2016年3月25日発売
時は元禄。一戸前国包は京橋南の弓町で刀鍛冶を営み評判を呼んでいた。家宝の刀に魅せられて以来、武士の身分を捨て刀鍛冶に心血を注いできたが、ある時、本家を通じ老中格・柳沢吉保の配下から密命が下る。武蔵川越領で村人を斬殺した旗本の子弟を斬ってほしい、と。天稟の素質と言われた神陰流の達人である国包の下した決断はー。孤高にして矜恃を失わぬ男の熱き生き様が胸を打つ、書き下ろし時代小説!
名医を目指してはいるが、何をやっても続かない与之助は、枯田薄斎のもとに弟子入りして1年が過ぎた。患者に養生を勧めるだけで薬も出さず貧乏医を続ける薄斎に、与之助は溜息しか出ない。だが、薄斎はなぜか遠江の黒岩山藩からは御殿医として招聘され、藩主の病を治してしまった。直後、このことが発端で、2人は尾張と紀州の暗闘に巻き込まれ、忍びに狙われてしまう。果たして薄斎は本当にやぶ医か、それとも…?
何もかも理想通りで、身悶えするほどキュートな彼。あるとき彼が殺し屋なんじゃないかと不安になり…(「かわいい狙撃手」)。ある初冬の日、クラスメイトが見守る倉庫から、転校生が忽然と消えた。彼女は幽霊?(「つめたい転校生」)。寂しい少年時代に出会ったたったひとりの友達は、人を殺す妖怪?(「いとしいくねくね」)など、人と人でないものとの切ない恋をめぐる、驚きのトリックが冴えるミステリー短編集。
“日本のCIA”と呼ばれる公安調査庁を退職して、カフェを営む影山夏樹。彼はかつて中国や北朝鮮から“冷たい狂犬”と畏怖されていた。だが突如、以前の上司から依頼があった。中国高官と接触する内閣情報調査室の幹部のスパイ行為の証拠を押さえてほしいという。取引現場は韓国のカジノ。夏樹はコンビの青木麗奈とともに韓国へ飛び立つが、そこには中国の伝説の諜報員が待ち構えていた…。息詰まる情報戦の行方は?
ひとつ屋根の下で暮らす、大学院生の隆一郎と猫又のお双。しかし、隆一郎に思いを寄せる女性が現れると、お双は姿を消してしまった。お双を捜す隆一郎はやがて、ヤムと名乗る猫又に、一本足で立つ不思議な館へと招かれる。そこにはお双と、4匹の猫又がいた。お双の無事に安堵する隆一郎だったが、吹雪の山荘で過ごした翌朝、真っ白な雪原の真ん中で、倒れ伏したヤムが発見されー。猫又ライトミステリ、これにて完結!!
首都圏を中心に密造銃を使用した連続殺人事件が発生。犯人は警察を挑発するかのように、特別捜査本部の捜査員を狙いはじめた。警視庁組織犯罪対策部の一之宮祐妃は、内部情報の漏洩を察知。自らの進展を賭けて、ある者たちの捜査協力を警視総監に提案するのだった。警察をも怖れぬ犯人に対抗するため、集められし4人の男女。一之宮の「秘策」は、犯人を追い詰めることができるのか。人気著者による長篇ハード・アクション。
「つまりナオミは天地の間に充満して、私を取り巻き、私を苦しめ、私の呻きを聞きながら、それを笑って眺めている悪霊のようなものでした」独り者の会社員、譲治は日本人離れした美少女ナオミに惚れ込み、立派な女に仕立ててやりたいと同居を申し出る。我侭を許され性的に奔放な娘へ変貌するナオミに失望しつつも、その魔性に溺れて人生を捧げる譲治の狂おしい愛の記録。谷崎の耽美主義が発揮された代表作。
高1のつぐみは事故により、ひと夏の記憶を失ってしまう。“あの人”への恋心とともにー。夕焼け色の眼鏡男子と出会った始業式、合宿練習に明け暮れたGW…。思いだすのは夏休み前の、楽しかった出来事。そんな時、「つぐみには大切な人がいたんだよ」と親友の真帆に告げられ、心は大きく揺さぶられる。その相手とは…?なくした記憶と本当の「好き」を探し出す、甘く切ない青春ストーリー。
伝えられなかった言葉。忘れられない後悔。もしも「あの時」に戻ることができたら…。母と娘、夫と妻、父と息子。近くて遠く、永遠のようで儚い家族の日々を描く物語六編。誰の人生にも必ず訪れる、喪失の痛みとその先に灯る小さな光が胸に染みる家族小説集。
領主の娘・ノアの護衛として、フィナを引き連れ王都へと向かうユナ。道中、凶悪盗賊団をやっつけたり、王都に迫る魔物の群れを殲滅したりと相変わらずのチートぶり。だけど本人は、ジャガイモにチーズと地球での馴染み深い食材に出合えたことのほうがなんだかうれしいようです。噂のクマっ娘・ユナの冒険物語第3弾!
