験生たちの疑心。杏子たち教員が事件解明のため奔走するが……。誰が嘘をついているのか? 入試にかかわる全員が容疑者? 人間の本性をえぐり出した、湊ミステリの真骨頂!
文芸編集者として忙しい日々を過ごす那波田空也は、あるきっかけで再びボクシングとの距離を縮める。初めての恋人・つた絵の存在、ジムに通う小学生ノンちゃんの抱える闇、トレーナー有田が振りまく無意識の悪意、脅威の新人選手・岸本修斗。リングという圧倒的空間に熱狂と感動を描ききる!傑作長編小説。
完全黙秘の容疑者。その背景には何が? 後山の指令で、長く完全黙秘を続ける男を取り調べることになった大友。沈黙の背後には驚くべき過去が……大人気シリーズ第7弾。
喪われた人、傷ついた土地。「あの日」の涙を抱いて生きる私たちの物語集。 「俺、高校に受かったら、本とか読もうっと」。幼馴染みの慎也は無事合格したのに、卒業式の午後、浜で行方不明になった。分厚い小説を貸してあげていたのに、読めないままだったかな。彼のお母さんは、まだ息子の部屋を片付けられずにいる(「しおり」)。突然の喪失を前に、迷いながら、泣きながら、一歩を踏み出す私たちの物語集。
死んだ男を囲む、二人の女の情念。ミッションスクールの女子たちの儚く優雅な昼休み。鉄砲薔薇散る中でホテルマンが見た幻。古い猫の毛皮みたいな臭いを放つ男の口笛。ダンボールに隠れていたぼくのひと夏の経験。日常に口を開く異界、奇怪を覗かせる深淵を鮮やかに切り取った桜庭一樹の新世界、6つの短編小説。
すれ違う子供が泣きだすほどの醜男の、愚直な恋のゆくえ(「甚三郎始末記」)。騙されていると知りながら待ち続ける遊女の哀しき運命(「風を待つ」)。自ら始末をつけるべく散り急ぐ男に、残された妻の覚悟を描く表題作など、心に染み通る5篇。四季の彩り溢れる情景と、男女の一途な愛を細やかに綴る傑作時代小説。
殺し屋・月影を追う北町奉行所筆頭与力・仙波一之進・仙波は平賀源内に依頼して、事件のカギを握る記憶喪失の娘をエレキテルで治療するが、娘が思いだしたのはただひとつ、「おとっつぁんは歌麿」!?表題作などテレビドラマ「だましゑ歌麿」シリーズの原作2篇を含む中篇集。巻末座談会・水谷豊、岸部一徳、中村橋之助。
うちの塾の生徒が誘拐された?小学6年の山下愛子を誘拐したという奇妙なメール。身代金は何と5000円、それを1円玉にして1000円ずつ塾の講師5人が持ってこいというのだ。国語、数学、理科、社会、それぞれに個性的な講師たちが愛する教え子のために謎に挑む!読むと勉強が好きになる、心優しい塾ミステリー。
豊後国森藩から奉公を解かれ、浪々の身となった赤目小籐次、四十九歳。彼には胸に秘する決意があった。旧主・久留島通嘉の受けた恥辱をすすぐこと。相手は大名四藩。備中次直二尺一寸三分を手に、小籐次独りの闘いが今、幕を開ける。時代小説ファンを驚喜させた小籐次シリーズが一層の鋭さを増し、“決定版”として帰ってきた!
