2016年3月発売
狭まる信長包囲網の中、最強の敵・武田信玄を暗殺した慶一郎。しかし慶一郎を恨む信玄の父・無人斎道有は、慶一郎最愛の沙奈を誘拐する。沙奈の命欲しくば信長を討てと脅迫する酷薄な道有。絶対絶命の危機に追い込まれた慶一郎は将軍・足利義昭の元に、直談判に乗り込む。沙奈、信長そして慶一郎の運命は?
老母の暮らす郷里に帰った出入り医師の下男・新次郎が、小仏峠で追い剥ぎに遭い、だるま屋に現れた。雪隠から忽然と消えた、料理屋の主の神隠し騒ぎを見届けている伊織は、出所不明の景徳鎮が、二つの事件を繋ぐ鍵だと察知する。氾濫した笛吹川に別たれた、不遇の兄弟。哀しき邂逅を描く、文庫書下ろし第七弾。
土佐二十二万石の領主・長曾我部盛親は、関ケ原の戦いで西軍に組したため、一介の牢人の身に落ちた。謫居を京都に定めた盛親は、再起の野望を密かに育む。大坂冬ノ陣を機に立ち上がり、夏ノ陣に旧臣五千人とともに血戦へと臨むのだがー乱世の運命に翻弄された悲運の武将を鮮やかな筆致で描いた傑作!
薬剤師の早乙女瑠璃は、神風特攻隊の生き残りで祖父の修吉から、『太平記』を渡される。だが、楠木正成に関する部分を読むよう告げた修吉は、何者かに毒を射たれ、瀕死の重体に。事件の背後には秘密結社“南木の会”が。瑠璃は、祖父の命を救うため、元同級生で作家の京一郎とともに、正成の死に纏わる謎を追う!
中国・明からの使節を迎え沸き立つ17世紀初頭の沖縄・琉球王国。だが、この国の平和は幕府を後ろ盾にした薩摩によって侵されつつあった。侵攻に膝を屈するか?独立をかけて抵抗するか?そして宗主国・明は助けてくれるのか?生き残りへ向けて琉球の闘いが始まる。沖縄、激動の時代を描く大河歴史小説。
怒涛の勢いで侵攻してきた薩摩軍に琉球軍はわずかひと月で降伏。奄美諸島は薩摩に割譲され、尚寧王は日本本土へと連れ去られる。属国へと堕ちながらも、明に対しては独立国の体面を見せねばならない王国の苦悩。しかし琉球の誇りを胸に秘め、「南海王国」建設へ人々の胎動が始まる。大河歴史小説、完結編。
七十六歳で故あって二度目の殺人を犯し四年、いま獄中にある男は静かに語り始める。昭和初頭、炭鉱の島に生まれ坑夫となった緒方一義は隣人を殺し、一度目の獄につながれた。彼が手にかけた男の妻と交わし続けた手紙にこめた想いとは?遠ざかりゆく昭和という時代と数奇で凄絶な人生が見事に描かれる。
死んだはずの男から摘出された、香しいさくらんぼ状の腋窩腫瘤。それが、魅惑の美味と判明したから、さあ大変!世界中から次なる患者出現を待って、富豪もマフィアも大集結。謎の病の秘密を握る外科医・惇史を護るため、引退刑事+ヘンテコ病患者のドリームチームが結成された。新種の文庫書下ろし、登場!
あの山桜の下で妻の墓を守りながら最期の時を迎えよう。構ってやれなかった償いとしてー。武田・上杉が熾烈な戦いを繰り広げる上信越。“老渡り”月草は殺戮の山野に独り、妻との約束の地へ向かう。待ち受けるのは思いがけない善意と信じ難い我欲。大人気「嶽神」シリーズ中、屈指の感動作。
鏡ばかりの部屋で発見されたエリート医師の遺体。自殺とされたその死を、検事・志藤は他殺と疑う。その頃、東池袋署の刑事・夏目は同日現場近くで起こった不可解な集団暴行事件を調べていた。事件の鍵を握るのは未来を捨てた青年と予備校女性講師。人間の心の奥底に光を当てる、著者ならではの極上ミステリー。
半島を形作る三国の平和がついに崩れ去る。ソニンとイウォル王子が暮らす“沙維”は、半島征服をもくろむ強国“巨山”に狙われ、南の楽園“江南”では、第二王子クワンに地位陥落の危機が。争いは続くが、平和を望む王子・王女たちは密かに行動を起こしていた。混乱の中で最終的にソニンが選んだ道はいったい…!?
