2016年6月発売
2年前の恐ろしい事故で、サラは婚約者を、兄は妻を亡くした。車椅子になった兄と、兄夫婦の幼い娘の世話をすることだけが、以来サラにとってただひとつの生き甲斐になっている。それなのに、兄が再婚するという。事故後転居した先の隣人と。その女性はたしかにすばらしい。だが彼女の兄ジョナスは…。彼はハンサムで、尊大で、サラへの興味を隠しもしない。サラは初めて会ったときから反感を覚えていたが、そんな彼にどうしようもなく惹かれてしまう自分もいやだった。ついにジョナスの誘惑に屈したとき、初めてだったサラは、屈辱と甘い悦びに引き裂かれ、叫んだ。亡き婚約者の名前を。
ジュリーは仕事の依頼を受け、ローマの地に降り立った。ここは8年前、想いを残したまま別れた恋人リコ・フォルツァの故郷。あの、めくるめくような幸せな日々を忘れたことはない。彼との唯一の絆であるかわいい息子、ゲイリーがいるから。貧しかったジュリーは、大富豪であるリコの祖父に脅され、別れの手紙だけを置いて彼の前から姿を消したのだった。その祖父亡き今、愛しいリコと再会することもあるかもしれない…はかない望みはしかし、予想だにしないかたちで叶えられた。ジュリーを雇ったのは、ほかならぬリコ本人だったのだ!彼はまるで別人のように、憎しみを込めてジュリーを見つめ…。
クズカードを使いこなし、大会で見事優勝したにもかかわらず、その日の帰り道、転生と雷の女神ミエリの導きにより異世界で魔王を倒す旅へといざなわれてしまったマサムネ。様々な能力をカードにして使うことができる特殊スキルで見事七羅将ギルドラドンを倒したマサムネは、街のヒーローとしてモテモテ状態に!しかし、幸せな気持ちも束の間、ある者の手によってマサムネは監禁されてしまうー。ナルとキキレア、2人の美少女から目が離せない第2巻!!
キャリア・コンサルティング技能士の資格をもつ青年、トシキが転生した先は悪辣非道な商人・マルクが仕切る“奴隷売買所”であった。無賃労働、体罰。過酷な仕打ちを受けながらもトシキは、もう一度人生をやり直せるという事実に気付き、決意する。「どうせ生まれ変わったんだ。俺はこの世界で立身出世を果たしてみせる…!」チート鑑定スキルを武器に“奴隷の夢”をコンサルティングする異端の商人、ここに誕生ー!!
198X年、クトゥルーの侵略によって壊滅してしまった地球=人類文明。その年より1年の月日が流れた。営々と築きあげた人類文明は一朝の内に灰に帰り、回復不能な被害を受け、もはや、人類による地球支配の歴史は終わったかに見えた。だが、太平洋上の潜水空母アーク号には加賀四郎率いる「地球軍」が、豪州には「人類戦線」が、そして月面にはWWSAが、人類最後の砦として残っていたのだ…。大河小説の第12弾。そして、第二部「地球聖戦編」堂々の開幕。
妻子ある画家・渋太吉は、伊豆の海村で蜃気楼のように現れた若き女性・安見子との道ならぬ恋に溺れていく。渋はかつて一緒に死ぬ約束をした女性を裏切り、妻とは離婚寸前の状況にあった。やがて、安見子は親友の妻であることが判明するが、彼女への思慕は変わらず、肉体関係を続けていくのだったが…。福永武彦が、退廃と絶望の中の愛の運命を描いた佳作の復刊に、著者の長男である池澤夏樹氏による解説も併せて収録。
昭和33年に月刊誌「平凡」に連載されたが、単行本化されずに埋もれていた『遠い旅』は、青春を彷徨する若者たちの人生模様が描かれた群像小説。『川のある下町の話』は、恵まれぬ大衆の生活の重みと苦しみが渦巻く庶民の町で、これまた必死に生きる若者たちの青春群像を綴った昭和28年の作品である。今、時を超えて、川端青春小説の佳作2篇が奇跡のカップリングとして甦る!
AI(人工知能)の開発が進み、家事や仕事に就くアンドロイドが日々モデルチェンジする近未来のイギリス南部の村。弁護士として活躍する妻エイミーとは対照的に、親から譲り受けた家で漫然と過ごす三四歳のベン。そんな夫に妻は苛立ち夫婦は崩壊寸前。ある朝、ベンは自宅の庭で壊れかけた旧型ロボットのタングを発見。他のアンドロイドにはない「何か」をタングに感じたベンは、作り主を探そうと、アメリカへ。中年ダメ男とぽんこつ男の子ロボットの珍道中が始まった…。タングの愛らしさに世界中が虜になった、抱きしめたいほどかわいくて切ない物語。
広告会社を早期退職し、帰郷した俺の元に、市長の秘書をつとめる同級生がやってきた。市長からの密命で、市の財政破綻を救うために、埋蔵金を発掘してほしいという。日給に釣られ、半信半疑で着手することにした俺は、郷土史家を訪ね、小学校の裏山が怪しいという情報を得る。市の職員と二人で発掘をはじめたが、なにせ広大な土地だ。人員を増やし、巫女の力を借りて、なんとか古銭の発掘に成功する。勢いに乗る発掘課は、やがて海軍工廠に眠るお宝の情報にたどりつく。彼らが発掘したお宝とは?笑って泣ける最強エンタテインメント、いきなり文庫で登場!!