何度も郷里に引き戻されながら、江戸で学問と剣術を極めていく元司。二十五歳で清河八郎と改名、自ら塾を開くも、やがて学問の世界を離れ虎尾の会を結成、尊皇攘夷の急先鋒となっていく。しかし倒幕の機いまだ熟さず、早すぎた志士として凶刃に倒れるー悲劇の孤士の生涯をあますところなく描いた傑作長篇。
札幌で暮らす小学六年生の瀬川大介には、自らの鬱屈を晴らす、ささやかな楽しみがあった。それは隣家に住む、指が二本ない謎の老人佐藤北海が見守る貧弱な樹がつける花芽を削り取ること。開花を待つ北海の喜びを奪うことで、不満を溜めた老人が“暴発”することを願っていた。だが、夏休みに入ったある日、大介の油断を衝いてその樹が白い花を咲かせる。それを見た北海は突如ボストンバッグを抱えて旅に出発、両親と喧嘩して家出をするつもりだった大介は、急遽彼を追うことに…。一人の少年の好奇心と冒険心が生んだ心に沁みわたる感動の物語。
戦勝の歓声が上がる中、会戦から帰還したマナスは戦場での恐るべき死の光景を嘆き、自ら死を求めて亡者が原へと赴く。彼はそこで悲惨・非道の様々な亡霊を目撃する。シヴァ神配下の三悪鬼などとの闘争の末に死んだマナスは、愛妻サーヴィトリーによって甦るが、最終的に彼が見出したものは…。
男爵未亡人カッサンドラは、ある罪に問われて家を追い出され、かつての使用人たちを引き連れて困窮極まっていた。つらい過去を陰で支えてくれた家族同然の彼らを守るため、彼女に残された唯一の方法は、大金持ちの貴族の愛人になること。決意を胸に秘め、カッサンドラは招かれてもいない舞踏会をひとり訪れる。ほかの招待客がみな、悪評がつきまとうカッサンドラと距離を置こうとするなか、ハクスタブル家の長男である伯爵スティーヴンは謎めいたその女性が気にかかり、周囲の視線も気にせず彼女を誠実にもてなした。社交界でも“理想の結婚相手”として評判が高い、清廉潔白なスティーヴンは、何かに導かれるようにしてカッサンドラとそのまま一夜を過ごす。翌朝、彼女の真実を知ったスティーヴンは、「きみを守る」と宣言するが…。
ハイランド地方最大勢力の氏族の次男アランは、氏族間の同盟のために政略結婚をさせられることが決まっていた。そんななか、アランは仮面舞踏会で出逢った聡明な女性メアリーに魅了される。ところが、メアリーはアランにとって宿敵の一族の娘だった。彼女にもまた、望まぬ結婚話がすすんでおり、ふたりは互いの家族の厳命によって近づくことさえ禁じられる。それでも、あの出逢いのときめきを忘れられないふたり。想いあふれるまま、人目を忍んで逢瀬を重ねていたところを、ついに両家に見つかってしまう。強引に引き離された翌日、メアリーの結婚が2週間後に決まったことを知ったアランは…。ハイランダーとしての誇りを胸に領地を守ってきたマクローリー3兄弟が、イングランドの上流社会へ乗りこむ“スキャンダラス・ハイランダー”シリーズ、第2弾!
シンガポールでカフェを営むアンティ・リーは、大豪邸で開かれるビュッフェパーティの注文を受け自慢の腕を振るった。 ところが、メイン料理で主催者の家族が絶命。 アンティ・リーは、何者かが巧妙に仕組んだ殺人事件だと確信する。 けれど、カフェは無情にも営業停止に追いこまれてしまい……!?
男手ひとつで育てた一人娘が結婚相手を連れてきた日に父親がとった行動。自身の再婚と息子の問題で揺れる母親の微妙な心理。年上の女性に恋した少年の10年後の姿…。『珈琲屋の人々』シリーズの著者が、様々な家族の情景を丁寧に切り取った8編を収録。もう一度、家族というものをゆっくりと考えたくなる短編集。
「次は女の子を産むわ」そう宣言して産み分けに躍起になる妻。そんな妻の決断に淡い違和感を抱く夫。互いに心揺れる日々を経て、夫婦がたどり着いた先はー。思いがけないラストが深い感動を呼び起こす表題作「憧れの女の子」。男女の心の行き違いから浮かびあがる人間の本質を鮮やかに掬いとった物語、全5編収録。