東京の裏町に佇むプラネタリウム「三軒茶屋星座館」。店主の和真と家族の元には、歌手、編集者、ヤクザたちが新たな問題を抱えてやってくる。季節は夏、和真に恋する美女が現れるなか、ある一枚の似顔絵が家族の秘密と哀しい過去をつまびらかにしていく。愛しいから大切にしたい人生讃歌エンタメ小説、第2弾。
鼈甲の張形や秘薬などを扱って江戸で知らぬ者なしの四つ目屋は、奥の向きからも御用を給わる老舗。信用を大事に、誇りを持って商いに精を出す店は客を気遣って昼でも暗く、さまざまな思いを抱えた男女が暖簾をくぐるー。『女薫の旅』の著者が新たに放つ、人情味あふれる艶やか時代小説。
カメラマンの乾耕太郎は、幼馴染の美人占い師・深沢桜子に淡い恋心を抱いている。しかし、その父・七ノ瀬天山を死に追いやったという自責の念から、本心を明かせずにいるのだった。「占いと事件」を縦軸に、「幼馴染みの恋の行方」を横軸に描いたミステリー連作集。
美女目当てに大金が舞う秘密交際クラブで、超高級バッグのバーキンを囮にした連続詐欺事件が発生。対探偵課探偵・紗崎玲奈は、証拠品のバーキンを鑑定する万能鑑定士・凛田莉子の危機を救う。バーキン詐欺女の驚くべき正体とは?二大ヒロインが並外れた探偵力と鑑定眼を駆使して立ち向かう。
交通事故で自分だけ生き残った当主は若いセラピストと再婚した。封印された墓所を地下に持つ石造りの館で新しい生活を始める二人。だが都会での生活を捨ててやってきた女には、ある計略があった。村では次々と少年たちが姿を消し、殺戮と埋葬の歴史が繰り返されるなか、冥府から慟哭の真相が浮かび上がる!
首吊り、変死、夜逃げのあった家からでも平気で曰く品を仕入れる皆塵堂に、このところ怪異騒動のたびに増えているのが、雉虎、黒猫…現場に残された子猫たち。幽霊は見えるが猫が苦手な太一郎は凍りつくが、魚屋のくせに大の猫好きの巳之助は、厳つい顔がにんまり。長屋で猫と暮らす野望の実現、なるか!?
17歳の牧師の娘ヴィクトリアは、ある日、村で美しい青年に微笑みかけられ、ひと目で恋に落ちた。彼の名はロバート。領主の息子で爵位を持つ彼は信じられないことにヴィクトリアに愛を囁き、結婚を約束するーだがふたりの恋は身分違い。駆け落ちの夜に彼女は父親に閉じこめられ、翌日、真実を知らされた。ロバートは彼女と結婚する気など毛頭なく、ロンドンへ発ったと。打ちのめされたヴィクトリアは家を出て家庭教師となり、辛いながらも平穏な生活を手に入れた。7年後ロバートが屋敷の客として現れ、彼女を睨みつけるまでは。
エディーは社交界で、“夫に捨てられた公爵夫人”と噂されている。それもそのはず、夫マルグレープ公爵は結婚後すぐに異国に行き、5年もの間それっきり。そもそも美しさとは縁遠いエディーが見目麗しい公爵と結婚できたのは、彼女が裕福な家の出で、一方の公爵は高貴な血筋ながら多額の借金を抱えていたからなのだ。だが、愛なき結婚であろうと、社交界で陰口を叩かれようと、エディーは一人きりの生活に満足していた。そんなある日、突然公爵が英国に戻ってきた。戸惑うエディーに彼は、跡継ぎが欲しくなったのだと言い出し…。