薩摩藩から奄美大島に送られた西郷隆盛。不遇な西郷を世話することになったのは、島の名家の娘・愛加那だった。二人は当初、文化の違いから反発し合うが、やがて理解し合い、愛加那は西郷の“島妻”となる。二人の子にも恵まれるが、あるとき西郷が藩から呼び出しを受ける。愛加那は西郷を、国のために活躍する男と信じて見送る。そして二人の子も、広い世界に羽ばたいて欲しいと思い、西郷の元へ送り出す。しかし、時代の激動が西郷と子を襲い、愛加那は島人たちに後ろ指をさされることに…。生涯西郷を信じた女性の、切ない恋愛歴史小説。
一九三〇年代の大不況時代を生きる、タクシー運転手や若い夫婦、保安官助手やフットボール選手などの不安と恍惚と激情のドラマから、第二次大戦下の倦怠し惑乱している兵士たちの人生へ、そして、無残でグロテスクな戦後の幻滅を描く現代の物語までー。ショーの全作品を愛しぬいた名訳者が、厳選した短篇を時代順に配列し、まるで長篇小説のように編集した傑作集。“「時代」の歩みが、この作家の鋭敏なレンズを透過して屈折し、現実の情報よりもはるかに現実的なかたちで、あなたの胸に像を結ぶだろう。”劇的な構成と無類に面白い筋の展開を堪能できる十六篇。
殺そうとした妻・真理亜が、誰かに誘拐されていた…愛人と共謀して妻を殺そうと決意した夫・幸平。しかし帰宅してみると自宅には大量の血痕と莫大な身代金を要求するメッセージが残されていた。内心ほくそ笑む夫。だが、警察の捜査で浮かび上がる証拠は全て犯人が夫だと物語っていた。一方、次々と明らかになる夫の知らなかった妻の本性。前代未聞の誘拐劇はいつしか様々な人間を巻き込み、身代金を巡る裏切りの連鎖へと発展していく。不倫夫と狂おしくも美しい妻の巧妙かつ予測不能な心理戦を描いた話題のサスペンスドラマ完全小説版。最後に笑うのは誰だ?
演奏している津島君は、最高にきれいですー。新生学園大学音楽科の創設者を祖父に持つ津島サトルは、プロのチェリストを目指し、一家の敷いたレールに乗っていたはずだった。しかし芸高に落ち、失意のまま新生学園大学附属高校に入学する。サトルはそこで一流の音楽を演奏するため奮闘する同級生たちに出会う。フルートを奏でる美少年・伊藤慧とポニーテールの鮎川千佳。そして、見たこともない澄みきった目をしたヴァイオリン奏者、南枝里子。本屋大賞ノミネートの傑作青春音楽小説が、人気漫画家・穂積さんの描き下ろしカバーイラストで新装文庫化!!
二人で芸大に行ったら、デュオを組まない?-津島サトルは、南枝里子の影響を受け、芸大を目指すようになる。南との美しい合奏もずっと続けていきたかった。高校二年の夏、同級生たちが優秀な新一年生たちに焦りを覚えるなか、サトルは音楽家である祖父から言われ、ドイツ・ハイデルベルクで二か月間チェロを学ぶ機会を得る。留学先から南に宛てた手紙を送り続けるサトルだったが、帰国した彼には、予期せぬ出来事が待ち受けていたー。若さゆえの自我の暴走が、オペラやオーケストラの美しい名曲と共に切なく描かれる。一気読み必至、衝撃の第二巻!!
チェロを辞めようと思うんですー。高校三年になり、津島サトルは音楽家としての自分の才能に見切りをつけようとしていた。その頃、南枝里子は人生をかけた決断を下す。自らの人生を背負い、それぞれの想いを楽器に込めて演奏する合奏協奏曲。本当にこれが最後の演奏となってしまうのか?あの夜僕は、人間の力ではどうにもならないものに向かって泣いたーサトルの船は、青春を彩るニーチェの言葉とともに、大海へと漕ぎ出る。全てを飲み込み切なく響く音楽のように、著者が奏でる傑作青春音楽小説、ついに最終章。
子どもは言うことを聞かず、夫は理解してくれず、姑は口出ししてくるし、職場では上司に嫌みを言われ…それでも悲しみも苦しみも怒りも胸に隠して、今日も家族のために奮闘する「奥さま」たち。主婦なら誰でも身に覚えのある描写に頷き、読み終える頃には明日を生きる勇気をもらえる8つの共感ストーリーが、「超濃厚あとがき」を加えてついに文庫になりました。
二十三歳の松尾勇は、デパート業界の新聞や雑誌を発行している小さな会社の新米編集者。会社創業以来の人事異動によって配属された編集部で、『店舗経営月報』という、三十二頁、発行部数八百部という地味な雑誌を作っている。勤め始めて約一年、会社が新橋から銀座のビルへと引っ越した直後、松尾に大きな転機が訪れる。前任者の突然の退社により、なんといきなり編集長になってしまったのだ!といっても部員は自分ひとりだけ。経験もなければ部下もいない松尾の悪戦苦闘の日々が始まった。椎名誠初めての新聞連載小説として話題を集めた傑作長編がついに復刊。
世界中で愛読される『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』をテーマに、人気ミステリー作家・有栖川有栖、宮部みゆき、篠田真由美、柄刀一、山口雅也、北原尚彦が紡ぐ6つの物語。事件から事件へ、現実と異世界を自在に行き来する、ユーモアと不思議が溢れるアリスの世界へようこそ。
神宮外苑に放置された盗難車両から、青年の変死体が…その婚約者が大量の血痕を残し謎の失踪…連続殺人?の容疑者には大阪駅にいたという鉄壁のアリバイが…。新聞記者が謎の真相を追う…。乱歩も見出した“日本探偵小説”の父、幻の最高傑作待望の初文庫化。テンポのいい文体はまったく古びていない!