高校の校庭のど真ん中には樹齢300年のイチョウの樹が立っている。校内で絶大な人気を誇る“アイドル気取り”の生徒会長・日色冴は、そのイチョウの樹を撤去する方針。一方“こじらせぼっち”の磯山いづみは、大切な居場所であるイチョウの樹を守りたいが何をどうしたらよいのか分からずにいた。そんな時、徳川将軍家の血を引く16歳の亡霊・徳川家基が選挙コンサルタントとして、いづみの前に現れ、事態は思わぬ方向へー。果たして家基の狙いとは?そして、いづみとイチョウの樹の運命は?政治教養エンタメ!
「この世には、罪を犯しながらも裁きを免れて、大手を振って生きておる連中がおる。そうした悪党に天罰を下すのだ」闇奉行と名乗る者の手で、罪を免れた悪党たちの打ち首が辻々に晒されつづける。北町奉行所の元筆頭同心・蔵間源之助は、今は居眠り番と揶揄される閑職だが、闇奉行を喝采する江戸中の熱狂に、恐るべき危うさを感知しはじめていた…。
親の再婚で「姉」となった女性が男を部屋に連れ込んでセックスする姿を覗いてしまった弟と「姉」のその後を描いた「紫陽花とかたつむり」、大学教授が久々に再会した教え子にリードされて絶頂に導かれる「城ヶ島の恋」、若い男を誘惑しズボンに手をつっこんで性を指南する人妻を描く「無花果の女」-。昭和の匂い漂う、大人の回春官能短編集。
誘惑飛行にテイクオフ!そこそこ真面目だがダメ男好きな中堅の美咲、奔放で男性ゲットに積極的な理子、お嬢さま育ちで処女の新人・清乃、大人っぽい美しき人妻・やよいー艶やかな4人のCAが、その魅力的な容姿を使って、機内で、ステイ先で様々な男に接近し、一夜の快楽を貪っていくー。「第二回団鬼六賞」ファイナリストの元CAによる絶頂行き官能。
ぼくはシリアル・キラーだ。感じのいい仮面の裏で女たちを襲っては、自宅地下室の檻に監禁して殺している。ある夜、新たに地下室に迎えたエリカのためスーパーへ買い出しに行ったぼくは、美しく謎めいたレジ係のレイチェルに心奪われる。無論、その時は知る由もなかった。彼女に近づくにつれエリカとの力関係も崩れはじめ、完璧な殺人鬼ライフが制御不能になろうとは…。英国発の話題作。
死刑宣告を受けながらも生き延びたイレーナは、故郷シティアに14年ぶりに戻ってきた。両親は涙ながらに娘を迎えるも、兄を始めとする他の者たちは、敵対国で育ったイレーナをあからさまに嫌悪し、密偵に違いないと疑う。またも四面楚歌となったイレーナに、さらなる危機と試練がー明らかになる14年前の真実と、2つの国に蠢く陰謀、そしてイレーナが生まれ持つ宿命とは?見逃せない、第2章。
モツ焼屋、銭湯、カメラマン、ディベロッパー…ひとりの男が仕事を遍歴し、家族のあり方を見つめるなかで沁み出す、人生の哀歓。高度成長期からバブルを経て今日まで、仕事と家庭の間で揺れ動く人びとを円熟の筆致で描いた連作小説。