2016年4月8日発売
豪華客船「飛鳥2」を狙った大型テロ情報は果たして真実なのか?乗客の危険を未然に防ぐべく、十津川警部は妻の直子を伴い、日本一周8泊9日のクルーズに乗船した。本格的料理と多くの娯楽イベント、上品なカジノを楽しむ和やかな空気の中、航海は順調に進むかに思えたが。寄港地の函館で、なぜか着岸しない飛鳥2、そして船内で爆発音がー重大な異変を感じ、船長に詰め寄った十津川は、驚愕の真実を告げられる。船内に閉じ込められた乗客の運命はいかに!
「皆さん、お静かに。動かないでください」。拳銃を持った、丁寧な口調の老人が企てたバスジャック。乗客の一人に、杉村三郎がいた。呆気なく解決したと思われたその事件は、しかし、日本社会のそして人間の心に潜む巨大な闇への入り口にすぎなかった。連続ドラマ化もされた、『誰か』『名もなき毒』に続く杉村シリーズ第3作。
杉村三郎らバスジャック事件の被害者に届いた「慰謝料」。送り主は?金の出所は?老人の正体は?謎を追う三郎が行き着いたのは、かつて膨大な被害者を生んだ、ある事件だった。待ち受けるのは読む者すべてが目を疑う驚愕の結末。人間とは、かくも不可思議なものなのかー。これぞ宮部みゆきの真骨頂。
残月の郎次ー昼は廻船問屋の番頭、夜は裏金融を牛耳る儀平一味の大幹部。組織の跡目と目された彼の運命は、ある殺しを機に暗転した。裏切られ、組織を追われた郎次は、屈辱の底で江戸の暗黒街に絶望的な戦いを挑む。その切り札は誰も存在すら知らぬ最新式のコルト六連発!硝煙たちこめる大藪春彦賞受賞作。
和馬は町なかで、かつて久蔵が斬り棄てた浪人の妻と娘を見かけた。ふたりは穏やかそうに暮らしていたが、大店の内儀が探りを入れている様子で、不審を抱いた和馬は久蔵に許しを得て母娘を見守る。やがて娘が博奕打ちにさらわれかけた。大店の内儀と母娘には何の関係があるのか。久蔵は過去を探る。書き下ろしシリーズ第26弾!
ひょんなことで先手組の与力・津野惣十郎に絡まれた徳右衛門。しまいには果たし合いを申し込まれる羽目に。困り果てていたところに起こった人殺し事件。徒目付の嫌疑は、こともあろうに徳右衛門に向けられる。危うし、マイホーム侍!何より家庭の平穏を大事にする優しき侍の活躍を描くシリーズ第4作。文庫書き下ろし長編。
編集者・武上希美子、三十一歳。老舗の寄席・神楽坂倶楽部への出向期間も過ぎ、将来を思い悩んでいるところに、また大事件が発生するが、ショー・マスト・ゴー・オン!シリーズ第三弾の今回は、人気漫才コンビ・ロケット団の三浦昌朗さん作、漫才風解説付。そして、最大のサプライズは「あとがき」のラスト一行にあり!
侮辱された主君の恥を雪ぐため、大名四家の御鑓先を強奪する騒ぎを起こした小籐次は、紙問屋久慈屋の好意で長屋に居を構え、研ぎを仕事に新たな生活を始めた。だがある日、小籐次は見知らぬ男たちに襲われる。これは先の騒動で威信を傷つけられた藩の者たちの仕業なのかー。襲い来る刺客を小籐次は迎え撃つ。シリーズ第2弾。
東京オリンピック前夜の熱気を孕んだ昭和38年9月、地下鉄爆破に遭遇した週刊誌記者・村野は連続爆弾魔・草加次郎事件を取材するうちに、女子高生殺しの容疑者に。高度成長の歪みを抱えたまま変貌する東京を舞台に、村野が炙り出したおぞましい真実とは。孤独なトップ屋の魂の遍歴を描いた傑作ミステリー。
カツカレーの食べかたを巡って諍いとなり、同棲相手の秋恵を負傷させた貫多。秋恵に去られる事態を怖れた彼は、関係の修復を図るべく、日々姑息な小細工を奔するのだがー。「どうで死ぬ身の一踊り」の結末から始める特異な手法で、二人の惨めな最終破局までを描いた連作私小説集。“秋恵もの”完結篇。
有名な歌人の父・清原元輔に溺愛されて育った海松子。男顔負けの学才を持ちながら、凡庸な夫と平凡な結婚生活を送っていた。そんな海松子の楽しみは、物語でもなく日記でもない草子を書き綴ること。その「春はあけぼの草子」が宮中で評判となり、一条帝の后・定子に仕えることになり…心ときめく枕草子の世界がいまここに!
密室、容疑者全員アリバイ持ち、衆人環視の毒殺など「不可能(HOW)」を推理する御殿場倒理と、理解できないダイイングメッセージ、現場に残された不自然なもの、被害者の服がないなど「不可解(WHY)」を推理する片無氷雨。相棒だけどライバル(!?)な探偵ふたりが、数々の奇妙な事件に挑む!
九州豊前、小竹藩の勘定奉行・澤井家の志桜里は近習の船曳栄之進に嫁いで三年、子供が出来ず、実家に戻されていた。現藩主の小竹頼近と家老三家の間に、藩政の主導権争いの暗闘が火を噴きつつある近頃、藩士の不審死が続いていた。ある日、隣家に大刀の鍔と栗形を浅黄の紐で結んで“抜かずの半五郎”と呼ばれている藩士が越してきた。庭の辛夷の花に託した歌の意味とは…。爽快、痛快、迫真の長篇時代小説!
公爵家令嬢フィービーに、護衛として常に付き添うトレビロン大尉。目が不自由なフィービーを見守り、手助けすることが彼の任務だ。自らの境遇を受け入れ明るく前向きに生きている彼女の姿に心を打たれ、トレビロンはひそかに思いを寄せるようになっていた。そんなある日、彼が同行していたにもかかわらず、外出先でフィービーが何者かにさらわれてしまう。トレビロンは、間一髪で彼女を救い出せたものの、責任を感じて辞職を申し出る。フィービーはその時、彼が護衛としての役割以上に、自分の孤独に寄り添い、身も心も守ってくれていたことに気づく。ところが、トレビロンが彼女の前から立ち去ってしまった数日後、再びフィービーは誘拐される。それを知ったトレビロンは…。大好評“メイデン通り”シリーズ第8弾!
ゲストの食の好みやアレルギー、出身地など経歴をくまなく調べあげて提供するホワイトハウスのディナーは安全なうえに、どこよりも美味しい完璧な料理。ところが、ディナーを口にした連邦政府の高官があろうことか死亡!総料理長のオリーは事件を聞きつけたマスコミに糾弾され、厨房スタッフは全員、ホワイトハウス関係者から犯人扱い。厨房は完全封鎖に追いこまれてしまった。春の復活祭まであとわずか。これでは一万個以上のイースター・エッグの準備ができない!間に合わせるための唯一の道は事件の真相を暴き、厨房の嫌疑を晴らすこと。けれどオリーが捜査に首を突っこめば、恋人であり大統領の護衛官であるトムの解雇につながる。八方ふさがりのオリーが仲間たちと取った大胆不敵な行動とは!?
翻訳者がみた作家・作品を介した対話。「近代のイメージとモデル」であった小説に賭け、「実存の未知な部分」を探ろうと果敢な挑戦をつづける「反現代的なモダニスト」の半世紀の軌跡。ほとんどの作品を訳したからこそ書きえた「個人的」クンデラ論。